1987年11月にダーク・ホース/ワーナーからリリースしたアルバム「CLOUD NINE」を大ヒットさせて、第1弾シングル「GOT MY MIND SET ON YOU」が全米首位!全英2位となり、第2弾シングル「WHEN WE WAS FAB」も全米23位・全英25位とスマッシュ・ヒットさせたジョージ・ハリスンは、第3弾シングルとして1988年6月に「THIS IS LOVE」をリリースしました。「GOT MY MIND SET ON YOU」も「WHEN WE WAS FAB」も、B面にはそれぞれ「LAY HIS HEAD」(1981年リリースのアルバム「SOMEWHERE IN ENGLAND」で差し替えになった4曲の内の1曲)と「ZIG ZAG」(映画「上海サプライズ」に提供した楽曲のひとつ)とアルバム未収録曲を入れていたジョージは、シングル「THIS IS LOVE」にもアルバム未収録曲を入れようとして、新曲の「HANDLE WITH CARE」をレコーディングしました。それは、ジョージとジェフ・リンの他に、ロイ・オービソンとトム・ペティとボブ・ディランをゲストに迎えた楽曲で、シングルのカップリングにするには出来栄えが良過ぎたので、ジョージは「トラヴェリング・ウィルベリーズ」と云う覆面バンドをその5人で結成するのでした。
それぞれを、ネルソン・ウィルベリー(ジョージ・ハリスン)、オーティス・ウィルベリー(ジェフ・リン)、ラッキー・ウィルベリー(ボブ・ディラン)、レフティ・ウィルベリー(ロイ・オービソン)、チャーリー・T・ジュニア(トム・ペティ)と名乗った「トラヴェリング・ウィルベリーズ」は、1988年10月18日にアルバム「TRAVELING WILBURYS VOLUME 1」をウィルベリー/ワーナーからリリースしていて、先行シングルとして「HANDLE WITH CARE / MARGARITA」をリリースしたのです。覆面バンドとは云え、ジャケットでの5人はサングラスをかけているだけだし、ミュージック・ヴィデオでも顔出ししているので、正体がバレバレな「ジャイアント・マシーン」と云うか、ドラゴン藤波風に云えば「お前は平田だろ!」なバンドでした。基本的には5人がギター、ヴォーカル、ベースなどを担当していて、ジム・ケルトナー(ドラムス)、レイ・クーパー(パーカッション)、ジム・ホーン(サクソフォン)、イアン・ウォーレス (トムトム)がサポートしています。アルバムは全米3位・全英16位で、オーストラリアやカナダでは首位!と、大ヒットしました。楽曲は全て「トラヴェリング・ウィルベリーズ」名義で書いた事になっていますけれど、それぞれリード・ヴォーカルを担当したメンバーが主導で書かれています。
アルバムの内容は、1「HANDLE WITH CARE」、2「DIRTY WORLD」、3「RATTLED」、4「LAST NIGHT」、5「NOT ALONE ANY MORE」、6「CONGRATULATIONS」、7「HEADING FOR THE LIGHT」、8「MARGARITA」、9「TWEETER AND MONKEY MAN」、10「END OF THE LINE」の全10曲入りで、第1弾シングル「HANDLE WITH CARE / MARGARITA」は、7インチ盤、限定7インチ盤、限定10インチ盤、12インチ盤、CD、の5種類でリリースされています。A面の「HANDLE WITH CARE」は、成り立ちからしてネルソン(ジョージ)が主導して書いて歌っていて、B面の「MARGARITA」はラッキー(ボブ・ディラン)が主導で書いて歌っています。ワーナーがアルバムでのリリースを望んだ程に、兎に角「HANDLE WITH CARE」がピカイチな出来栄えで、ネルソン(ジョージ)が主に歌って、美味しいところをレフティ(ロイ・オービソン)に任せて、オーティス(ジェフ・リン)がハモって、ラッキー(ボブ・ディラン)とチャーリー・T・ジュニア(トム・ペティ)がBメロでしゃがれ声でハモると云う、適所適材の名曲となっております。コレをシングルのB面にする気だったジョージって、やはり只者ではありません。「HANDLE WITH CARE」は、10インチ盤、12インチ盤、CDには拡大版が収録されています。このシングルは、全米45位・全英21位で、カナダで2位、オーストラリアで3位、ニュージーランドで4位と、ヒットしています。
(小島イコ)