12:30開場、 13:00開演(昼の部)
17:30開場、 18:00開演(夜の部)
赤坂ACTシアター
DANCE WITH ME
舞台「フラガール」
【キャスト】
片瀬 那奈:平山 まどか
福田 沙紀:谷川 紀美子
阿部 力:谷川 洋二朗
根本 はるみ:熊野 小百合
風間 水希:佐々木 初子
福本 伸一:熊野 五郎
華城 季帆:まどかの後輩:なつき&フラガールズの一員
今井 りか:早苗
田山 涼成:吉本 紀夫
久世 星佳:谷川 千代
、ほか。
【スタッフ】
脚本:羽原大介
演出:山田和也
振り付け:カレイナニ早川
テーマ音楽:ジェイク・シマブクロ
、ほか。
主催:TBS、TBSラジオ、朝日新聞社
(小島藺子/姫川未亜)
舞台「フラガール」レポ #18 & #19
「あっ。」と云う間に、最後の土曜日の昼夜公演まで来てしまいました。此処のところ「パーフェクト」を続けている「まどか先生」ですが、「六日連続八公演」の最後の難関が本日です。なんとか乗り切って欲しいと云う思いで一杯でした。
果たして「昼公演」、片瀬那奈ちゃんは、またしても「完全試合」を成し遂げました。そして、其の「18回目」の公演で、僕の此の舞台に対する感動が果てしなく拡大したのです。僕は、此れまでの17公演を、すべて「A-14」もしくは「A-15」のどちらかで観続けて来ました。昼夜で相互に座った日に気付いたのですが、一席違うだけでも演劇の印象は違います。特に、最前列で一点しか観れない近過ぎる状況で、片瀬那奈ちゃんしか観れないわけですから「50センチ」程しか違わない隣の席でも視界に入る世界観が違っていたのです。
赤坂ACTシアターの「一階A列」は、「A-14」から「A-28」までの「15席」しか在りません。舞台からの距離は「1メートル」位でしょうか。正に、最前列被り付きの格別過ぎる「15席」なのです。ですから、実は「B列」でも「前に誰もいない最前列」が存在します。更には「C列」や「D列」にも、ビミョーですが其れは在ります。間違い無く、「B-10〜B-13、B-29〜B-32」の「8席」は、「二列目なのに最前列」なのです。
昼公演で僕が座ったのは「B-30」でした。つまり、此れまで17公演を観た位置と、ほぼ真逆で、少し後ろだったのです。そして、前方にはステージしか無いわけです。昨日までの「17回」と同じ様に、其の状況で僕の目は「舞台女優:片瀬那奈」しか追えません。彼女が舞台にいる限り、決して他の方向へは視線を向けられません。なのに、当たり前なんだけど、全く違う世界が展開されたのです。
那奈ちゃんの後ろ姿しか見えなかった時には正面が、其の逆の時には真逆が、ずっと見えているのです。最早、其れは、昨日まで観て来た舞台「フラガール」とは、全くの「別ヴァージョン」でした。那奈ちゃん中心にしか観れなくとも、其のフレームに入る世界は見えているわけです。其れが全部「真逆」なのですよ。
思えば、初舞台「僕たちの好きだった革命」を9回観劇した座席は、すべて別でした。時には最前列、時には中段、また在る時は後方から、更に左右と真ん中からと、様々な角度から観ていたのです。だからこそ、毎回、印象が違って、あんなにも興奮したのでしょう。
今回は、全23公演中「19回」が、ほぼ同じ位置の「A-14」or「A-15」です。其れは其れで、至福の時でした。何故なら、其処が最前列で在り、「まどか先生」役で在る片瀬那奈ちゃんは、役柄上、センターでは無く、左右どちらかで演技する場面が多い上に、当然ながら主演なので「上手」に立つわけですよ。其処は、つまり「A-14」or「A-15」の、目の前なのです。毎日、僕の目の前に、何度も那奈ちゃんが立っていたのです。そんな日々が二週間以上続いているのです。
だからこそ、初めて観た「真逆」の世界は、余りにも衝撃的でした。僕の中で舞台「フラガール」は、いつの間にか「二次元化」されていたのです。だって、17回もおんなじ席から観たら、立体感は消えてゆくよ。其れが、突然、三次元になってしまったのです。更に、夜公演でいつもの席に戻っても、昨日までとは全く違う世界になってしまいました。例えば、後ろ姿しか観れなかった場面でも、もう昼に観た正面からの映像が重なっているわけです。脳内では、両方が見えてしまっているわけよ。すぎょかった。トリップしそうでした。
夜公演で、那奈ちゃんは、此れまでで初めてと云える「頭の中が真っ白」状態に落ち入りそうになりました。全公演を観ているからこそ分る事です。思わず、僕は「那奈ちゃん、頑張れ!」と心の中で叫んでしまった。きっと、小声で「ガンバレ」って云っちゃったかもしれません。あんなにハラハラしたのは、歌手時代に「禁断のテレパシー」を歌う時以来ですよ。(←此れで通じる片を「那奈ヲタ」と呼びます)
那奈ちゃんは、すぐに立ち直りました。流石です。でも、此れまでの公演で初めて、台詞を飛ばしました。いや、正確には、一応は云ったのです。でも其のワンフレーズは呂律が回っていなかった。明らかに、狼狽していました。あんな那奈ちゃんは、初めて観たよ。
夜の部のカーテンコールで、那奈ちゃんは僕を観て、手を振り会釈してくれました。格別なサービスです。なかなか、其処までしてくれる日は無いんですよ。きっと、アノ時に「ハラハラ」していたのを、観ていたからだと思いました。「那奈ちゃん、頑張れ!」って聞こえていたんだと思いました。
「そんな莫迦な!」って思っても構いません。でも、僕は、そう思った。
(姫川未亜)