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2024年11月25日

「ポールの道」#565「GEORGE'S SINGLES」#29「CHEER DOWN / THAT’S WHAT IT TAKES」「CHEER DOWN / POOR LITTLE GIRL / CRACKERBOX PALACE」「POOR LITTLE GIRL / GONE TROPPO」

Best of Dark Horse


1987年11月にダーク・ホース/ワーナーからリリースしたアルバム「CLOUD NINE」が大ヒットして、シングル「GOT MY MIND SET ON YOU」が全米首位!・全英2位となり、大復活を遂げたジョージ・ハリスンは、1988年10月には覆面バンド「トラヴェリング・ウィルベリーズ」を結成して、それぞれが、ネルソン・ウィルベリー(ジョージ・ハリスン)、オーティス・ウィルベリー(ジェフ・リン)、ラッキー・ウィルベリー(ボブ・ディラン)、レフティ・ウィルベリー(ロイ・オービソン)、チャーリー・T・ジュニア(トム・ペティ)と名乗って、5人の持ち味が満載のアルバム「TRAVELING WILBURYS VOLUME 1」をウィルベリー/ワーナーからリリースしました。アルバム「CLOUD NINE」からも、アルバム「TRAVELING WILBURYS VOLUME 1」からも、それぞれ3枚のシングル・カットをしていて、ワーナーとしては、今が稼ぎ時だと思ったのでしょう。そんなノリノリな時期だった1989年8月24日(米国)・同年10月10日(日本)に、ジョージはソロ・シングル「CHEER DOWN / THAT’S WHAT IT TAKES」をダーク・ホース/ワーナーからリリースしました。A面の「CHEER DOWN」は、映画「リーサル・ウェポン2/炎の約束」のサントラ盤へ提供した楽曲です。

映画「リーサル・ウェポン」は4作共にエリック・クラプトンが音楽をマイケル・ケイメンとデヴィッド・サンボーンと共同で担当しているので、ジョージにも声がかかったのでしょう。映画「リーサル・ウェポン2/炎の約束」には、 ランディ・クロフォードとエリック・クラプトンとデヴィッド・サンボーンによるボブ・ディランのカヴァー「KNOCKIN’ ON HEAVEN'S DOOR」や、ビーチ・ボーイズの「STILL CLUISIN’」などの楽曲も提供されていて、その中でもジョージの「CHEER DOWN」は主題歌なので、エンディング・ロールでフルサイズでたっぷりと聴く事が出来ます。ちなみに、1作目の主題歌はハネムーンスウィートが、3作目の主題歌はエルトン・ジョンが、4作目の主題歌はエリック・クラプトンが、それぞれ担当しています。シリーズは4作で終了しましたが、映画会社は5作目の「リーサル・ウェポン5」も制作したかったのですけれど、主演のメル・ギブソンに断られて頓挫しています。丁度タイミングよく、先日WOWOWプラスで全4作が放送されました。「CHEER DOWN」は、ジョージの1989年リリースのベスト盤「BEST OF DARK HORSE 1976-1989」や、2009年リリースのベスト盤「LET IT ROLL」や、2013年リリースのサントラ盤「リーサル・ウェポン」の箱などにも収録されています。

ジョージの1991年12月の来日公演では、当時は最新曲として「CHEER DOWN」を披露したのですけれど、MCで「次は映画『南太平洋』のサントラ盤から」と云ったのに、そのシャレを観客が理解出来ずにスベっていました。「CHEER DOWN」のレコーディング・メンバーは、ジョージ・ハリスン(ヴォーカル、ギター、スライド・ギター)、ジェフ・リン(ベース、ギター、キーボード、バッキング・ヴォーカル)、リチャード・タンディ(ピアノ)、レイ・クーパー(パーカッション)、イアン・ペイス(ドラムス)です。ジョージはディープ・パープルのジョン・ロードをアルバム「GONE TROPPO」に収録された「CIRCLES」で起用していて、同じくディープ・パープルのイアン・ペイスをこの曲と後述する新曲の3曲で起用しています。ポール・マッカートニーも1999年リリースのアルバム「RUN DEVIL RUN」でイアン・ペイスをドラマーで起用していて、その時はピンク・フロイドのデイヴ・ギルモアがギターを弾いているわけで、ビートルズはハード・ロックもプログレッシブ・ロックも内包しているのです。映画の公開に合わせてリリースされたので、米国と日本ではB面にアルバム「CLOUD NINE」からの「THAT'S WHAT IT TAKES」が収録されています。

ところが、ジョージは1989年10月23日に、ベスト盤「BEST OF DARK HORSE 1976-1989」をリリースしていて、新曲として「CHEER DOWN」と「POOR LITTLE GIRL」と「COCKAMAMIE BUSINESS」の3曲を収録したのです。それで、英国ではA面に「CHEER DOWN」を、B面に「POOR LITTLE GIRL」を入れた7インチ盤と、アルバム「THIRTY THREE & 1/3」からでベスト盤にも選曲された「CRACKERBOX PALACE(人生の夜明け)」も加えた12インチ盤とCDで、1989年11月27日にリリースしました。このカップリングはベスト盤「DARK HORSE YEARS 1976-1989」に合わせたカタチになっています。ところが、日本では米国と同じカップリングで「CHEER DOWN」のシングルをリリースしてしまったので、そちらには新曲である「POOR LITTLE GIRL」が収録されておらず、表題曲が「POOR LITTLE GIRL」でカップリングに「GONE TROPPO」と云う、訳が分からない短冊CDシングルを1989年12月10日にリリースするハメになっちゃったのです。ジョージの新曲でソロ名義では生前で最後のシングルとなった「CHEER DOWN」は、作詞でトム・ペティが協力していて、アレンジではELO(ジェフ・リン)の色も出ているものの、見事なジョージ節を聴かせる名曲で、特にジョージの代名詞ともなったスライド・ギターが滅茶苦茶カッコイイのです。

ところで、来るべき2025年3月21日に、またしても「ナイアガラ」商品がリリースされるそうです。ソレがですね、1985年リリースの変則的なベスト盤「B-EACH TIME L-ONG」40周年記念盤CD2枚組とLP2枚組と、インストゥルメンタル集の「Complete NIAGARA SONG BOOK」CD3枚組なんですよ。CDだけでも両方買ったら1万円で、初アナログ化も買ったら1万6千円ですよ。アノですね、確かに「B-EACH TIME L-ONG」を再発しろとは云ったけれど、こんな高価な商品にしろとは云っていないざんしょ。だって、あたくしが持っている選書盤は「B-EACH TIME L-ONG」も「NIAGARA SONG BOOK」も「NIAGARA SONG BOOK 2」も全部、定価が1千5百円ですよ。3枚で4千5百円だったのに、何で5枚で1万円になっちゃうんですかね。もう注文しちゃったけれど、何だかなあ。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする