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2025年03月03日

「ポールの道」#663「LENNON SONGS」#088 「SLIPPIN' AND SLIDIN'」

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ジョン・レノンが、1975年2月17日(米国)・同年2月21日(英国)にアップルからリリースした、5作目で最後のソロ・アルバム「ROCK'N'ROLL」は、全曲がジョンが少年時代から愛したロックンロール・クラシックスのカヴァーで構成されています。ビートルズの「COME TOGETHER」の盗作疑惑から始まった企画で、ジョンは元ネタとされたチャック・ベリーの「YOU CAN'T CATCH ME」の版権を持つモーリス・レヴィに訴えられて、モーリス・レヴィが版権を持つ楽曲から3曲をカヴァーする事となったわけです。それで、チャック・ベリーの曲は「YOU CAN'T CATCH ME」と「SWEET LITTLE SIXTEEN」の2曲をカヴァーしています。盗作問題がなくとも、ジョンはチャック・ベリーを「マイ・ヒーロー」と称えていて、「チャック・ベリーは、偉大な詩人だ」とか「ロックンロールを云い代えるなら、チャック・ベリーだ」とまで発言していて、ビートルズ時代にも多くのチャック・ベリー・ナンバーをカヴァーしています。極論を云えば、3コードのロックンロールはチャック・ベリーの発明なので、例えばレッド・ツェッペリンの「ROCK AND ROLL」なども、チャック・ベリーがいなければ存在していないし、ロックンロールは全てがチャック・ベリーの盗作になってしまうのですよ。それらに対して、チャック・ベリー本人は「盗作だ」などと淋しい事は云わなかったのです。

ビートルズ時代に、ジョンがチャック・ベリーならば、ポール・マッカートニーの十八番はリトル・リチャードでした。ジョンとポールが出逢ったとされている1957年7月6日に、ポールはピアノを弾いてリトル・リチャードのモノマネをしたとも云われています。故に、ビートルズがカヴァーしたリトル・リチャード・ナンバーでは、「LONG TALL SALLY」や「HEY, HEY, HEY, HEY」や「LUCILLE」や「OOH! MY SOUL」と云った楽曲は、リード・ヴォーカルは全てポールでした。1965年に「LONG TALL SALLY」に代わるコンサートの最後に披露する曲として、ポールが主導で書いたレノン=マッカートニー作品「I'M DOWN」なんて、曲も歌い方もリトル・リチャードそのものなので、よく盗作だと訴えられなかったものです。しかし、ジョンのアルバム「ROCK'N'ROLL」には、リトル・リチャードの楽曲が「RIP IT UP / READY TEDDY」と「SLIPPIN' AND SLIDIN'」と「SEND ME SOME LOVIN'」と、メドレーを分けると4曲も収録されているのです。チャック・ベリーの楽曲が2曲で、それも盗作問題でカヴァーしなければならなかった事を考えると、リトル・リチャードの楽曲が4曲も取り上げられているのは意外だったし、そこにはポールへの対抗心も伺えます。「SLIPPIN' AND SLIDIN'」は、公式盤の「ROCK'N'ROLL」ではB面1曲目で、ブートレグの「ROOTS」ではB面4曲目に収録されています。この曲は、1974年10月の再レコーディング・セッションでの音源です。

「SLIPPIN' AND SLIDIN'」は、リトル・リチャードが1956年3月にシングルのB面としてリリースしたのがオリジナルで、A面は「LONG TALL SALLY」と云う強力盤でした。この曲は、リチャード・ペニマン(リトル・リチャード)、エドウィン・ボケージ(エディ・ボー)、アル・コリンズ、ジェームズ・スミスの、4人による共作です。1957年3月4日にリリースされたデビュー・アルバム「HERE'S LITTLE RICHARD」にも収録されていて、そのアルバムには「RIP IT UP」や「READY TEDDY」や「LONG TALL SALLY」や「MISS ANN」なども収録されているので、ジョンとポールはアルバムを聴いていたのでしょう。ジョンはシングル・カットも考えていて、サンプル盤があります。ジョンによるリトル・リチャードのカヴァーは、ポールの様な天性の明るい歌唱法とは違っていて、どこか陰があって、内臓が飛び出すかの様な絶叫ですが、二人共に文句なしにシビレます。ジョンによる「SLIPPIN' AND SLIDIN'」は、1975年4月18日放送のBBCのテレビ番組(「オールド・グレイ・ホイットル・テスト」)用にスタジオ・ライヴでの映像(収録は同年3月18日)が「STAND BY ME」と共に制作されていて、DVD「LENNON LEGEND」で観れます。同年6月13日放送(収録は同年4月18日)の「サリュート・トゥ・サー・リュー・グレイド」で、演奏は当て振りでヴォーカルだけライヴで「STAND BY ME」(未放送)と「IMAGINE」と共に披露していて、それがジョンの最後のライヴとなってしまいました。そのライヴ映像は、NHK BSの「MUST BE UKTV」で放送されています。

(小島イコ)

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「雲霧仁左衛門2」第七回(再)で内山理名ちゃん

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時代劇専門チャンネル 17:00〜18:00

第七回「血戦」

内山理名 AS 七化けのお千代

「雲霧仁左衛門2」第七回の、今年初めての再放送です。全八回なのでストーリーは大詰めで、しかも原作はこの「雲霧仁左衛門2」までで完結なので、大きなクライマックスとも云える回です。理名ちゃんが演じる七化けのお千代姐さんは、雲霧仁左衛門に保土ヶ谷に先に行って待っている様に云われますが、お千代姐さんは辻蔵之助が雲霧仁左衛門の兄だと見抜いていました。雲霧仁左衛門と別れた後に、六之助に「死ぬんじゃないよ」と告げて今回の出番は終了です。越後屋の鍵を外せずにいた富の市はおかねと共に安部式部たちに捕まり、拷問を受けますが口は割りません。いよいよ越後屋を襲う時となり、寺に忍び込んでいた雲霧一党を発見した密偵のお京は木鼠の吉五郎の刃に倒れます。雲霧一党と盗賊改の全面対決となり、雲霧仁左衛門を逃がす為に木鼠の吉五郎は壮絶な自決をしますが、これが後に2025年に放送された「雲霧仁左衛門ファイナル」に繋がっています。更に辻蔵之助も弟である雲霧仁左衛門に仇討ちを託して、自らを雲霧仁左衛門と名乗って捕まります。

本放送:2015年3月20日(NHK BSプレミアム)

(姫川未亜)

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