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2024年12月14日

「ポールの道」#584「LENNON SONGS」#09 「INSTANT KARMA!(WE ALL SHINE ON)」

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ジョン・レノンが率いるプラスティック・オノ・バンドは、1969年7月に1作目のシングル「GIVE PEACE A CHANCE / REMEMBER LOVE」をリリースしていて、カタログ番号は「APPLE 13」でした。ちなみに「APPLE 12」はビリー・プレストンの「THAT'S THE WAY GOD PLANNED IT」で「APPLE 14」は欠番(ビートルズのシングルがある為)です。同年10月には2作目のシングル「COLD TURKEY / DON'T WORRY KYOKO」をリリースしていて、カタログ番号は「APPLES 1001」でした。それが1970年2月にリリースした3作目のシングルである「INSTANT KARMA! / WHO HAS SEEN THE WIND?」では、カタログ番号が「APPLES 1003」となっています。つまり、カタログ番号「APPLES 1002」が飛んでいるのですけれど、それは当初は1969年12月5日に3作目のシングルで「YOU KNOW MY NAME(LOOK UP THE NUMBER) / WHAT’S THE NEW MARY JANE」を準備していたからです。前回にも書いた通りに、もしも「レノン=マッカートニー」作品である「YOU KNOW MY NAME(LOOK UP THE NUMBER)」が「プラスティック・オノ・バンド」名義でリリースされていたならば、その後の展開も変わっていたかもしれません。しかしながら、既に1969年9月20日にはジョンはビートルズからの脱退を内々に宣言していて、ポール・マッカートニーは大きなショックを受けて、スコットランドの農場に引きこもってしまうのです。

ジョンはヨーコさんと1969年12月4日に前衛3部作につづく4作目をレコーディングして未発表となり(賢明な判断)、シングル「YOU KNOW MY NAME(LOOK UP THE NUMBER) / WHAT’S THE NEW MARY JANE」は発売直前でリリースが中止になりましたけれど、1969年9月13日に行われた「トロント・ロックンロール・リヴァイヴァル」でのライヴ音源をアルバム「LIVE PEACE IN TRONTO 1969」として1969年12月12日にプラスティック・オノ・バンド名義でリリースしてしまいます。LPレコードではA面にあたるジョン主導の6曲では、ビートルズの「YER BLUES」と、ビートルズがカヴァーした「MONEY(THAT'S WHAT I WANT)」と「DIZZY MISS LIZZY」と、半数が「ビートルズ・ナンバー」だったので、ポールはまたしても大ショックだったでしょう。自分抜きでも「ビートルズ」が成立してしまったら、ポールの立場はないのです。それだけ、ビートルズの後期は、明らかにポールが音楽的にはリーダーシップを取っていたわけで、ジョージ・ハリスンは勿論、ジョンも「ポールがいない音楽」をやれば「脱ビートルズ」として絶賛される事となってゆくのでした。英国では1970年2月6日にリリースされたプラスティック・オノ・バンドの3作目のシングル「INSTANT KARMA! / WHO HAS SEEN THE WIND?」も、ポール抜きでレコーディングされています。

ジョンは1970年1月27日に曲を書いて、その日の内にEMIスタジオでレコーディングをやって、ミックスまで、たったの1日で完成させて、2月6日にはレコードとして発売してしまったのです。曲のコード進行はビートルズが1967年7月にリリースした「ALL YOU NEED IS LOVE(愛こそはすべて)」を下敷きにしてはいるものの、全く違ったメロディーです。レコーディング・メンバーは、ジョン・レノン(リード・ヴォーカル、アコースティック・ギター、ピアノ、バッキング・ヴォーカル)、ビリー・プレストン(ハモンドオルガン、バッキング・ヴォーカル)、クラウス・フォアマン(ベース、エレクトリック・ピアノ、バッキング・ヴォーカル)、アラン・ホワイト(ドラムス、ピアノ、バッキング・ヴォーカル)、ジョージ・ハリスン(エレクトリック・ギター、ピアノ、バッキング・ヴォーカル)、オノ・ヨーコさん(バッキング・ヴォーカル)、マル・エヴァンズ(チューブラーベル、ハンドクラップ、バッキング・ヴォーカル)、アラン・クレイン(バッキング・ヴォーカル)、にスタジオの近くで呑んでいた素人の連中もバッキング・ヴォーカルで参加しています。プロデュースはフィル・スペクターで、この楽曲がビートルズ関係では初のプロデュースで、その手腕を目の当たりにしたジョンとジョージが、ビートルズのアルバム「LET IT BE」のリ・プロデュースを依頼するのです。

シングル「INSTANT KARMA!」は、全英5位・全米3位のヒット曲となり、フランスやカナダでは首位!と、世界中でヒットしています。まだビートルズの解散は公になっていなかったので「ビートルズのジョンのソロ」として受け入れられたのでしょう。リリース直後の1970年2月11日には、テレビ番組「TOP OF THE POPS」用にジョンのヴォーカルだけ生でスタジオ・ライヴした映像が撮影されていて、DVDで観る事が出来ます。オリジナル・アルバムには未収録のシングル「INSTANT KARMA!」もベスト盤の定番曲のひとつで、1975年リリースのアルバム「SHAVED FISH」にはフェイドアウトが早い短縮ヴァージョンが収録されたのを皮切りに、ジョンの死後にリリースされたベスト盤の全てにシングル・ヴァージョンが収録されています。曲名に関しては、単に「INSTANT KARMA!」と表記されている場合と、「INSTANT KARMA!(WE ALL SHINE ON)」とサビのフレーズが副題になっている場合があります。2021年リリースの「JOHN LENNON / PLASTIC ONO BAND(ジョンの魂)」の箱にはアウトテイクが収録されていて、前述の「TOP OF THE POPS」用の2ヴァージョンの疑似ライヴ映像の他にも、1972年8月30日の「ワン・トゥ・ワン・コンサート」でも披露しているので、ライヴ音源とライヴ映像が遺されています。「TOP OF THE POPS」用の映像は、ジョンのヴォーカル以外は当て振りですが、1997年リリースのベスト盤「LENNON LEGEND」のDVD盤(2003年リリース)や、2010年リリースのベスト盤「POWER TO THE PEOPLE THE HITS」のCD+DVDの2枚組などで観る事が出来ます。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする

「劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル」

劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル 超完全版 (2枚組) [DVD]


WOWOWプラス 5:15〜7:30

2010年公開作品

片瀬那奈 AS 杉尾園子

(公開:2010年5月8日、撮影:2009年11月頃、栃木県佐野市にてロケ)

「劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル」の今年7回目の放送で、劇場版4作が連続放送されます。那奈ちゃんが演じたのは、インチキ霊能力者の杉尾園子で、ほとんど出オチです。この映画は、シリアスなんだかコメディーなんだかよく分からないのですが、堤監督のノリについてゆけないと、全く面白くありません。那奈ちゃんが出ているから映画館に行きましたけれど、個人的には、つまらないです。


(小島イコ/姫川未亜)

posted by 栗 at 07:30| ACTRESS | 更新情報をチェックする