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2009年03月25日

FAB4-004:ASK ME WHY

VIVA MARIYA!! Live_at_The_Star-Club.jpg


 w & m:McCARTNEY / LENNON

 P:ジョージ・マーティン
 E:ノーマン・スミス
 2E:A.B.リンカーン('63-2/25)
 録音:1962年11月26日
 MONO MIX:1962年11月30日(take 6 より)
 STEREO MIX:1963年2月25日(take 6 より)

 1963年1月11日 シングル発売
 パーロフォン 45-R 4983(モノ)

 1963年3月22日 アルバム発売、パーロフォン PMC 1201(モノ)
 1963年4月26日 ステレオ盤発売、パーロフォン PCS 3042
 (「PLEASE PLEASE ME」 A-6)


ビートルズの出世作となった2ndシングルは、デビュー盤での憂さを晴らすかの様に両面ともジョン・レノンの作品が選ばれました。1962年11月26日のセッションでは、ポール・マッカートニー作の「TIP OF MY TONGUE」も録音された様です。然し乍ら、当時のジョンとポールでは、其の実力差は歴然としていました。はっきり云って「TIP OF MY TONGUE」は、後に「世紀のメロディーメイカー」と呼ばれるポールが書いたとは到底思えない「駄曲」でした。ポールには信じられない様な駄作があります。対して、ジョンの完成作には其れは皆無に等しい。今後も此の展開は続きますが、其れはレノンとマッカの作詞作曲法が真逆だったからこそ起こりました。

彼等は、其の生い立ちなど共通する部分が多い「兄弟」です。然し乍ら、其の肝心な音楽家としての考え方や方法論が、合わせ鏡の様に「真逆」だったのです。簡潔に云うなら、ジョンは推敲を重ねて曲を書く人です。だからこそ、レコードになった作品は一部(洋子サン主導の前衛作品)を除けば「完璧」です。駄曲など在りません。でも、ポールは「曲が降りて来る」とか「其の辺に浮かんでる」とか平気で云う「天然」です。彼は、最初から「完成型」として曲を書けてしまえる人なのです。だから多作で、当然、駄曲も出るわけです。

さてさて、此の楽曲も「此のB面を聴けっ!」と云わざるを得ない、B面ならではの名曲です。短いイントロに続き、ジョンが一気に歌い上げます。迸る芳醇なメロディーが、通常の展開を許しません。ジョンの曲が素晴らしいのは、正に此の点です。「A→B→A→B」なんて当たり前なルールは、ジョン・レノンには無い。彼は「自由」でした。いや、殺されるまで、ずっとずっと「自由」でした。

曲の構成的には、彼の遺作に収められた「(Just Like)STARTING OVER」と変わらない、自由奔放な「レノン節」が奏でられます。エンディングの中途半端なマイナー・コードに、其れまで聴いた事のなかった「何か」を感じました。其れが、滅茶苦茶にやった結果では無く、鬼の様に推敲を重ねて練り上げた結果からの「自由奔放ごっこ」だと知るのは、彼が殺されてから公開された「THE LOST LENNON TAPES」を聴いた時でした。でも、通常の音楽理論を壊してしまったジョン・レノンの作風に、大いに魅せられてしまった。何よりもジョンの歌声が素晴らしい。本当に、美しい音楽です。


(小島藺子)


初出:「COPY CONTROL AGAIN」2008-6-13
REMIX-1:「COPY CONTROL」2008-9-3

(and this is REMIX-2 by 小島藺子)



posted by 栗 at 00:15| FAB4 | 更新情報をチェックする