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2009年04月13日

FAB4-023:LITTLE CHILD

All Strung Out Meet the Smithereens: Tribute to the Beatles


 w & m:LENNON / McCARTNEY

 P:ジョージ・マーティン
 E:ノーマン・スミス
 2E:リチャード・ランガム(9/11、12)、ジェフ・エマリック(9/30、10/29)
 録音:1963年9月11日、12日、10月3日
 MONO MIX:1963年9月30日、10月23日、STEREO MIX:1963年10月29日

 1963年11月22日 アルバム発売(「WITH THE BEATLES」 A-5)
 パーロフォン PMC 1206(モノ)、PCS 3045(ステレオ)


ジョージ・ハリスンの恥ずかしい過去で在る「DONT BOTHER ME」に続いて、ジョン・レノンのハモニカが大フューチャーされ、ポール・マッカートニーが初めてピアノを弾いた「LITTLE CHILD」の登場です。ポールは、ジョージ・マーティンに出逢い教えて貰うまで「ピアノが弾けなかった」のです。其れは、ジョンもおんなじです。ジョンもポールも譜面が書けなかったし、ズバリ云ってしまえば、現在でもポールは譜面が書けないし読めません。もっと本当の事を云えば、ビートルズの四人は全員「譜面が書けないし読めなかった」し、其の後も「譜面」で音楽を制作していません。彼らこそが「耳こそはすべて」だったのです。当然乍ら、レイ・チャールズやスティーヴィー・ワンダーも「譜面」で音楽していません。おっと、噺がヤバくなりそうなのでヤメときます。

此の楽曲は、ジョンとポールにとっては「新人にあげちゃおうか?」程度の曲だったのかもしれません。天然ポールとは違って、ジョンは既に「プロ意識」がありました。確かに、ステレオタイプな音楽的知識はジョンには皆無と云ってよかったでしょう。何せ、彼は母親のジュリアが得意だった「バンジョー」でコードを覚えたのです。ハッキリ云って、ジョンのギター奏法は滅茶苦茶です。作曲法も、完全なる「我流」です。其の点、元々音楽一家の出で在るポールは「ちゃんとした作曲技法」がありました。屈託がないストレート過ぎるジョンらしいロケンロールに、ポールはお得意のパクリを導入!其の相反する摩訶不思議さが、レノン・マッカートニーの類稀なる魅力です。

そして「DON’T BOTHER ME」同様にこうした「ほとんど忘れ去られる運命にある曲」こそ、レコーディングに手間取っていました。こんなお手軽そうな曲を、彼らは三日間、なな、なんと、「21テイク」も費やしたのです。モノ・ミックスも二回やっています。こんな曲の「ミックス違い」を見つけて、有頂天になったなら、貴方はもう「不治の病」です。あたくしも同じ病に侵されておりますので、お互いに支え合って生きてゆきましょうね。しみじみみあみあ。此の曲ってさ、三分どころか二分も無いのですよ。一分半一寸、たったの「106秒」で終わっちゃうのよさ。でも、此の性急さが「ロック」なのよ。ちなみに、画像の「ニノ&エイプリル」が歌っているのは「同名異曲」でカヴァーではありません。


(小島藺子)


初出:「COPY CONTROL AGAIN」2008-6-22
REMIX-1:「COPY CONTROL」2008-9-22

(and this is REMIX-2 by 小島藺子)



posted by 栗 at 00:04| FAB4 | 更新情報をチェックする