1988年10月にウィルベリー/ワーナーからリリースされた覆面バンド・トラヴェリング・ウィルベリーズのアルバム「TRAVELING WILBURYS VOLUME 1」は、正体バレバレな「お前は平田だろ!」もしくは「やはり山田だ!」なバンドで、アルバムもヒットして、第1弾シングル「HANDLE WITH CARE」もヒットしました。ネルソン・ウィルベリー(ジョージ・ハリスン)、オーティス・ウィルベリー(ジェフ・リン)、ラッキー・ウィルベリー(ボブ・ディラン)、レフティ・ウィルベリー(ロイ・オービソン)、チャーリー・T・ジュニア(トム・ペティ)は、アルバムや第1弾シングル「HANDLE WITH CARE」のジャケットではサングラスをかけているだけだし、MVではオーティス(ジェフ・リン)とレフティ(ロイ・オービソン)以外は顔出ししているし、そもそもその二人はサングラスがトレードマークなのでした。そこはやはり「お前は平田だろ!」とか「やはり山田だ!」とか云わずに、初代タイガーマスクは佐山サトルだと分かっていても、山本小鉄と桜井康雄の解説みたいに「東洋人の様に見えますが、一体、誰なんでしょうねえ?」と、ぼかしてしまうのがファンタジーで宜しいのではないでしょうか。初代タイガーマスクの正体はプロレス・ファンには知られていたけれど、写真週刊誌が素顔の写真に100万円出すと云ったのに、誰も売らなかったそうですよ。
そんな「ジャイアント・マシーン」であるトラヴェリング・ウィルベリーズは、1989年1月23日に第2弾シングル「END OF THE LINE / CONGRATULATIONS」をウィルベリー/ワーナーからリリースしました。ジャケット写真では、ネルソン(ジョージ)と、ラッキー(ボブ・ディラン)と、チャーリー・T・ジュニア(トム・ペティ)は、開き直ってサングラスを外しています。もはや覆面バンドではなくなっているのですけれど、レーベルも「ダーク・ホース」ではなく、わざわざ「ウィルベリー」となっているので、そこは「どこかで見た気もしますが、一体誰なんでしょうねえ?」と付き合うしかありませんわなあ。このシングルは、7インチ盤、12インチ盤、限定12インチ盤、CD、の4種類がリリースされていて、両面共にアルバムからのシングル・カットですが、12インチ盤と限定12インチ盤とCDでは「END OF THE LINE」が拡大版(エクステンデッド・バージョン)となっています。「END OF THE LINE」も作者は、アルバムの全てで共通していて「トラヴェリング・ウィルベリーズ」名義ですけれど、歌い出しから主にネルソン(ジョージ)が歌っているので、ネルソン(ジョージ)が主導して書いた曲でしょう。
リード・ヴォーカルは、ネルソン(ジョージ)から、オーティス(ジェフ・リン)と来て、レフティ(ロイ・オービソン)となって、ヴァースをチャーリー・T・ジュニア(トム・ペティ)が受け持っていて、ラッキー(ボブ・ディラン)はアコースティック・ギターとバッキング・ヴォーカルで、ネルソン(ジョージ)がアコースティック・ギター、スライド・ギター、バッキング・ヴォーカルを、オーティス(ジェフ・リン)がエレキ・ギター、ベース・ギター、バッキング・ヴォーカルを、レフティ(ロイ・オービソン)がアコースティック・ギター、バッキング・ヴォーカルを、チャーリー・T・ジュニア(トム・ペティ)がアコースティック・ギター、バッキング・ヴォーカルを担当していて、サポート・メンバーでバスター・サイドベリー(ジム・ケルトナー)がドラムスを叩いています。ミュージック・ヴィデオも制作されていますが、レフティ(ロイ・オービソン)が急死してしまったので、リード・ヴォーカルを取る部分ではギターだけの映像となっています。B面の「CONGRATULATIONS」は、一聴してラッキー(ボブ・ディラン)が主導で書いて歌っていると分かります。この第2弾シングルは、全米63位・全英52位とそれほどにはヒットしてはいませんけれど、アルバム・ロック・トラック・チャートでは「END OF THE LINE」が2位まで上がっています。
(小島イコ)