リンゴ・スターは、1973年リリースのアルバム「RINGO」に元ビートルズの他のメンバー3人であるジョン・レノンとポール・マッカートニーとジョージ・ハリスンを集結させて、全米2位・全英7位と大ヒットさせて、シングルは2作連続で全米首位!となるなど大ヒットさせました。1974年リリースのアルバム「GOODNIGHT VIENNA」には元ビートルズはジョンだけでしたが、エルトン・ジョン、ハリー・ニルソン、クラウス・フォアマン、ビリー・プレストン、ニッキー・ホプキンス、ドクター・ジョン、デイヴィット・フォスターなどなど、大物ミュージシャンのバックアップで、全米8位・全英30位とヒットさせています。そして、元ビートルズのメンバーが1976年にEMIとの契約が満了した後で、リンゴはポリドール(米国ではアトランティック)に移籍しての第1弾で1976年リリースのアルバム「RINGO'S ROTOGRAVUE」には、夢よもう一度とばかりに再びジョン、ポール、ジョージに楽曲を提供してもらいましたが、全米28位までしか上がらず、全英ではチャート入りせずと雲行きが怪しくなってきました。
それで、1977年リリースのアルバム「RINGO THE 4TH」は、リンゴの6作目のソロ・アルバムでしたが、4作目としているのは、1970年にリリースした2作がスタンダード曲のカヴァー集「SENTIMENTAL JOURNEY」とカントリー集「BEAUCOUPS OF BLUES」だったので、リンゴの本当のソロ・アルバムは1973年リリースの「RINGO」からと云う意味だったのでしょう。どう云うセンスをしているんだ?と思えるジャケットも酷いのですが、全米162位と大爆死して、1978年リリースのアルバム「BAD BOY」もイエロー・サブマリンよろしく全米129位と沈没してしまうのです。ポリドールとの契約も切れてしまい、リンゴが1981年にボードウォークからリリースしたのが、アルバム「STOP AND SMELL THE ROSES(バラの香りを)」です。内容は、A面が、1「PRIVATE PROPERTY」、2「WRACK MY BRAIN」、3「DRUMMING IS MY MADNESS」、4「ATTENTION」、5「STOP AND TAKE THE TIME TO SMELL THE ROSES」で、B面が、1「DEAD GIVEAWAY」、2「YOU BELONG TO ME」、3「SURE TO FALL」、4「YOU'VE GOT A NICE AWAY」、5「BACK OFF BOOGALOO」の、全10曲入りです。
1980年7月に、まずはポール・マッカートニーに楽曲提供と演奏とプロデュースを依頼して、「ATTENTION」と「PRIVATE PROPERTY」を提供してもらい、ビートルズ時代にポールが歌っていたカール・パーキンスの「SURE TO FALL」のカヴァーと、リンゴ作で当初はアルバムのタイトル曲だった「YOU CAN'T FIGHT LIGHTNING」をレコーディングしました。同1980年11月後半には、ジョージ・ハリスンにも参加を要請して、ジョージの提供曲「WRACK MY BRAIN」と、スー・トンプソンのカヴァー「YOU BELONG TO ME」をジョージがプロデュースしています。同1980年11月にはジョン・レノンに楽曲提供とレコーディングをお願いして、ジョンはリンゴの為に「NOBODY TOLD ME」と「LIFE BEGINS AT 40」などを書いて、翌1981年1月にレコーディングする予定になっていましたが、悪夢の様な事件でジョンは殺されてしまい、三度ビートルズが再結集とはならなかったし、その機会は永遠に訪れる事はなくなりました。リンゴはジョンから受け取っていたデモ音源の楽曲を、敢えてレコーディングしない事で追悼しています。このアルバムは全米98位とようやくトップ100に入る成績で、CDは廃盤状態ですけれど、プレミアが付いていないならば購入しても損はないでしょう。
(小島イコ)