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2024年11月03日

「ポールの道」#363「GEORGE'S SINGLES」#07「DING DONG, DING DONG / I DON'T CARE ANYMORE」「DING DONG, DING DONG / HARI'S ON TOUR(EXPRESS)」

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1974年11月20日にアップルからリリースされたジョージ・ハリスンのアルバム「DARK HORSE」からは、米国では先行シングルとして「DARK HORSE / I DON'T CARE ANYMORE」が同年11月18日にリリースされましたが、英国(1974年12月6日)や日本(1975年1月20日)では、「DING DONG, DING DONG(ディン・ドン) / I DON'T CARE ANYMORE」が第1弾シングルとしてリリースされました。アルバム未収録曲のB面「I DON'T CARE ANYMORE」は米国シングルの「DARK HORSE」と同じで、英国(1975年2月28日)や日本(1975年3月20日)では第2弾シングルだった「DARK HORSE」のB面は「HARI'S ON TOUR(EXPRESS)」で、米国(1974年12月23日)での第2弾シングルだった「DING DONG, DING DONG」のB面が「HARI'S ON TOUR(EXPRESS)」となっていて、ややこしいのですけれど、ジョージのシングルでは後々までこうしたカップリングが違う事が多かった印象です。日本盤のシングルのジャケット写真は、1974年の北米ツアーのステージで、これだけ見るとなかなか盛り上がっている感じだし、変な帽子を被っているのに似合っているジョージもカッコイイし、準主役だったビリー・プレストンも目立っています。しかしながら、チャートの成績は、米国では36位、英国では38位までしか上がっていません。ジョージがアコースティック・ギターで弾き語りしているアルバム未収録曲「I DON'T CARE ANYMORE」は、現在ではアルバム「DARK HORSE」にボーナス・トラックとして収録されています。

シングル「DING DONG, DING DONG」のレコーディング・メンバーは、ジョージ・ハリスン(ヴォーカル、ギター)、ミック・ジョーンズ(ギター)、アルヴィン・リー(ギター)、ロン・ウッド(ギター)、ゲイリー・ライト(ピアノ)、クラウス・フォアマン(ベース)、リンゴ・スター(ドラムス)、ジム・ケルトナー(ドラムス)、トム・スコット(ホーン)です。ロン・ウッドが参加しているのは、名曲「FAR EAST MAN」を共作しているからでしょう。楽曲には「ウェストミンスターの鐘」が引用されていて、ポール・マッカートニーもウイングスの1976年リリースのアルバム「WINGS AT THE SPEED OF SOUND」のA面1曲目でシングル・カットもして大ヒットした「LET ’EM IN(幸せのノック)」のイントロに、チャイムの音で引用している、あのメロディーです。レコスケくん風に云うと、アレもポールの意地悪だそうです。ジョージの曲の方はサビのメロディーまでそのまんまで、まあ、覚えやすいと云ったらいいんでしょうけれど、余りにも捻りがないので、困ったちゃんなのです。米国ではリリースが1974年12月23日になっちゃったので、北米ツアーは終わっていました。北米ツアーは1974年11月2日から同年12月20日まで、27都市で全45公演が行われていて、1か月半強の日程での45公演なので、昼夜二回公演もあり、ジョージもバンドのメンバーもヘトヘトだったでしょう。

その北米ツアーのメンバーは、ジョージ・ハリスン(ヴォーカル、エレキ・ギター、アコースティック・ギター)、ビリー・プレストン(ヴォーカル、オルガン、クラヴィネット、シンセサイザー)、ロベン・フォード(エレキ・ギター、アコースティック・ギター)、ウィリー・ウィークス(ベース)、アンディ・ニューマック(ドラムス)、バンマスだったトム・スコット(サックス、フルート)、チャック・フィンドレイ(トランペット)、エミル・リチャーズ(パーカッション)で、他にラヴィ・シャンカール先生のパートでは多くのインド音楽ミュージシャンが参加しています。ジョージのパートに関しては、アルバム「DARK HORSE」の主要メンバーをそのまんまステージに上げた超豪華な布陣で、実際の演奏も素晴らしい出来栄えだと思います。しかし、不評だったからか、ジョージはこの時の音源をレコーディングしていたのに「HARI'S ON TOUR(EXPRESS)」と「FOR YOU BLUE」の2曲だけ、しかも豪華本のオマケとしてしか公式リリースしていません。ジョン・レノンやポール・マッカートニーも12月になってからの公演を観に来ていて、あのジョンが「云われている程には酷くない。ジョージの声は枯れていたけれど、良いムードで演奏も良かった」と云っていて、ジョンがジョージに気を遣ってお世辞を云うわけがないので、本当に云われている程に酷くはないどころか、かなりイイ感じなのは、ブートレグで聴けば分かります。

それで、話は遡って1962年1月1日に行われたビートルズが受けた「デッカ・オーデイション」なのですけれど、全15曲が演奏されていて、その内「THE SHEIK OF ARABY」と「THREE COOL CATS」と「TAKE GOOD CARE OF MY BABY」と「CRYING, WAITING, HOPING」の4曲をジョージが歌っています。ジョンが4曲で、ポールが7曲と、ポールが多いのですけれど、ソレはブライアン・エプスタインに行儀が良くて大人しい曲を演奏する様に云われていたからで、ジョンはロックンローラーなので余り歌っていないのです。それにしてもジョージのヴォーカル曲が多くて、ゴフィン&キング作でボビー・ヴィーのカヴァー「TAKE GOOD CARE OF MY BABY」や、バディ・ホリーのカヴァー「CRYING, WAITING, HOPING」などは、なかなかどうして素晴らしい出来栄えです。デッカとしては、もしもビートルズを合格させたならば「ジョージ・ハリスン&ザ・ビートルズ」として売り出したかもしれません。ビートルズのデビュー・アルバム「PLEASE PLEASE ME with Love Me Do and 12 other songs」ではゴフィン&キング作でクッキーズの「CHAINS」を歌っているし、2作目のアルバム「WITH THE BEATLES」でも、ドネイズなんて云うマイナーなガールズ・グループのシングルB面曲「DEVIL IN HER(HIS) HEART」を歌っているので、ジョージは相当のガールズ・グループのマニアです。故に、シフォンズの「HE'S SO FINE」を知らないわけがないんだよなあ。北米ツアーでの「MY SWEET LORD」は、ジョージとビリー・プレストンがデュエットしていて、完全なるオリジナル曲となっています。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする