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2009年03月30日

「蒼き虎」2009-RE-MIX

アイ・オブ・ザ・タイガー


「伝説の虎戦士スーパータイガー」が、半額以下で売られていたので、迷わず購入しました。此の二枚組DVDには、第一次UWF時代のスーパータイガー(佐山サトル)のシングルマッチが17試合、ほとんどノーカットで収録されています。藤原戦、木戸戦、前田戦、高田戦、山崎戦は現存するものならほぼ完璧でしょう。つまりは、コンプリートと云っても差し支えない「311分」です。

御存知の通り、所謂ひとつの「Uスタイル」を作ったのは佐山です。彼は其の為に、人気絶頂でタイガーマスクを辞めました。私たち「プロレス者」が「タイガーマスク」と云う時、其れは他の誰でもなく「佐山」を指します。彼は「タイガーマスク」を名乗れなくなりましたが、人々が「タイガー!」と声援を贈る先には、ずっと彼がいました。其の「スーパータイガー」だけが、新日へUターンしなかった。創始者とも云うべき彼の不在は、必然的に「U」を前田を頂点とする軍団へと変えていきました。

しかし、やはり「U」を「U」にしたのは、佐山です。彼こそが、猪木をも凌駕した唯一の存在でした。現に、新日に出戻りした時(1986〜1987)も、其の後の新生U時代(1988〜1991)も、更には再び分裂し「U系」と呼ばれた多団体時代と総合格闘技へ吸収されて云った現在までもが、全ては「佐山の絵図通り」でした。師で在り、根っからの「天然で閃きの人」で在る「アントニオ猪木」とは違い、佐山の構想は常に理論的です。佐山のプロレスには「色気」が在ります。其れは、猪木とも共通しますし、猪木の「艶」を、いやもっとハッキリと云えば「娼婦(かつて、古館は負けたら引退と喧伝された藤波戦(1988-8-8)の実況で「猪木は、世紀(じだい)の娼婦なのかぁっ!」と絶叫しました)」とも云うべき「妖しさ」を受け継いだのが佐山でした。

然し乍ら、おんなじ「色気」でも、猪木の其れは「何をやらかすか解らない(本人も理解していない)」カタセ式に云えば「小早川妙子」なのです。対して、佐山は知的です。「ちゃんと考えている」し「理にかなっている」のです。カタセ式に云えば「平山まどか先生」的な地点まで来ています。(余談ですが、あたくしは「プロレスラー」と「ストリッパー」は、おんなじ志を持っていると考えております。其れに関しては、また別の項で語ります。)

もう25年近く前の試合です。勿論、タイガーマスクの佐山も大好きです。でも、此の時代の「蒼い」佐山がもっと好きです。此れらの試合を観ていると、最近のプロレス中継なんて、ちゃんちゃら可笑しくって観てられませんし、今宵の「K-1」も見なくていいやって思っちゃうんだよね。(一応、格闘技は好きなので観るのだけど、つまんないのよさ。こないだの「K-1」も観てたんだけど、試合よりも藤原紀香が目立ってんだもん。なんじゃ、アノ衣装は?!エロなんて、絶対、リングサイドの紀香に気を取られて負けたのよさ。アーツはチューしてナンパしてるしさ。離婚して株上がってモテモテじゃん。完全なる「紀香の為の番組」みたいになっちゃっててさ、途中で寝ちゃったわよ。)

其れでですね、当時の「U」は当然「ノーTV」だから実況なんて入っていないわけですよ。会場の歓声(ヤジ)がモロに聞こえるわけですよ。まぁ、あたくしも会場で観ている時にはこーゆー状態だったと思うのですけどね、例えば佐山が前田の腕を決めますね、すると客が云うんですよ。

「折れ!」(←興奮した感じじゃなく、冷静な野太い声で)

ひぇ〜、おっかね〜。


初出:「COPY CONTROL AGAIN」 (小島藺子)



posted by 栗 at 12:57| KINASAI | 更新情報をチェックする