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2025年03月15日

「ポールの道」#675「LENNON SONGS」#100 「CLEANUP TIME」

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ジョン・レノンは、1980年10月23日(米国)・同年10月24日(英国)・同年11月10日(日本)にゲフィンからリリースしたシングル「(JUST LIKE)STARTING OVER」で、5年間の沈黙を破り復活しました。そして、同年11月17日(米国・英国)・同年12月5日(日本)に、遂にアルバム「DOUBLE FANTASY」をゲフィンからリリースしたのです。内容は、A面が、1「(JUST LIKE)STARTING OVER」、2「KISS KISS KISS」、3「CLEANUP TIME」、4「GIVE ME SOMETHING」、5「I'M LOSING YOU」、6「I'M MOVING ON」、7「BEAUTIFUL BOY(DARLING BOY)」で、B面が、1「WATCHING THE WHEELS」、2「YES I'M YOUR ANGEL」、3「WOMAN」、4「BEAUTIFUL BOYS」、5「DEAR YOKO」、6「EVERY MAN HAS A WOMAN WHO LOVES HIM」、7「HARD TIMES ARE OVER」の、全14曲入りでした。が、しかし、ジョンが書いて歌っているのは、A-1「(JUST LIKE)STARTING OVER」、A-3「CLEANUP TIME」、A-5「I'M LOSING YOU」、A-7「BEAUTIFUL BOY(DARLING BOY)」、B-1「WATCHING THE WHEELS」、B-3「WOMAN」、B-5「DEAR YOKO」、の7曲のみで、他の7曲はヨーコさんが書いて歌っていて、しかも会話形式でジョンの曲とヨーコさんの曲が代わる代わる収録されていました。

ジョンは、それぞれの曲をAB面に分けてしまうと、ヨーコさんの曲が聴かれなくなってしまう事を危惧して、二人の対話形式でのアルバムにしたのですけれど、当然の如くファンの反発があって、ズバリ云ってみんなジョンの曲だけカセットテープに編集して聴いていました。訳知り顔の日本のバカな評論家は、感情的になって「通して聴け!」とか「通して聴かなければ、本当にアルバムを聴いたとは云えない!だって、これはシングルではなくダブルなんだから!」とかぬかしやがったのですけれど、ジョンが亡くなって1982年にベスト盤「THE JOHN LENNON COLLECTION」がリリースされて、このアルバム「DOUBLE FANTASY」からジョンの曲だけ「CLEANUP TIME」以外の6曲が収録されて、1990年の箱「LENNON」にはジョンの曲だけ7曲全てが収録されてしまったのは、一体どう説明するのでしょうか。人には人の聴き方があるし、幾らジョンのアルバムだからと云って「前衛3部作」なんて聴いていられない人が大多数でしょう。ジョンの7曲だけを愛聴するのが、そんなに悪い事だとは思いませんし、他人に「通して聴け!」とか説教するのが音楽評論家の仕事なのでしょうか。アルバムはジョンの「(JUST LIKE)STARTING OVER」で始まりますけれど、2曲目がヨーコさんの露悪趣味的な問題作「KISS KISS KISS」で、シングルではB面だったので聴かなければ良いだけだったのに、アルバムだと聴かざるえないわけで、まあ、普通はそこで気分を害して、通して聴くのを挫折するでしょう。気持ち悪くなってまで音楽を聴くなんて苦行は、可笑しいじゃないですか。

そして、A面3曲目には、ジョンの「CLEANUP TIME」が収録されています。1980年6月にバミューダ諸島で書かれ、同年8月から10月にかけてニューヨークのザ・ヒット・ファクトリーでレコーディングされミックスされていて、メンバーは、ジョン・レノン(ヴォーカル、リズム・ギター)、アール・スリック(リード・ギター)、ヒュー・マクラッケン(リード・ギター)、トニー・レヴィン(ベース)、ジョージ・スモール(キーボード)、ハワード・ジョンソン、グラント・ハンダーフォード、JDパラン、セルドン・パウエル、ジョージ「ヤング」オパリスキー、ロジャー・ローゼンバーグ、デビッド・トファニ、ロナルド・トゥーリー(以上、ホーン)、アンディ・ニューマーク(ドラムス)、アーサー・ジェンキンス(パーカッション)です。この楽曲は、アルバム「DOUBLE FANTASY」では最後に完成していて、前述のベスト盤から1曲だけ弾かれた「弱い曲」です。アルバム「DOUBLE FANTASY」は、ジョンとヨーコさんと共に、ジャック・ダグラスが共同プロデュースしていて、ジョンの再契約はヨーコさんが主導で行っています。どのレコード会社も「まず、ジョンと話をさせてくれ」と云う中で、新たに設立されたゲフィン・レコードだけはヨーコさんとの交渉に応じたので、契約に至ったのだそうです。「CLEANUP TIME」は、歌詞の内容は面白い(自分たちを王様と女王に例えて、王様はキッチンで主夫をやっているとか、そろそろ大掃除の時間だとか歌っている)ものの、やはり楽曲としては印象に残らない凡作です。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする