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2009年03月27日

FAB4-006:MISERY

アット・アビー・ロード Nothing But the Real Thing


 w & m:McCARTNEY / LENNON

 P:ジョージ・マーティン
 E:ノーマン・スミス(2/11、2/25)、スチュワート・エルサム(2/20)
 2E:リチャード・ランガム(2/11)、ジェフ・エマリック(2/20)、 A.B.リンカーン(2/25)
 録音:1963年2月11日、20日、MIX:1963年2月25日

 1963年3月22日 アルバム発売、パーロフォン PMC 1201(モノ)
 1963年4月26日 ステレオ盤発売、パーロフォン PCS 3042
 (「PLEASE PLEASE ME」 A-2)


ジョン・レノンとポール・マッカートニーが共作した此の楽曲は、当時彼らが前座を務めていた「ヘレン・シャピロ」の為に書かれたと云われています。言わば「憧れのお姉ちゃん」の為に、書いたのです。されど、彼女の歌唱によるヴァージョンを聴いたことが在りませんので(実際に録音して居れば「アット・アビイロード」に収録されたはずですので、歌ってないのでしょう)、つまり、「歌詞が暗いから歌いたくないわ」と、ボツになった曲です。

「F、G、C、Am」 と云う、たったの「4コード」で展開する楽曲なのですが、其処は「天下のレノン・マッカートニー」なのです。正に、まさに、「隠れた名曲」と呼ぶに相応しい作品になっております。其れは、此の時点で「レノン・マッカートニーはソングライター・チームとして完成されていた」事を教えてくれます。此の曲は「憧れの女性歌手の為に、職業作家として書いた」作品だったのです。其れがボツにされたから「セルフ・カヴァー」したのよさ。ちなみに「FROM ME TO YOU」も、当初はヘレン用に書かれたらしいです。後に、ヘレンは「歌ってあげれば好かった!」と地団駄を踏んだんじゃまいか?

たった壱日で録音されたデビュー盤ですが、此の楽曲には「スーパー・インポジション(現在で云うところのオーヴァー・ダビング)」で、ジョージ・マーティンがピアノを加えています。後に語る「BABY IT'S YOU」と合わせて「二曲にマーティンが音を重ねた」セッションには、後の「ザ・ビートルズ物語」で重要な役割を果たす青年が初めて「セカンド・エンジニア(よーするに、エンジニア助手)」で参加しました。(其の辺の様子は、近年、彼が書いた辞書みたいに分厚い本に詳しく書いて在ります。)

彼の名は「ジェフ・エマリック」と云います。

其の時にマーティンが弾いたピアノのフレーズは、日本のグループ・サウンズの草分けのひとつで在る「ザ・ワイルドワンズ(永遠の若大将:加山雄三サン命名)」の名曲「青空がある限り」で、ギター・フレーズとなって輪廻転生するのですが、其れはずっと後のお話です。


(小島藺子/姫川未亜)


初出:「COPY CONTROL AGAIN」2008-6-14
REMIX-1:「COPY CONTROL」2008-9-5

(and this is REMIX-2 by 小島藺子)



posted by 栗 at 00:06| FAB4 | 更新情報をチェックする