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2025年04月11日

「ポールの道」#697「THE BEATLES BLACK VOX」
#006「THE WORLD'S BEST」

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アナログ盤時代のビートルズの公式盤からレア・トラックを集めてブートレグにすると云う技は、実はアナログ盤時代からあって、アルバム「COLLECTORS ITEMS」や、アルバム「CASUALTIES」などが出ていました。これらは、米国キャピトル盤には収録されていないミックス違いヴァージョンを集めたパイレート盤ですが、それが出たので米国キャピトルは対抗策として公式盤の「THE BEATLES RARITES」を1980年にリリースしたと云われています。「CASUALTIES」は、オリジナル仕様と拡大盤を持っているので、追々紹介します。そうしてアナログ盤時代から「ミックス違い」は密かに楽しまれていたのですけれど、やはり1987年から1988年にかけてビートルズの音源が初CD化されて、全世界統一規格になってしまった事で、逆にレア・トラックが増えてしまった事によって、以前ならばパイレート盤にすぎなかった音源集が、公式盤には未収録のブートレグもどきとなって市場を荒らす様になってしまったのです。それで、公式盤としては1989年にシングルの箱が、1992年にEPの箱が出て、モノラル・ミックスが聴ける様になったり、1993年になってようやく「THE BEATLES 1962-1966(赤盤)」と「THE BEATLES 1967-1970(青盤)」をCD化した時に初期音源がステレオ化されたり、1994年に「BBC」音源が出たり、1995年から1996年にかけてボツ音源集「ANTHOLOGY」が出たり、2004年と2006年に米国キャピトル盤の箱が出たり、2009年にはステレオとモノラルの全集リマスター音源が出たり、2017年からはリミックス盤の箱が出ていて、なし崩し状態となりました。

しかしながら、それでもアナログ盤時代のビートルズの音源には「ミックス違い」が残っているわけで、それらをコピーしたパイレート盤の様なブートレグはなくなりません。今回はそんな中から「THE WORLD'S BEST」を紹介します。コレは、以前から出ていたものですが、あたくしは1994年の「FAB GEAR」からの「new remaster edition」を持っています。内容は、1「I WANT TO HOLD YOUR HAND」、2「SHE LOVES YOU」、3「FROM ME TO YOU」、4「ALL MY LOVING」、5「A HARD DAY'S NIGHT」、6「I SHOULD HAVE KNOWN BETTER」、7「AND I LOVE HER」、8「I FEEL FINE」、9「TICKET TO RIDE」、10「HELP!」、11「YESTERDAY」、12「WE CAN WORK IT OUT」、13「DAY TRIPPER」、14「NORWEGIAN WOOD(THIS BIRD HAS FLOWN)」、15「GIRL」、16「HERE, THERE AND EVERYWHERE」、17「STRAWBERRY FIELDS FOREVER」、18「PENNY LANE」、19「I AM THE WALRUS」、20「HEY JUDE」、21「REVOLUTION」、22「ACROSS THE UNIVERSE」、23「THE BALLAD OF JOHN AND YOKO」、24「LET IT BE」、25「BEATLES’ MOVIE MEDLEY」の、全25曲入りです。ざっと見ると、2000年のベスト・アルバム「1」と似た様な、オールタイム・ベスト・アルバムの様に思えますけれど、中味は「別ミックス」の泥沼に誘うには充分なテイクがテンコ盛りなのです。裏ジャケットには「THIS COMPILATION USED OFFICIAL SOURCE ONLY」と書かれていて、つまりはブートレグではなく、パイレート盤であると云うわけです。

まず、最初の「I WANT TO HOLD YOUR HAND」は、オーストラリア盤のみの別ステレオ・ミックスです。1963年にステレオ・ミックスされた音源ですが、1976年にオーストラリア盤シングルだけで登場しました。この曲のステレオ・ミックスは、他に1965年版(ドイツ盤などで聴ける)と1966年版(現在CDで聴ける)があります。この時点で、もう公式盤CDでは聴けないミックスに引きずり込まれます。「SHE LOVES YOU」は、1964年のドイツ盤の疑似ステレオ・ミックスです。「FROM ME TO YOU」は1966年のステレオ・ミックスで、現在では公式盤CDでも聴けます。「ALL MY LOVING」はイントロにハイハット入りの1965年のオランダ盤ステレオ・ミックスで、「A HARD DAY'S NIGHT」は1964年の米国ユナイテッド・アーティスツ・シングル・モノラル・ミックスで、「I SHOULD HAVE KNOWN BETTER」は1982年の編集アルバム「REEL MUSIC」のステレオ・リミックスで、「AND I LOVE HER」はエンディングが6回の1964年のドイツ盤ステレオ・ミックスで、「I FEEL FINE」は1965年のウイスパー・ステレオ・ミックスで、「TICKET TO RIDE」はイントロがカットされている1965年のオランダ盤ステレオ・ミックスで、「HELP!」は1965年の米国キャピトル盤のイントロに「なんちゃってジェイムズ・ボンドのテーマ」が入っているステレオ・ミックスで、「YESTERDAY」は1966年の米国キャピトル盤「YESTERDAY AND TODAY」のモノラル・ミックスです。

つづいて「WE CAN WORK IT OUT」は1965年のオーストラリア盤のステレオ・ミックスで、「DAY TRIPPER」は1965年の別のステレオ・ミックスで、「NORWEGIAN WOOD(THIS BIRD HAS FLOWN)」は1980年の編集盤アルバム「THE BEATLES BALLADS」での別ステレオ・リミックスで、「GIRL」と「HERE, THERE AND EVERYWHERE」は1977年の編集盤アルバム「LOVE SONGS」での別ステレオ・リミックスで、「STRAWBERRY FIELDS FOREVER」は1967年の米国キャピトル盤ステレオ・ミックスで、「PENNY LANE」はキャピトル・プロモーション・シングルのモノラル・トランペット・エンディング・ミックスをステレオ・ミックスと合成した1980年の編集盤アルバム「RARITIES」ミックスで、「I AM THE WALRUS」は同じく米国キャピトル盤アルバム「RARITIES」での編集ステレオ・ミックスで、「HEY JUDE」は1982年の編集盤アルバム「20 GREATEST HITS」での短縮ステレオ・ミックスで、「REVOLUTION」は1968年のオリジナル・アナログ・ステレオ・ミックスで、「ACROSS THE UNIVERSE」は1970年のブラジル盤のモノラル・ミックス(おそらくステレオをモノラルにしただけ)で、「THE BALLAD OF JOHN AND YOKO」は1969年のオーストラリア盤ステレオ・ミックスです。

更に、「LET IT BE」は1970年の日本盤シングル・モノラル・ミックスで、「BEATLES' MOVIE MEDLEY」は1982年にシングル盤のみでリリースされたステレオ・ミックスです。問題は、日本盤の「LET IT BE」シングル・モノラル・ミックスで、このシングルはあたくしが初めて手に入れたビートルズのシングル盤だったのですけれど、ジャケットには「STEREO」と印刷されていました。ところが、聴いてみたらB面の「YOU KNOW MY NAME(LOOK UP THE NUMBER)」と同様にモノラルだったのです。コレはですね、後になって知ったのですけれど、英国からのマスターテープが発売予定日に間に合う日までには届かなくて、仕方ないので盤起こしで収録して、音の悪さを目立たなくする為にステレオ盤シングルを単純にモノラルにして収録してしまい、ジャケットは先に印刷しちゃっていたので「STEREO」表記の侭で発売してしまったのです。そんなもんが「レア・トラック」として「THE WORLD'S BEST」に収録されちゃったのは、日本の恥ですなあ。後にシールで隠したり、黒で塗りつぶしたりして販売していたのも、恥の上塗りでした。「BEATLES' MOVIE MEDLEY」に関しては、「STARS ON 45」に便乗して本家本元が出してしまったシングルなので、なかった事にされているのでしょう。「THE WORLD'S BEST」は、別ジャケットで選曲が異なる20曲入りの盤も出ていますけれど、そっちはそっちで楽しめます。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする

「雲霧仁左衛門2」第四回(再)で内山理名ちゃん

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時代劇専門チャンネル 7:00〜8:00

第四回「生き別れた娘」

内山理名 AS 七化けのお千代

「雲霧仁左衛門2」第四回の、今年2回目の再放送です。第四回では、雲霧一党の木鼠の吉五郎の生き別れた娘と思われるおひさが登場します。しかし其れは敵対盗賊組織が企んだ芝居で、雲霧仁左衛門たち雲霧一党は敵対盗賊組織を一網打尽にして、おひさも助けます。「家族をも犠牲にしても守る、其れが盗人の掟!」と啖呵を切る吉五郎の見せ場もあります。理名ちゃんが演じた七化けのお千代姐さんは、遊女に化けて敵対盗賊組織殲滅に協力しています。ところで、お千代姐さんは少女時代に雲霧仁左衛門から財布をスリ取ろうとして、それがキッカケで雲霧一党に入って七化けなどの技を仕込まれていて、他の手下にも同じ様な手を使って忠誠を誓わせているみたいなので、雲霧仁左衛門もかなりヤバイ奴です。

本放送:2015年2月27日(NHK BSプレミアム)

(姫川未亜)

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