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2024年11月19日

「ポールの道」#559「GEORGE'S SINGLES」#23「GOT MY MIND SET ON YOU / LAY HIS HEAD」

Cloud Nine


ジョージ・ハリスンは、オリジナル・アルバムとしては1982年11月にリリースされたアルバム「GONE TROPPO」から5年間の沈黙を経て、1987年11月2日にアルバム「CLOUD NINE」をダーク・ホース/ワーナーからリリースしました。プロデュースはジョージとジェフ・リンで、内容は、1「CLOUD 9」、2「THAT'S WHAT IT TAKES」、3「FISH ON THE SAND」、4「JUST FOR TODAY」、5「THIS IS LOVE」、6「WHEN WE WAS FAB」、7「DEVIL'S RADIO」、8「SOMEPLACE ELSE」、9「WRECK OF THE HESPERUS(金星の崩壊)」、10「BREATH AWAY FROM HEAVEN」、11「GOT MY MIND SET ON YOU」の、全11曲入りで、現行のCDでは、同名映画の主題歌、12「SHANGHAI SURPRISE」と、シングル「WHEN WE WAS FAB」のB面でアルバム未収録だった、13「ZIG ZAG」も加えた全13曲入りで、配信限定で、14「GOT MY MIND SET ON YOU(EXTENDED VERSION)」を加えた全14曲入りとなっています。アルバムからの先行シングルとして、1987年10月12日に「GOT MY MIND SET ON YOU / LAY HIS HEAD」をリリースしていて、A面の「GOT MY MIND SET ON YOU」は、全米首位!・全英2位の大ヒット曲となり、ジョージは鮮烈なカムバックを果たしたのです。

当時9歳だった息子のダニー・ハリスンがお気に入りでシングル・カットを勧めた「GOT MY MIND SET ON YOU」は、エディ・クラーク作で1962年にジェームス・レイが「I'VE GOT MY MIND SET ON YOU」のタイトルで発表した曲のカヴァーです。オリジナルとは違った「ジョージ流のポップ・ロック路線」でのカヴァーとなっていて、アルバムでも最後に収録されているので、ジョージとしても会心の出来栄えだったのでしょう。レコーディング・メンバーは、ジョージ・ハリスン(リード&バッキング・ヴォーカル、エレクトリック・ギター、アコースティック・ギター)、ジェフ・リン(バッキング・ヴォーカル、シンセサイザー、ベース・ギター)、ジム・ケルトナー(ドラムス、ドラム・プログラミング)、ジム・ホーン(サックス)、レイ・クーパー(マラカス)です。シングルは通常7インチ盤と、12インチ盤と、箱入り7インチ盤と、12インチ・ピクチャー盤の4種類がリリースされています。7インチ盤は「GOT MY MIND SET ON YOU」と「LAY HIS HEAD」のカップリングで、12インチ盤はA面に「GOT MY MIND SET ON YOU(EXTENDED VERSION)」を収録していて、B面に「GOT MY MIND SET ON YOU」と「LAY HIS HEAD」が収録されています。

通常盤の「GOT MY MIND SET ON YOU」は「3分51秒」ですが、「GOT MY MIND SET ON YOU(EXTENDED VERSION)」は「5分17秒」あって、ミックスで引き延ばされた拡大版です。この拡大版は、前述の通り、現在では配信音源でも聴く事が出来ます。通常盤にカップリングされた「LAY HIS HEAD」は、アルバム未収録曲なのですけれど、これはアルバム「CLOUD NINE」のセッションではなくて、1981年にリリースされたアルバム「SOMEWHERE IN ENGLAND」用にレコーディングして、ワーナーの要望で差し替えになった4曲の内のひとつです。大ヒット・シングルのB面になった事で注目されて、アルバム「SOMEWHERE IN ENGLAND」の改悪盤ではない元々のヴァージョンが見直される事となったのです。ジョージは他の3曲(「FLYING HOUR」と「SAD SINGING」と「TEARS OF THE WORLD」)も、何らかのカタチで公式リリースしているので、そりゃあ、まあ、元のカタチでリリースしたかったのでしょう。公式音源は豪華本のオマケになっていたりして敷居が高いのですけれど、ブートレグでも高音質で収録されているので、アルバム「SOMEWHERE IN ENGLAND」の公式盤と合わせて、元の曲順で楽しむ事も可能です。

大ヒット曲となった「GOT MY MIND SET ON YOU」にはミュージック・ヴィデオもあって、2種類が制作されています。ひとつは、ゲーム・センターで少女の気を引こうとする少年を描いたもので、少女が観ているキネトスコープにジョージやジェフ・リンがバンドとして出ています。少年が少女の為にバレリーナの人形を取って、何故かその人形がキネトスコープのジョージたちのバンドに落ちて来て、少女が喜ぶと云う内容です。もうひとつは、ジョージがひとりで座ってフェンダー・テレキャスター・ギターで弾き語りしていて、間奏になるとジョージがバク転したりするのですけれど、スタントマンが演じているとバレバレです。「GOT MY MIND SET ON YOU」は、ジョージがビートルズの初期にカヴァーしようと考えていた楽曲で、レノン=マッカートニー作品のオリジナルが中心となった事で断念しています。それを25年越しに実現して大ヒットさせたわけです。アルバムのジャケットでは、ビートルズ時代に愛用していたグレッチ・デュオ・ジェットを持っていて、アルバムも全米8位・全英10位と大ヒットしました。ジェフ・リンのアドバイスもあったのでしょうけれど、ジョージはビートルズなのですから、こうしてビートルズをやれば売れるんですよ。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする