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2008年06月17日

「もういいじゃないか、サク!」と叫びたい。

さくぼん―桜庭和志公式マガジン (Wanimagazine mook (170))


サクが、また惨敗した。一昨年の大晦日に「ヌル山」の非道な反則攻撃で敗れたのとは、わけが違います。完全なる「秒殺負け」でした。サクは、何にも出来ずに無惨にもマットに沈んだのです。

舞台は「DREAM 4」、サクも既に39才、総合格闘家としての峠なんか、とっくの昔に越えまくっている「オッサン」です。其れでも、現在でも、総合の舞台では「サクがメインエベントに登場しなければ客が入らない」のです。

サクは、「プロレス者」にとって、数少ない「眞の英雄」です。

総合格闘技がプロレスラーを利用して、彼らを「噛ませ犬」にしていた10年前、あたくし達は悔しかったんだっ!高田も負けた。ビガロも負けた。みんなみんな、負けた。

「所詮、プロレスラーなんて、こんなもんさ」

其れまで、プロレスの「プ」の字すら知らなかった連中に、酒場で莫迦にされました。「おまえは、こんな八百長に夢中になっている莫迦だ」と詰られたのです。そんな時、サクは「バーリトゥード」で優勝し、世間に高らかに言い放ったんだ。

「プロレスラーは、本当は、強いんです!」と。

あたくしは、サクが未だ新弟子の頃から観ていました。カラダだってそんなに大きくは無い、地味なレスラーでした。そいつが、やってくれたんだよ。あたくしは、泣いた。心の底から、感動した。「プロレス者になって、本当に好かったっ!」と思ったんだ。

だからさ、サク。もう、いいんだよ。もう充分だよ。サクは、やったよ。いっぱいいっぱい、夢と勇気を与えてくれたよ。もう、やすんで下さい。サクなら、例えば高山サンや鈴木みのるサンみたいに「プロレスラー」に戻れば、未だ未だ20年は現役でやれるでしょう。でも、サク自身が其れを望まないはずです。

サク、お疲れ様でした。引退試合には、行きます。是非、田村とやって下さい。


初出:「COPY CONTROL AGAIN」 (小島藺子)



posted by 栗 at 18:17| KINASAI | 更新情報をチェックする