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2025年01月19日

「ポールの道」#620「LENNON SONGS」#045 「COME TOGETHER」

Live in New York City


1972年8月30日に、ジョン・レノンはニューヨークのマジソン・スクエア・ガーデンにて「ワン・トゥ・ワン・コンサート」を昼夜2回行いました。ジョンの生涯で最初で最後となってしまった、ソロでのフル・ライヴですけれど、当然ながらレコーディングしていたジョンは、生前にはこのライヴをお蔵入りにしました。1975年にリリースした生前で唯一のソロ・ベスト盤である「SHAVED FISH」の最後に、ほんの僅か「GIVE PEACE A CHANCE」を収録しただけで、しかもそれは、前座を務めていて最後にはジョンと一緒のステージに立ったスティーヴィー・ワンダーがヴォーカルを担当した部分だったのです。つまり、スティーヴィー・ワンダーは、ジョン・レノンともポール・マッカートニーとも共演した稀有なミュージシャンなのです。ジョンが「ワン・トゥ・ワン・コンサート」をお蔵入りにしたのは、B級バンドであるエレファンツ・メモリーに幾らジム・ケルトナーのドラムスを補強しても、演奏の酷さが目立つし、何よりもジョン本人の調子がイマイチだったからでしょう。しかしながら、ジョンのソロでは唯一のフル・ライヴであった為に歴史的な価値はあって、ジョンの死後になって、1985年に「LIVE IN NEW YORK CITY」として映像作品化されました。そちらではヨーコさんがメインで歌った曲も収録されていて、ジョンがメインの曲でもヨーコさんの「キエーッ!」が入っています。

ところが、翌1986年にリリースされたライヴ盤は、ヨーコさんの曲は勿論の事、ジョンの曲でのヨーコさんの「キエーッ!」までリミックスして消してあるのです。内容は、A面が、1「NEW YORK CITY」、2「IT'S SO HARD」、3「WOMAN IS THE NIGGER OF THE WORLD」、4「WELL WELL WELL」、5「INSTANT KARMA!(WE ALL SHINE ON)」で、B面が、1「MOTHER」、2「COME TOGETHER」、3「IMAGINE」、4「COLD TURKEY」、5「HOUND DOG」、6「GIVE PEACE A CHANCE」の全11曲入りです。映像作品では、ヨーコさんの「SISTERS, O SISTERS」と「BORN IN A PRISON」も収録されているし、ヨーコさんによる「キエーッ!」も存分に聴けますけれど、映像だとヨーコさんが奇声を発しているのがバッチリと映っているから、消すわけにはいかなかったのでしょう。映像作品もライヴ盤もヨーコさんがプロデュースしているので、ジョンのソロ・ライヴ盤にしたのはヨーコさんの意思なのです。ヨーコさんは他にも「WE'RE ALL WATER」と「DON'T WORRY KYOKO」と「MOVE ON FAST」と「OPEN YOUR BOX」の合わせて6曲をメインで歌っていますが、前述の2曲は映像作品のみで、残りの4曲は映像作品にすら収録していません。ジョンが生きていたならば、ヨーコさんをカットするなんて事はしなかっただろうし、そもそもこのライヴ音源をリリースしなかったでしょう。

曲目だけを見ると、この時点までのジョンのソロ作品からのベスト・ライヴ・ショーに思えますけれど、内容はジョンがお蔵入りにしたのも頷ける酷い演奏です。特に前半の「NEW YORK CITY」から中盤の「MOTHER」までは、エレファンツ・メモリーの下手で粗い演奏に乗せたジョンのヴォーカルもヘナチョコで、天下御免のジョン・レノン様でも、調子が悪い時もあったのだなあ、と逆に考えさせられるのです。しかし、ライヴも後半になってくると、何とかジョンも持ち直してくるのですけれど、時すでに遅しなのでした。その後半に登場するのがビートルズの「COME TOGETHER」で、1969年にリリースされたアルバム「ABBEY ROAD」のA面1曲目で、シングル・カットもされた「レノン=マッカートニー」作品のセルフ・カヴァーです。ジョンは40歳で夭折したので、ソロのライヴでビートルズ・ナンバー(レノン=マッカートニー作品)をほとんど披露していません。「COME TOGETHER」以外では、「YER BLUES」と「LUCY IN THE SKY WITH DIAMONDS」と「I SAW HER STANDING THERE」位です。「ワン・トゥ・ワン・コンサート」は昼夜2回行われたので、この「COME TOGETHER」も2ヴァージョンあって、現在では両方共に公式盤で聴けます。何故か、このライヴ盤では昼の部を中心に収録されていて、夜の部の方がジョンもノッテきていたのに、どうしてそうしたのかが謎です。

サビの「COME TOGETHER RIGHT NOW」の後で「OVER YOU, OVER THERE」とかおちゃらける昼の部と、「STOP THE WAR!」と決める夜の部と二つあって、前者はこのライヴ盤などで、後者は1998年の箱「JOHN LENNON ANTHOLOGY」や、2020年のベスト盤「GIMME SOME TRUTH.」などで聴けます。ちなみに「COME TOGETHER」は、1995年にポールもセルフ・カヴァーしています。そのポール版は、そもそもポール・ウェラーとノエル・ギャラガーが組んでレコーディングしていたら、たまたま隣のスタジオに居たポール・マッカートニーが顔を出して、おやおや「COME TOGETHER」だったら僕も入れろ、と出しゃばって、ドラムス、キーボード、ギター、バッキング・ヴォーカルを担当したばかりか、「ダメだダメだ、ジョンはそんな風に歌わない」などと歌唱指導までやって、「モジョ・フィルターズ」や「スモーキン・モジョ・フィルターズ」名義で発表したのでした。ミュージック・ヴィデオを観ると、ポール・マッカートニーだけノリノリで、ポール・ウェラーとノエル・ギャラガーがウンザリしている模様を観る事が出来ます。そりゃあ、御本人登場では「邪魔するな」とも云えませんからねえ。ポール・マッカートニーが肝心なベースを弾いていないのは、そこまでやったら「ビートルズになっちゃう」からでしょうなあ。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする

「ホテルマン東堂克生の事件ファイル〜八ヶ岳リゾート殺人事件〜」(再)で内山理名ちゃん



ファミリー劇場 7:10〜9:05

石ノ森章太郎の名作コミック「HOTEL」のスピンオフドラマ!内藤剛志&内山理名が「ホテルマン&刑事」のバディで事件を解決に導くヒューマンミステリー。

内山理名 AS 高梨薫

「ホテルマン東堂克生の事件ファイル〜八ヶ岳リゾート殺人事件〜」の、今年初めての再放送です。内藤剛志さんが演じるホテルマン東堂克生には亡くなった婚約者がいて、二人の間に生まれた生き別れの娘がいた、と云う設定のドラマです。ソノ娘が理名ちゃんが演じた刑事・高梨薫で、ホテルで起きた殺人事件の捜査に薫がやって来て、いきなり初対面で「娘です」と明かして、ギクシャクするものの父と娘で事件を解決する展開です。内藤剛志さんと理名ちゃんは共演作が多いものの親子役は初めてで、2021年11月21日に結婚した理名ちゃんは当時は新婚さんだったので、制作発表会で内藤さんが「吉田栄作が憎たらしい!親父としては、そうでしょう!」と云っていました。

本放送:2022年1月22日(BS-TBS)

(姫川未亜)

posted by 栗 at 09:05| RINA | 更新情報をチェックする