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2025年04月22日

「ポールの道」#708「THE BEATLES BLACK VOX」
#017「THE BEATLES AT THE HOLLYWOOD BOWL COMPLETE COLLECTOR'S EDITION」

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1976年2月に、英国EMIと米国キャピトルは、新たにビートルズとの契約を結びました。勿論、ビートルズは既に解散してはいましたが、1962年から1970年までの既発音源を使ったコンピレーション・アルバムをリリースする事が出来る契約となったのです。それで、最初に制作されたのが、1976年6月にリリースされた編集盤「ROCK'N'ROLL MUSIC」です。ソレは、LP2枚組全28曲を収録したもので、1973年4月にリリースされたオールタイム・ベスト・アルバム「THE BEATLES 1962-1966(赤盤)」と「THE BEATLES 1967-1970(青盤)」全54曲入りとは4曲しかダブリがない選曲もウケて、単なる編集盤なのに全米2位・全英11位と大ヒットしました。そもそもベスト・アルバムにすぎなかった「赤盤」と「青盤」も、「赤盤」が全米3位・全英3位で、「青盤」は全米首位!・全英2位とバカ売れしていたので、レコード会社としては「元・ビートルズ」のソロ・アルバムよりも、昔のビートルズ本隊を重要視していて、それは2025年の現在でも変わりません。そんな時に、ビートルズがデビュー当時の1962年12月にハンブルクのスター・クラブで行ったライヴ音源を元にした「LIVE AT THE STAR-CLUB IN HAMBURG, GERMANY; 1962」が、1977年4月8日にドイツのベラフォンから強行突破してリリースされて、米国(同年6月13日・リンガソング)や、英国(同年5月25日・リンガソング)や、日本(同年5月10日・ビクター)でも、なし崩し的にリリースされてしまったのです。

この音源は、家庭用テープレコーダーで録音された劣悪な音質で、ビートルズ側ではリリース自体を拒否していたのですけれど、法廷闘争でも敗れて、劣悪な音質の侭で、本来契約しているEMIやキャピトル以外のレコード会社からリリースされてしまったのです。近年、それをデミックスする話もあって、それはそれで楽しみです。そこで、EMIとキャピトルは、公式のライヴ・アルバムをリリースする事で対抗しました。ソレが、ビートルズの公式盤では唯一のライヴ・アルバムである「THE BEATLES AT THE HOLLYWOOD BOWL」です。このライヴ・アルバムは、1977年5月4日(米国キャピトル)・同年5月6日(英国パーロフォン)・同年5月20日(日本、東芝EMI)からリリースされていて、スター・クラブ音源に素早く対抗したと分かります。そもそも、米国キャピトルはビートルズが現役時代にライヴ・アルバムをリリースしようと考えていて、1964年8月23日と1965年8月29日と30日のハリウッド・ボウルでの3公演を3トラックでライヴ・レコーディングしていたのです。サー・ジョージ・マーティンも同席してのライヴ・レコーディングだったものの、本当に「単にその場に居ただけ」だったらしく、ビートルズもファンの絶叫の中でマトモなPAすらなく自分の演奏すら聞こえない状況でのライヴ音源に納得せずに、お蔵入りとなっていました。それを、10年以上経って引っ張り出して、サー・ジョージ・マーティンとジェフ・エメリックが3トラック録音からリミックスしたのです。

オリジナルの内容は、A面が、1「TWIST AND SHOUT」(1965年8月30日)、2「SHE'S A WOMAN」(1965年8月30日)、3「DIZZY MISS LIZZY」(前半が1965年8月30日、後半が同年8月29日)、4「TICKET TO RIDE」(1965年8月29日)、5「CAN'T BUY ME LOVE」(1965年8月30日)、6「THINGS WE SAID TODAY」(1964年8月23日)、7「ROLL OVER BEETHOVEN」(1964年8月23日)で、B面が、1「BOYS」(1964年8月23日)、2「A HARD DAY'S NIGHT」(1965年8月30日)、3「HELP !」(1965年8月29日)、4「ALL MY LOVING」(1964年8月23日)、5「SHE LOVES YOU」(1964年8月23日)、6「LONG TALL SALLY」(1964年8月23日)の、全13曲入りです。サー・ジョージ・マーティンによれば、「DIZZY MISS LIZZY」を2回の公演分で繋いだ以外は、一切オーバーダビングもせず、演奏やヴォーカルにも手を加えてはいないそうです。このライヴ・アルバムは、全米2位・全英首位!・日本首位!と大ヒットして、レコード会社は「やっぱり、ビートルズは売れる!」と確信を持ったのでした。そりゃあ、リリース当時でも10年以上も前のライヴ・レコーディング音源がバカ売れしたのですから、そう思うでしょう。しかしながら、1987年から1988年にかけてビートルズが初CD化された時に、このライヴ・アルバムは、何故か無視されたのです。

CD化後に、この時の音源からは、1996年3月にシングル「REAL LOVE」のカップリングで、未発表だった1965年8月30日の「BABY'S IN BLACK」が収録されて、2006年11月の「LOVE」に未発表だった1964年8月23日の「I WANT TO HOLD YOUR HAND」の一部がマッシュアップされただけでした。それが、2016年9月9日になって、ロン・ハワード監督のビートルズ・ライヴ・ドキュメンタリー映画「EIGHT DAYS A WEEK」に合わせて初CD化されたのです。内容は、1977年盤の全13曲に加えて、14「YOU CAN'T DO THAT」(1964年8月23日)、15「I WANT TO HOLD YOUR HAND」(1964年8月23日)、16「EVERYBODY’S TRYING TO BE MY BABY」(1965年8月30日)、17「BABY'S IN BLACK」(1965年8月30日)の4曲をボーナストラックとして収録した、全17曲入りになっています。タイトルも「THE BEATLES LIVE AT THE HOLLYWOOD BOWL」と改題されていて、ジャケットも些かダサいデザインに改変されて、サー・ジョージ・マーティンの息子であるジャイルズ・マーティンと、サム・オケルが、オリジナルの3トラック・テープまで遡ってリミックスをしています。そして、このリイシュー盤は、ライヴ・レコーディングされて半世紀以上も経った2016年に、全米7位・全英3位・日本3位と、またしても大ヒットしてしまったのです。兎に角、ビートルズは出せば売れるのです。

さて、ここまでは公式盤のお話ですけれど、ライヴ・レコーディングは3回行われているわけで、全13曲にボーナス・トラック4曲を加えても全17曲で、それで全てではありません。CD化が遅れた事もあって、パイレート盤も多いアルバムです。ストレート・リイシューしたものでは、以前に紹介したアルバム「HEY JUDE」とアルバム「THE BEATLES AT THE HOLLYWOOD BOWL」の「2in1」であるパイレート盤「THE CAPITOL MASTERS VOL.6」があります。それで、このライヴ・レコーディングの全貌を明かしたブートレグも色々と出ていますが、あたくしが持っているのは2013年に「dap」から出た 「THE BEATLES AT THE HOLLYWOOD BOWL COMPLETE COLLECTOR'S EDITION」です。内容は、CD2枚組で、まずはCD1にはオリジナルの「THE BEATLES AT THE HOLLYWOOD BOWL」全13曲に加えて、14「TWIST AND SHOUT」(1964年8月23日、「THE BEATLES’ STORY」ステレオ・ミックス)、15「ALL MY LOVING」(1964年8月23日、「ANTHOLOGY」ミックス)、16「BABY'S IN BLACK」(1965年8月30日、「ANTHOLOGY」ミックス)、17「TWIST AND SHOUT」(1964年8月23日、「THE BEATLES' STORY」モノラル・ミックス)の、レアな音源4曲がつづきます。

そして、18「INTRODUCTION」、19「TWIST AND SHOUT」、20「YOU CAN'T DO THAT」、21「ALL MY LOVING」、22「SHE LOVES YOU」、23「THINGS WE SAID TODAY」、24「ROLL OVER BEETHOVEN」、25「CAN'T BUY ME LOVE」、26「IF I FELL」、27「I WANT TO HOLD YOUR HAND」、28「BOYS」、29「A HARD DAY'S NIGHT」、30「LONG TALL SALLY」、と1964年8月23日公演の全12曲が収録されていて、全30曲入りです。CD2は、1「OPENING」、2「TWIST AND SHOUT」、3「SHE'S A WOMAN」、4「I FEEL FINE」、5「DIZZY MISS LIZZY」、6「TICKET TO RIDE」、7「EVERYBODY'S TRYING TO BE MY BABY」、8「CAN'T BUY ME LOVE」、9「BABY'S IN BLACK」、10「I WANNA BE YOUR MAN」、11「A HARD DAY'S NIGHT」、12「HELP!」、13「I'M DOWN」と、1965年8月29日の全12曲が、更に、14「OPENING」、15「TWIST AND SHOUT」、16「SHE'S A WOMAN」、17「I FEEL FINE」、18「DIZZY MISS LIZZY」、19「TICKET TO RIDE」、20「EVERYBODY'S TRYING TO BE MY BABY」、21「CAN'T BUY ME LOVE」、22「BABY'S IN BLACK」、23「I WANNA BE YOUR MAN」、24「A HARD DAY'S NIGHT」、25「HELP!」、26「I’M DOWN」の、1965年8月30日公演全12曲がつづき、全26曲入りで、CD2枚で全56曲入りです。

つまり、オリジナル全13曲に加えて、3トラックでライヴ・レコーディングした全3公演の全てが収録されています。この全貌を聴くとですね、何故、サー・ジョージ・マーティンとジェフ・エメリックは1977年リリースのオリジナルの段階で、全13曲にしてしまったのか、そして、2016年のCD化で、ジャイルズ・マーティンとサム・オケルは4曲しかボーナス・トラックを加えなかったのか、が分かってしまうのです。全36曲中、1965年の2公演での12曲は同じセットリストなので、全24曲をビートルズは演奏しています。それで、両方で演奏したのは、「TWIST AND SHOUT」と「CAN'T BUY ME LOVE」と「A HARD DAY'S NIGHT」の3曲だけなので、全21曲となって、1964年公演からは「IF I FELL」の1曲が、1965年公演からは「I FEEL FINE」と「I WANNA BE YOUR MAN」と「I'M DOWN」の3曲が、合計4曲が2016年盤からは外されています。「I WANNA BE YOUR MAN」を入れるとリンゴ・スターの歌が2曲になってしまうし、「I'M DOWN」は「LONG TALL SALLY」と同じ様なもんだからどちらかを選択したのでしょう。「IF I FELL」と「I FEEL FINE」は、出来が悪かったと判断したのでしょう。それにしたって、1965年8月29日の演奏曲が少ないのですけれど、それは全長盤で聴けば良く分かります。なんとまあ、前半でポール・マッカートニー用のマイクがオフになっていてですね、ポールの声が全く聴こえないのです。ポールがリード・ヴォーカルの曲はカラオケ状態で、それじゃあ、ブートレグでしか聴けません。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする

「雲霧仁左衛門3」第三回(再)で内山理名ちゃん

キャロル・キング・ミュージック(紙ジャケット仕様)


時代劇専門チャンネル 7:00〜8:00

第三回「ほおずきの調べ」

内山理名 AS 七化けのお千代

「雲霧仁左衛門3」第三回の、今年2回目の再放送です。第三回では、冒頭から江戸の町を歩く理名ちゃんが演じる七化けのお千代姐さんが登場します。雲霧仁左衛門の指図で、お千代姐さんは豊田屋の内偵にむかいます。しかし、安部式部も内偵をもちいて、探り合いとなります。騙し合いの末、引き分けと云ったところでしょう。

本放送:2017年1月20日(NHK BSプレミアム)

(姫川未亜)

posted by 栗 at 08:00| RINA | 更新情報をチェックする