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2009年04月06日

FAB4-016:THANK YOU GIRL

Past Masters, Vol. 1 [12 inch Analog] B-Sides the Beatles


 w & m:LENNON / McCARTNEY

 P:ジョージ・マーティン
 E:ノーマン・スミス
 2E:リチャード・ランガム(3/5)、ジェフ・エマリック(3/13)
 録音:1963年3月5日、13日、MIX:1963年3月13日

 1963年4月11日 シングル発売
 パーロフォン R 5015(モノ)


ジョン・レノンとポール・マッカートニーが合作した「たかが、B面曲」です。ジョン・レノンは、前述の通り風邪をひいています。アルバムを壱日で「やっつけ仕事」しちゃった時よりも、益々、最悪な状態になってしまいました。二度目のセッションの前日公演にはリーダーなのに参加出来なかった模様です。初期のジョンの声は「鼻にかかった風邪声」みたいに聴こえる歌唱が多く、其れが魅力のひとつにもなって居りますが、、、

「本当に風邪をひいていたんだよっ!」

かつて「全曲カヴァー」を探した時に「最後までマトモなカヴァーが見つからなかった数曲のひとつ」なのです。そんだけ、マイナー過ぎる曲なのですよ。特にスタジオ盤では「捨て曲」にすら聴こえます。ジョンも「此の曲は上手くいかなかった」と語っていました。然し乍ら、「アンソロジー1」に収録された「LIVE音源」を聴く時、其の楽曲の評価は一変します。其れでも、其のたかがB面曲をA面の倍以上の「28テイク」も録音しています。「FROM ME TO YOU」は、壱日で出来上がりました。でも、B面は後日わざわざ最録音しているのです。そんだけ出来損ないの曲だったのかもしれません。でもでも、、、

「ビートルズに、駄曲無しっ!」

ファンの女の子に「いつもレコード買ってくれたり、ライヴに来てくれたり、プレゼントをくれたりしてくれて、ごっつぁんです!」

てなことを能天気に歌っている、単純明快な「バカ・ロケンロール」でしかない楽曲です。でも、そりゃ嬉しいでしょ?「アンソロジー 1」に入っているライブ・ヴァージョンを聴けば分りますですよ。女の子たち、大合唱ですもん。嬉しくって、堪んないよ。自分たちの事を歌ってくれたんだもん。泣きながら絶唱ですよ。美しいよ、綺麗だよ、此れが「音楽」じゃまいか。A面が「僕から君に愛を捧げよう」なんて歌でさ、でも、其の「君」って「ジョンやポールの彼女の事かしら?」なんて思ってひっくり返したら、「あらら、あたしかい?」(片瀬クン声で)ってことなのよさ。こんなシングル盤を出されたらさ、「確信犯ホスト:レノン・マッカートニー」の手練手管にハマってしまう罠。ポールは「ファンの女の子たちが喜ぶだろう、と意識して作った」と語っています。よーするに、ジョンとポールは、

「シングル盤の両面でストーリーを紡いだ」のです。

此れは、新しかった。そもそも、レコードで「ファンに直接呼び掛ける」って発想がすぎょいです。こりゃ、メロメロになっちゃうよ。だってさ、「僕から君へ愛を込めて / ありがとう!ファンの女の子」ってレコードなんですよ。あのさ、、、

「そんなレコは、此れ以外に無いんだよっ!」


「あたしは、レコスケか?」(小島藺子)


初出:「COPY CONTROL AGAIN」2008-6-17
REMIX-1:「COPY CONTROL」2008-9-15

(and this is REMIX-2 by 小島藺子)



posted by 栗 at 19:56| FAB4 | 更新情報をチェックする