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2024年12月16日

「ポールの道」#586「LENNON SONGS」#11 「HOLD ON」

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ジョン・レノンが1970年12月11日にアップルからリリースした、実質的には初のソロ・アルバム「JOHN LENNON / PLASTIC ONO BAND(ジョンの魂)」では、アルバムのタイトル「ジョンの魂」だけではなく、ほとんどの楽曲に邦題が付いています。その邦題で紹介すると(カッコ内は原題)、A面が、1「母(MOTHER)」、2「しっかりジョン(HOLD ON)」、3「悟り(I FOUND OUT)」、4「労働階級の英雄(WORKING CLASS HERO)」、5「孤独(ISOLATION)」で、B面が、1「思い出すんだ(REMEMBER)」、2「愛(LOVE)」、3「ウェル・ウェル・ウェル(WELL WELL WELL)」、4「ぼくを見て(LOOK AT ME)」、5「神(GOD)」、6「母の死(MY MUMMY'S DEAD)」となっています。タイトルの「ジョンの魂」は、優れた邦題だとは思いますけれど、当時のジョンは日本の俳句に影響を受けていて、詞が簡潔で日本人でも分かり易い単語しか使っていなかったので、無理に邦題を付ける必要はなかったと、現在では考えられるでしょう。しかしながら、1960年代から1970年代にかけては、洋楽に邦題を付けるのは当たり前の事だったのです。何せ、1975年リリースのジェフ・ベックのアルバム「BLOW BY BLOW」に、「ギター殺人者の凱旋」と邦題が付けられていたのですよ。

アルバムのタイトルが「ジョンの魂」になったのは、内容も加味しているものの、同年同月同日にリリースされたヨーコさんのアルバム「YOKO ONO / PLASTIC ONO BAND(ヨーコの心)」とジャケット写真がほとんど同じで、木にもたれかかる2ショットで、ジョンとヨーコさんの位置が違うだけだったので、それぞれに「ジョンの魂」と「ヨーコの心」と書かれた帯を付けて、間違って買わない様にする為だったとも云われています。アルバム「JOHN LENNON / PLASTIC ONO BAND(ジョンの魂)」のA面2曲目は、シンプルな演奏の「HOLD ON(しっかりジョン)」で、レコーディング・メンバーは、ジョン・レノン(ヴォーカル、エレクトリック・ギター)、クラウス・フォアマン(ベース)、リンゴ・スター(ドラムス)の、3ピース・バンドです。1970年9月30日にEMIスタジオでレコーディングされた、単純明快で、2分にも及ばない小品ではありますが、この楽曲は何度もリハーサルを重ねていて、アルバムに収録されたのは「32テイク目」の演奏です。間奏ではジョンが、「セサミストリート」のクッキーモンスターをマネして「クッキー」と云っていて、このセリフは、リンゴ・スターが1971年4月にリリースしたシングル「IT DON'T COME EASY(明日への願い)」のB面に収録された、ビートルズのメンバーを歌い込んだ「EARLY 1970」のジョンのパートでも登場します。冒頭の「MOTHER」から打って変わって、「HOLD ON」は、詞の内容もポジティブで、曲もとても愛らしい佳曲です。

前曲「MOTHER」での叫び声がフェイドアウトして、音が小さくなったところで、ジョンがピアノをグリッサンドさせて完奏させているのですけれど、つづいてこの「HOLD ON」のイントロが始まると、人懐っこいジョンが戻って来た様で、ホッとします。アルバム「JOHN LENNON / PLASTIC ONO BAND(ジョンの魂)」は、全体的にシンプルな3ピースで演奏されていますが、前述の通り、この曲は30回以上もテイクを重ねて完成させているわけで、リハーサル音源を聴くと、ジョンがかなり計算して「ジョンの魂」を演じていたと分かります。多くのテイクを重ねてシンプルな編曲へと持ってゆく手法は、ジョンやポールがビートルズの1968年リリースのアルバム「THE BEATLES(ホワイト・アルバム)」や1969年の「THE GET BACK SESSIONS」で試みていたもので、ポールの初ソロ・アルバム「McCARTNEY」や、このジョンの初ソロ・アルバム「JOHN LENNON / PLASTIC ONO BAND(ジョンの魂)」は、その延長線上にあります。その間に1969年リリースのビートルズのアルバム「ABBEY ROAD」があるので、見えにくくなってはいるものの、ジョンがアルバム「JOHN LENNON / PLASTIC ONO BAND(ジョンの魂)」で書いた曲は、実はとてもビートルズに近い美しいものが多いのです。「HOLD ON」のデモ音源やアウトテイクは、1998年リリースの箱「JOHN LENNON ANTHOLOGY」や、2021年リリースの箱「JOHN LENNON / PLASTIC ONO BAND(ジョンの魂)」などで聴けます。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする

「法廷荒らし 弁護士 猪狩文助」(再)

必殺!!主題歌ベストセレクション~裏稼業の哀歌たち~ CD


ファミリー劇場 19:00〜20:55

片瀬那奈 AS 夏目理恵子

(撮影:2007年5月/京都、奈良ロケ)

「法廷荒らし 弁護士 猪狩文助」の、今年7回目の再放送です。那奈ちゃんが演じたのは新人弁護士の夏目理恵子で、名優・藤田まことさんが演じた猪狩弁護士と共に、冤罪事件の裁判に挑みます。全てが京都と奈良でのロケで、東京と何往復もして撮影されています。放送は11月でしたが撮影は5月で、初舞台「僕たちの好きだった革命」直後で、おそらく連続ドラマ「地獄の沙汰もヨメ次第」の撮影と被っていたと思われます。基本的にはシリアスなミステリーですが、猪狩弁護士がのらりくらりとした態度で真犯人を翻弄したり、裁判が不利になってやけ酒を呑む夏目弁護士が酔っ払うなどの笑える場面もあり、最後はスカッとする結末になっています。

本放送:2007年11月18日(BSジャパン)、2007年11月21日(テレビ東京)

(小島イコ/姫川未亜)

posted by 栗 at 20:55| ACTRESS | 更新情報をチェックする