
1962年10月5日に、ビートルズはパーロフォンから、シングル「LOVE ME DO / P.S. I LOVE YOU」で遂にメジャー・デビューしました。既にドラマーはピート・ベストからリンゴ・スターに交代しており、ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スターの4人で、解散まで不動のメンバーとなります。しかしながら、ビートルズにはハンブルクへの最後の巡業が残っていて、1962年12月にドイツのハンブルクにあるスター・クラブで演奏したのです。その音源は家庭用テープレコーダーで録音されていて、ビートルズ解散後の1977年になって、それを元にしたライヴ盤を出そうとしたものの、ビートルズに拒否されてしまいます。それでも強行突破して、1977年4月8日にドイツ(ベラフォン)で、同年5月10日に日本(ビクター)で、同年5月25日に英国(リンガソング)で、同年6月13日に米国(リンガソング)で、リリースされてしまったのです。録音は、1962年12月21日、25日、28日、31日の4回行われていて、前述の通り家庭用テープレコーダーで録音された劣悪な音質ですが、このライヴ盤に対抗する為に、英国・パーロフォンと米国・キャピトルは1977年5月に公式ライヴ盤「THE BEATLES AT THE HOLLYWOOD BOWL」をリリースしたのでした。
内容は、A面が、1「INTRODUCTION」、2「I SAW HER STANDING THERE」、3「ROLL OVER BEETHOVEN」、4「HIPPY HIPPY SHAKE」、5「SWEET LITTLE SIXTEEN」、6「LEND ME YOUR COMB」、7「YOUR FEETS TO BIG」で、B面が、1「TWIST AND SHOUT」、2「MR. MOONLIGHT」、3「A TASTE OF HONEY」、4「BESAME MUCHO」、5「REMINISCING」、6「KANSAS CITY / HEY, HEY, HEY, HEY」で、C面が、1「AIN'T NOTHING SHAKIN'」、2「TO KNOW HER IS TO LOVE HER」、3「LITTLE QUEENIE」、4「FALLING IN LOVE AGAIN」、5「ASK ME WHY」、6「BE-BOP-A-LULA」、7「HALLELUJAH, I LOVE HER SO」で、D面が、1「RED SAILS IN THE SUNSET」、2「EVERYBODY'S TRYING TO BE MY BABY」、3「TAKIN' 'BOUT YOU」、4「MATCHBOX」、5「SHIMMY SHAKE」、6「LONG TALL SALLY」、7「REMEMBER YOU」の、27トラック26曲入りです。最初はイントロダクションですし、「BE-BOP-A-LULA」と「HALLELUJAH, I LOVE HER SO」の2曲はスター・クラブのウェイターが歌っているので、実質24曲です。レノン=マッカートニー作品は「I SAW HER STANDING THERE」と「ASK ME WHY」の2曲のみで、他はカヴァー曲です。
米国盤は選曲が異なっていて、「I SAW HER STANDING THERE」、「ASK ME WHY」、「RIMINISCING」、「TWIST AND SHOUT」の4曲が外されて、「I'M GONNA SIT RIGHT DOWN AND CRY OVER YOU」、「SHEILA」、「TILL THERE WAS YOU」、「WHERE HAVE YOU BEEN ALL MY LIFE?」の4曲が加わっています。つまり、コレでビートルズが演奏して歌っているのは28曲となりました。その後、このスター・クラブ音源は、繰り返しビートルズが非公認のメジャーレーベル盤やブートレグでリリースされていますけれど、あくまでも「家庭用テープレコーダーでワンマイクで録音」なので、音は悪いです。しかしながら、音質は劣悪ながらも、当時のビートルズが荒々しい演奏をしていた様子は伺えて、興味深い音源ではあります。近年では「ETERNAL GROOVES」と云う日本を拠点としたメイカーが、ブートレグのコピー盤をハーフオフィシャル盤として乱発していて、その中にCD2枚組の「THE COMPLETE STAR CLUB TAPES 1962」として全44トラック入りでリリースしていて、あたくしも持っています。4日に渡る演奏を日付順に並べているのですけれど、ビートルズの演奏は37曲ですし、イントロやアウトロも入れての全44トラックで、ビートルズが歌っていない曲も含めての37曲です。音は以前よりはマシになったものの、元が元なので悪いです。ボーナス・トラックには他のバンドの演奏が5曲も入っていて、あまり嬉しくありません。
ちなみに、内容は、CD1が、1「BE-BOP-A-LULA」(ビートルズはバック・バンド)、2「I SAW HER STANDING THERE」、3「HALLELUJAH, I LOVE HER SO」(ビートルズはバック・バンド)、4「RED HOT」(ジョンがオルガン担当)、5「SHEILA」、6「KANSAS CITY / HEY, HEY, HEY, HEY」、7「SHIMMY LIKE KATE」、8「REMINISCING」、9「RED SAILS IN THE SUNSET」、10「SWEET LITTLE SIXTEEN」、11「ROLL OVER BEETHOVEN」、12「A TASTE OF HONEY」と、ここまでが1962年12月21日の演奏で、13「NOTHIN’ SHAKIN'(BUT THE LEAVES ON THE TREE)」、14「I SAW HER STANDING THERE」、15「TO KNOW HER IS TO LOVE HER」、16「EVERYBODY'S TRYING TO BE MY BABY」、17「TILL THERE WAS YOU」、18「WHERE HAVE YOU BEEN ALL MY LIFE?」、19「LEND ME YOUR COMB」、20「YOUR FEETS TO BIG」、21「I'M TALKING ABOUT YOU」、22「A TASTE OF HONEY」、23「MATCHBOX」、24「LITTLE QUEENIE」と、ここまでが12月25日の演奏です。
つづいて、CD2が、1「TWIST AND SHOUT」、2「MR. MOONLIGHT」、3「BESAME MUCHO」、4「FALLING IN LOVE AGAIN」、5「I'M TALKING ABOUT YOU」(不完全収録)、6「LONG TALL SALLY」、7「I'M GONNA SIT RIGHT DOWN AND CRY (OVER YOU)」、8「I REMEMBER YOU」、9「ROLL OVER BEETHOVEN」、10「GOODNIGHT」と、ここまでが12月28日の演奏で、11「INTRODUCTION」、12「ROAD RUNNER」(サウンドチェック音源)、13「HIPPY HIPPY SHAKE」、14「A TASTE OF HONEY」(トニー・シェリダンと共演)、15「ASK ME WHY」と、ここまでが12月31日の演奏です。その後のボーナス・トラックの16〜20は、ビートルズの演奏ではありません。日付順に可能な限り収録した感じですが、「I SAW HER STANDING THERE」や「ROLL OVER BEETHOVEN」や「A TASTE OF HONEY」や「I'M TALKING ABOUT YOU」、と云った曲は重複しています。故に、ビートルズ37曲収録と云っても、お馴染みの曲ばかりが並んでいるので、従来の28曲からそれほど増えているわけでもないんですよね。何やら、この音源を公式でデミックスする噂もあるので、それまで待った方が得策かもしれません。
(小島イコ)