
舞台「フラガール」を連日観続けている僕ですが、所謂ひとつの「出待ち」を敢行したのは今までの九日間で「二回」だけです。
昨年の初舞台「僕たちの好きだった革命」の時は、観劇した9回全部「出待ち」もしました。那奈回観劇した盟友:うっぴーと一緒の時は勿論、ひとりで観た日も待っていました。確か、9回中、8回は那奈ちゃんを見送れたと記憶しています。1回だけ失敗した日は、うっぴーと二人で6時間位待っていて、隣のコマで公演中だった「サブちゃん」まで観ちゃったっけ。天下のサブちゃんが目の前にいるのに、僕とうっぴーは「おまえじゃねーんだよっ!」と全く感動しませんでした。
「サブちゃん、御免!」
ちゃんとレコード買いましたよ。100円だけどさ。
初日は那奈ヲタが四人集まったのだけど、余りの感動に「出待ち」って声さえ出ませんでした。二日目は昼夜公演で、那奈ちゃんが疲れていると思ったので帰りました。三日目は、まるかちゃんがいたけど、其の日が初めてだった彼女が舞台だけで感動しちゃっていたのでやりませんでした。
つまり、今回の舞台はカーテンコールに超特大なサービスが在るので、那奈ヲタは舞台だけで充分に満足してしまうんです。いえ、はっきり云えば、、、
「昇天しちゃって、出待ちのエナジーが無くなっているのだよ!」
四日目、二回目だった「うっぴー」と、五回目だった僕は「そろそろ、行きますか」と出待ちを敢行し、成功しました。でも、其の次の日からまたひとりになった僕は、出待ちはせずに帰ることにしたのです。
六日目には、ふうこさんが来ていたので、三公演のテケツを買いながら其の日しか観劇出来ない彼女を誘って「出待ち」をし、逢えました。いや、今回は「革命」とは違い、「出待ち」をすれば確実に逢えるのです。でも、僕はひとりではしないと決めました。
ふうこさんが「えーっ!未亜さんって、ひとりじゃ出待ち出来ないのぉ?」と云うから、「そんな訳無いじゃん。『いいとも!』とか普通にひとりでやっているし、遠征だって大抵はひとりだし、其れに元々みんなと出逢った五年前までは一匹狼の那奈ヲタで、単独行動していたじゃないですか」と返しました。
舞台「フラガール」は、本当に舞台だけで感動しちゃって、ひとりで出待ちするのが申し訳ない気分になってしまうんです。だって、他の那奈ヲタだって、本当は毎日観たいわけじゃん。でも、僕だけが其れを許される立場に在っただけなんですよ。
那奈ちゃんは、毎日、舞台上から僕を確認しています。11回目の公演で、何度か目が合って、其れが明らかに意図的な事だと分ったのです。だったら、其れで充分過ぎるじゃないか。七日目に僕が遅刻し最初の登場場面を見逃した時、二度目の登場時の彼女は、階段を降りながら、サングラス越しに、まっすぐに僕を観ていました。
「何だよ、最初からいないから心配したよ」
妄想でも何でも無く、確かに那奈ちゃんの顔にそう書いて在った。片瀬那奈ちゃんとは、そういうひとなんです。那奈ヲタなら、みんな理解してくれるはずです。だって、僕らは、そんな那奈ちゃんだから好きになったんだ。どんなに有名になっても、アンテツあにいを玄関まで迎えに来ていた「10代の那奈ちゃん」は、変わっていない。
お花が沢山、那奈ちゃんに届いています。主演だから当然だ、なんて思わない。だって、随分と前に共演した方々からも全員から届いているんです。ふうこさんが「だって、みんな那奈ちゃんを好きになっちゃうもんね」と云いました。彼女が云うと「説得力」があるよね。(知ってる人だけ、ニヤリとして頂戴☆)
初出「COPY CONTROL AGAIN」 (姫川未亜)