
1967年縛りになってからのビートルズのパチモンCDは、アノ手コノ手を使って、何とか1967年までの音源で格好をつけようとしております。しかしながら、どんなに頑張っても1967年の元々は米国キャピトル編集盤だったアルバム「MAGICAL MYSTERY TOUR」までの音源しか使えず、開き直って年代順にして「1962-1967」でコピーするしかありません。それで、以前に紹介した「ビートルズ小辞典」の様な1968年以降の曲は「高音質別テイクで収録!」などと謳って、何とかしようとした強者もいました。それでも無理があったのか、苦情が殺到したのか、著作権で引っ掛かったのか、そうしたパチモンは消えてゆきました。今回紹介するのは、「THE BEATLES HIT PARADE 20」と云う3枚です。コレはバラ売りされていたのですけれど、事実上はCD3枚セットになっています。内容は、1967年縛りでのアルファベット順にビートルズの曲を合計60曲並べたもので、コンセプトとしては「ビートルズ小辞典」と同じですけれど、ツッコミどころがあるCDです。
まずは1枚目が「THE BEATLES HIT PARADE 20 ACT NATURALLY〜HELP!」で、1「ACT NATURALLY」、2「ALL MY LOVING」、3「ALL YOU NEED IS LOVE」、4「AND I LOVE HER」、5「ANNA(GO TO HIM)」、6「ASK ME WHY」、7「CAN'T BUY ME LOVE」、8「A DAY IN THE LIFE」、9「DAY TRIPPER」、10「DO YOU WANT TO KNOW A SEACRET」、11「DRIVE MY CAR」、12「EIGHT DAYS A WEEK」、13「ELEANOR RIGBY」、14「FIXING A HOLE」、15「THE FOOL ON THE HILL」、16「FROM ME TO YOU」、17「GIRL」、18「A HARD DAY'S NIGHT」、19「HELLO GOODBYE」、20「HELP!」の、全20曲入りです。1曲目がリンゴ・スターが歌うカヴァー曲と云う、アルファベット順でなければ有り得ないスタートにはズッコケますし、「CAN'T BUY ME LOVE」の次が「A DAY IN THE LIFE」と云う展開にも、眩暈がしますなあ。
2枚目が「THE BEATLES HIT PARADE 20 HOLD ME TIGHT〜MISERY」で、1「HOLD ME TIGHT」、2「I CALL YOUR NAME」、3「I DON'T WANT TO SPOIL THE PARTY」、4「I FEEL FINE」、5「I SAW HER STANDING THERE」、6「I WANT TO HOLD YOUR HAND」、7「I'LL BE BACK」、8「I'LL CRY INSTEAD」、9「I'LL FOLLOW THE SUN」、10「I'LL GET YOU」、11「I'M DOWN」、12「I'M HAPPY JUST TO DANCE WITH YOU」、13「IF I FELL」、14「IN MY LIFE」、15「LONG TALL SALLY」、16「LOVE ME DO」、17「LUCY IN THE SKY WITH DIAMONDS」、18「MAGICAL MYSTERY TOUR」、19「MICHELLE」、20「MISERY」の、全20曲入りです。これまた、1曲目が「HOLD ME TIGHT」と云う駄曲から始まっていて、1枚目の最後の「HELP!」と交換出来なかったのか、そもそも何故に「HOLD ME TIGHT」を選曲したのか、理解に苦しみます。
3枚目が「THE BEATLES HIT PARADE 20 MR. MOONLIGHT〜YOU'VE GOT TO HIDE YOUR LOVE AWAY」で、1「MR. MOONLIGHT」、2「THE NIGHT BEFORE」、3「NO REPLY」、4「NORWEGIAN WOOD(THIS BIRD HAS FLOWN)」、5「NOWHERE MAN」、6「P.S. I LOVE YOU」、7「PAPERBACK WRITER」、8「PENNY LANE」、9「PLEASE PLEASE ME」、10「ROCK AND ROLL MUSIC」、11「SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND」、12「SHE LOVES YOU」、13「SHE'S A WOMAN」、14「TELL ME WHAT YOU SEE」、15「THANK YOU GIRL」、16「TICKET TO RIDE」、17「WE CAN WORK IT OUT」、18「YELLOW SUBMARINE」、19「YESTERDAY」、20「YOU'VE GOT TO HIDE YOUR LOVE AWAY」の、全20曲入りで、3枚合計で全60曲入りです。やはり、1966年や1967年の曲は、こうしてごった煮の中にぶち込まれると浮いてしまうので、アルバム「REVOLVER」やアルバム「SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND」からの曲が少ないのです。
アルファベット順は、「A HARD DAY'S NIGHT」を1曲目にしたくてやらかした「ビートルズ小辞典」ではなく、定冠詞の「A」や「THE」を含まないこちらの方がしっくりきます。日本の「ECHO INDUSTRY」と云う会社が制作したもので、例の「JASRAC」のシールが貼ってある「ハーフ・オフィシャル盤」です。こんなパチモンが売れたからと云って、ビートルズ本人たちに印税が払われているとは思えませんなあ。このCDは、ズバリ云ってジャケットが面白い「出オチ」のパチモンです。1枚目はアルバム「WITH THE BEATLES」の、2枚目はアルバム「A HARD DAY'S NIGHT」の、そして3枚目はアルバム「BEATLES FOR SALE」の、それぞれパロディになっていて、ビートルズの4人を、外国人の子ども4人が演じています。子どもたちの「やらされている」感が、何とも云えないジャケットです。中味は、最初のアルバム4作がモノラルで、後はステレオで、初CD化音源からのコピーなので、特に面白い音源はありません。「A DAY IN THE LIFE」の後に「インナーグルーヴ」入りなのも、他のパチモンCDでも収録しているので、特に珍しくはありません。ジャケットと同じ写真を使ってデザインした、ピクチャー・ディスク仕様です。4人の子どもたちはとっくに大人になっているでしょうけれど、コレを見たらどんな気分なのでしょうか。
(小島イコ)