「ポールの道」＃６９０「LENNON SONGS」＃１１５ 「REAL LOVE」

１９８８年１０月４日（米国・キャピトル）・同年１０月１０日（英国・EMI/パーロフォン）にリリースされた、ジョン・レノンの伝記映画「IMAGINE」のサントラ盤には、冒頭に未発表曲「REAL LOVE」が収録されています。それは１９７９年１０月にジョンが自宅でレコーディングしたデモ音源で、ジョンがアコースティック・ギターの弾き語りで歌っていて、途中で１９７０年にリリースしたアルバム「JOHN LENNON / PLASTIC ONO BAND（ジョンの魂）」に収録されていた「ISOLATION」が出て来る楽曲制作の途中段階でのデモ音源でした。ジョンはこの曲を１９８０年のアルバム「DOUBLE FANTASY」に収録しようと考えていたのですけれど、結局はレコーディングせずに終わっています。１９９４年１月１９日に行われた「ロックンロール・ホール・オブ・フェイム」の授賞式で、ジョンがソロで殿堂入りを果たした時に、ポール・マッカートニーがプレゼンターを務めて、オノ・ヨーコさんからジョンのデモ音源４曲（「FREE AS A BIRD」、「REAL LOVE」、「NOW AND THEN」、「GROW OLD WITH ME」）のピアノの弾き語りが入ったテープを受け取り、それを元にして、ジョージ・ハリスンとリンゴ・スターと、ジェフ・リンを加えた布陣でオーバーダビングして、ビートルズの新曲としてレコーディングしたのでした。これらの新曲は、サー・ジョージ・マーティンが聴覚の衰えでプロデュースを辞退していて、代わりに「ビートルズ大好き男」のジェフ・リンが起用されています。

まずは最初に「FREE AS A BIRD」が取り上げられて、１９９５年１１月２０日にアップルからリリースされたビートルズのアルバム「ANTHOLOGY １」（全米首位！・全英２位・日本３位）の冒頭に収録されて、同１９９５年１２月にシングル・カットされて、全英２位・全米６位と大ヒットしました。翌１９９６年３月１８日には、第２弾アルバム「ANTHOLOGY ２」がアップルからリリースされて、全英首位！・全米首位！・日本３位と大ヒットして、１９９６年３月４日（米国・日本）・同年３月５日（英国）に「REAL LOVE」がシングル・カットされて、全英４位・全米１１位とヒットしています。こちらのビートルズ・ヴァージョンは、１９８０年７月にジョンがピアノの弾き語りで歌っているデモ音源を元にしていて、レコーディング・メンバーは、ジョン・レノン（ダブルトラック・リード・ヴォーカル、ピアノ）、ポール・マッカートニー（バッキング・ヴォーカル、アコースティック・ギター、ピアノ、ベース、コントラバス、ハーモニウム、ハープシコード、パーカッション）、ジョージ・ハリスン（バッキング・ヴォーカル、エレクトリック・ギター、アコースティック・ギター、パーカッション）、リンゴ・スター（バッキング・ヴォーカル、ドラムス、パーカッション）、ジェフ・リン（バッキング・ヴォーカル、ギター）です。プロデュースは、ジョン、ポール、ジョージ、リンゴ、ジェフ・リンです。

バーチャル・ビートルズの第１弾シングルとなった「FREE AS A BIRD」は、楽曲が未完成だった事もあり、些かビートルズらしからぬ出来栄えだったものの、この第２弾シングル「REAL LOVE」は、楽曲としてはジョンのデモ音源の段階で完成されていたので、グッとビートルズ風な楽曲になっています。シングル「REAL LOVE」のカップリングは、「BABY'S IN BLACK」のハリウッド・ボウルでのライヴ音源と「YELLOW SUBMARINE」と「HERE, THERE AND EVERYWHERE」の別テイクが収録されていて、この３曲はアルバム「ANTHOLOGY ２」には未収録です。CD時代になってからのビートルズやポールのシングルは、カップリングがアルバム未収録曲である事が多いので、侮れません。ミュージック・ヴィデオは、映像版「ANTHOLOGY」も監督したジェフ・ウォンフォーと、元・１０ｃｃで元・ゴドレイ＆クレームのケヴィン・ゴドレイによるもので、１９６０年代のビートルズや、１９９０年代の元ビートルズの３人の映像などが混在しています。ジョンによるピアノの弾き語りでのデモ音源は、１９９８年の箱「JOHN LENNON ANTHOLOGY」や、２００５年のベスト盤「WORKING CLASS HERO」に収録されています。アコースティック・ギターでの弾き語りデモ音源は、２００４年のコンピレーション・アルバム「ACOUSTIC」に収録されています。それにしても、次の１９９６年１０月２８日にリリースされたアルバム「ANTHOLOGY ３」も全米首位！・全英４位・日本５位となっていて、基本的には当時解散して２５年も経ったバンドのボツ音源集にすぎないコンピレーション・アルバムがバカ売れしたのですから、レコード会社は笑いが止まらなかったでしょうなあ。

（小島イコ）

「雲霧仁左衛門」第五回（再）で内山理名ちゃん

時代劇専門チャンネル　７：００〜８：００

第五回「絶体絶命」

内山理名　AS　七化けのお千代

「雲霧仁左衛門」第五回の、今年２回目の再放送です。この回では、理名ちゃんが演じる七化けのお千代姐さんが、冒頭部分で怪しい動きをする三次（「２４ JAPAN」の民三）を強烈にビンタして「私を見くびるんじゃないよ！」と啖呵を切ったり、雲霧仁左衛門とのラヴシーンの様な受け渡しがあったり、公家の後家に化けている事がバレそうになったり（だからサブタイトルが「絶体絶命」なのでしょう）と、色々な見せ場があります。岡田と云い三次と云い、女絡みで組織を裏切るどうしようもない展開です。

本放送：２０１３年１１月１日（NHK　BSプレミアム）

（姫川未亜/小島イコ）