ビートルズの4人による提供曲や参加曲を綴った「FAB4 GAVE AWAY」も、先が見えてまいりましたので、今回は別のネタを書いてみます。あたくしは、所謂ひとつのパチモンCDも好きで、ソレはパイレート盤と云って、公式音源をそのまんまコピーした盤なのですけれど、なかなかどうして、選曲が奇妙奇天烈なのです。かつては1977年までの音源をパチモンに出来たのですけれど、現在では1967年までとなっていて、海外だともっと厳しくて1962年までみたいで、例の「NOT NOW MUSIC」と云うレーベルでは1962年までのオリジナル音源を使っています。日本の「ETAERNAL GROOVES」と云うレーベルは、ブートレグのコピーを中心にしている様ですが、1967年までしかリリースしていなくて、現在進行形でビートルズの全レコーディング集をリリースしているみたいなのですけれど、果たして1967年以後はどうするのか、お手並み拝見です。何故、ブートレグのコピー盤が、堂々とビートルズの写真をジャケットに使ってハーフオフィシャル盤としてAmazonでも売られているのかは、よく分かりません。あたくしが集めているパチモンは、1977年縛りだった頃の、ジャケットが国旗とか車とかのイラストだったものです。
その中にはロックの名曲をランダムに収録した「ROCK BEST 100 ARTIST」と云う10枚組セットがあって、2枚欠けているんですけれど、もともとが出鱈目な選曲なので8枚でも楽しめます。その中で一番ぶっ飛んでいるのが「VOL.4」で、1曲目がシカゴの「25 OR 6 TO 4(長い夜)」から始まって、2曲目がサイモン&ガーファンクルの「BRIDGE OVER TROUBLED WATER(明日に架ける橋)」で、3曲目がカーペンターズの「(THERE LONG TO BE)CLOSE TO YOU(遥かなる影)」ときて、4曲目が、なな、なんと、キング・クリムゾンの「THE COURT OF THE CRIMSON KING(クリムゾン・キングの宮殿)」なのです。カーペンターズの次がキング・クリムゾンって、選曲した人は、一体何を考えていたのでしょうか。「THE COURT OF THE CRIMSON KING」は、ガッツリとフルヴァージョンで9分以上もつづくわけで、5曲目には何事もなかったかのようにクロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤングの「WOODSTOCK」が収録されています。この流れだと、その後にジョージ・ハリスンが来ようが、ブラック・サバスが来ようが、フリーが来ようが、何でもアリになっていて、それが10枚つづくわけです。近年にTV通販で売っている洋楽のコンピレーション盤なんか、このパチモンの前では全くもって無力です。
当然、ビートルズのパチモンも多くて、以前に紹介した「赤盤」と「青盤」をCD3枚組にした盤なんかは、「A DAY IN THE LIFE」のエンディングに例の訳が分からないお喋りまで入っていたり、「GET BACK」がアルバム「LET IT BE」のヴァージョンだったりします。それで、ジョン・レノンの「JOHN LENNON BEST SELECTION」と、ポール・マッカートニーの「PAUL McCARTNEY BEST COLECTION」と云うのも持っているのですけれど、コレがマタ、なかなかヘンテコリンなのです。まずは、ジョンの方は、1「IMAGINE」、2「CRIPPLED INSIDE」、3「JEALOUS GUY」、4「IT'S SO HARD」、5「I DON'T WANT TO BE A SOLDIER」、6「GIVE ME SOME TRUTH」、7「OH MY LOVE」、8「HOW?」、9「OH YOKO!」、10「COLD TURKEY」、11「INSTANT KARMA!」、12「POWER TO THE PEOPLE」、13「MOTHER」、14「WOMAN IS THE NIGGER OF THE WORLD」、15「WHATEVER GETS YOU THRU THE NIGHT」、16「MIND GAMES」、17「#9 DREAM」、18「HAPPY XMAS(WAR IS OVER)〜GIVE PEACE A CHANCE:REPRISE」の、全18曲入りです。
コレはですね、1971年のアルバム「IMAGINE」全10曲から「HOW DO YOU SLEEP?」を抜いた9曲をアルバムと同じ曲順で並べて、その後には1975年のシングル集「SHAVED FISH」から最初の「GIVE PEACE A CHANCE」と重複する「IMAGINE」を抜いた9曲をアルバムと同じ曲順で並べているのです。それで、タイトルだけ「GIVE PEACE A CHANCE:RIPRISE」になっているけれど、そっちしか入っていないと云うマヌケな事になっているわけですなあ。でも、ジョンの公式ベスト盤よりも良いんじゃないか、と思える内容です。コレが、ポールだともっとスゴイ事になっていて、1「JET」、2「BAND ON THE RUN」、3「LISTEN TO WHAT THE MAN SAID」、4「SILLY LOVE SONGS」、5「LET ’EM IN」、6「C MOON」、7「LIVE AND LET DIE」、8「ANOTHER DAY」、9「MY LOVE」、10「MULL OF KINTYRE」、11「VALENTINE DAY」、12「EVERY NIGHT」、13「HOT AS SUN」、14「MAN WE WAS LONELY」、15「MOMMA MISS AMERICA」、16「TEDDY BOY」、17「JUNIOR'S FARM」、18「HI, HI, HI」の、全18曲入りです。
1曲目の「JET」から10曲目の「MULL OF KINTYRE」までと、17曲目の「JUNIOR'S FARM」と18曲目の「HI, HI, HI」の12曲は、ファンならずとも誰もが知るヒット曲で、この曲順から推察すると、1曲目から10曲目までは1987年リリースのベスト盤「ALL THE BEST!」から「1977年縛り」でコピーしたのでしょう。そして、17曲目の「JUNIOR'S FARM」と18曲目の「HI, HI, HI」は、1978年リリースの「WINGS GREATEST」から被らない曲を持って来たのでしょう。問題は、11曲目の「VALENTINE DAY」から16曲目の「TEDDY BOY」までの6曲で、コレはですね、1970年4月にリリースされたポールの最初のソロ・アルバム「McCARTNEY」からの選曲なのです。曲目には書いていないものの「HOT AS SUN」の後には「GLASSES」も入っています。アルバム「McCARTNEY」から選ぶならば、「JUNK」や「MAYBE I'M AMAZED」と云った名曲もあるのに、何故かそれらをスルーしていて、インストゥルメンタル曲である「VALENTINE DAY」や「HOT AS SUN」や「MOMMA MISS AMERICA」あたりは、公式のベスト盤には選曲される事はないでしょう。通して聴いてみると、なかなか良くて、単なる手抜きで選曲したのではなく、どうしてもアルバム「McCARTNEY」から入れたかったと思える、不思議な「ベスト盤」です。
(小島イコ)