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2024年09月04日

「ポールの道」#483「FAB4 GAVE AWAY」#27 「COME AND GET IT」



現在ではアップル・レコードのコンピレーション盤のタイトルにもなっているバッドフィンガーの「COME AND GET IT」ですが、そこまでの道のりは平坦ではなく、その後の道のりもまた平坦ではありません。アップルと契約した時には、バンド名は「バッドフィンガー」ではなく「アイヴィーズ」で、メンバーは、ピート・ハム(ギター、ヴォーカル)、マイク・ギビンズ(ドラムス、ヴォーカル)、ロン・グリフィス(ベース、ヴォーカル)、トム・エヴァンス(ギター、ヴォーカル)の4人でした。トニー・ヴィスコンティのプロデュースでアイヴィーズ名義でのデビュー・シングル「MAYBE TOMORROW」を1968年11月15日にアップル第5弾シングルとしてリリースするものの、何故かオランダのチャートで15位とヒットしたものの、全米67位・全英ではチャート入りしていません。それで次のシングルはドイツとフランスと日本のみでのリリースとなり、1969年7月4日リリースのファースト・アルバム「MAYBE TOMORROW」も、ドイツとイタリアと日本でしかリリースされなかったのです。何故、日本ではリリースされたのかは謎です。

シングルやアルバムがリリースさえされなかったのですから、売れる売れない以前の問題です。そこで、ポール・マッカートニー大明神様の登場です。元々、アイヴィーズの初代マネジャーだったビル・コリンズは、ポールの父親ジェームズのバンド仲間だった縁もあって、ポールはマッカートニー単独名義で「COME AND GET IT」を書いて、ビートルズのアルバム「ABBEY ROAD」のレコーディング中だった1969年7月24日に、全ての楽器とヴォーカルをひとりで1時間足らずで多重録音したデモを制作しました。そのデモ音源の「COME AND GET IT」は、1996年リリースの「ANTHOLOGY 3」や、2019年リリースのアルバム「ABBEY ROAD」50周年記念盤に収録されているので、容易に聴く事が出来ます。但し、前者にはリミックス音源を、後者にはオリジナル・デモ音源を収録しています。それで、バンド名をポールとジョンとニール・アスピノールで協議して、ニールの案でビートルズの楽曲「WITH A LITTLE HELP FROM MY FRIENDS」の原題だった「BADFINGER BOOGIE」から「BADFINGER」と名付けられたのです。

そして、再デビュー・シングルとして「COME AND GET IT」を、ポールは自分が制作したデモ音源の通りにコピーして演奏する様に命令して、バッドフィンガーが自分たち流のアレンジにしたいと云ったのに却下したのです。ポール曰く「間違いなくヒットするから、この通りに演奏しろ」なのです。バンド名も、再デビュー曲も、そのアレンジまでも、他人に勝手に決められてしまった哀れなバッドフィンガーでしたが、1969年12月5日(英国)・1970年1月12日(米国)にリリースされたポールがプロデュースした再デビュー・シングル「COME AND GET IT」(B面はバッドフィンガーのオリジナル「ROCK OF ALL AGES」)は、ポールの目論見通りに全英4位・全米7位と大ヒットしました。「COME AND GET IT」の邦題は「マジック・クリスチャンのテーマ」で、この曲はピーター・セラーズとリンゴ・スターが主演した映画「マジック・クリスチャン」のテーマ曲です。

映画には主題歌の「COME AND GET IT」と、シングルB面だった「ROCK OF ALL AGES」(ポールがピアノで参加)と「CARRY ON TILL TOMORROW」(事実上ポールがプロデュース)の、合計3曲が使われています。シングル・ヒットの勢いで、バッドフィンガーとしての1作目のアルバム「MAGIC CHRISTIAN MUSIC」が、1970年1月9日(英国)・同年2月16日(米国)にリリースされています。このアルバムの制作中にベースのロン・グリフィスは脱退して、トム・エヴァンスがベースに転向していて、まだジョーイ・モーランド(ギター、ヴォーカル)は加入していません。全14曲の内容はアイヴィーズのアルバムから半数の7曲を再収録していて、急場で作った感じです。アルバムは全米55位で、全英ではチャート入りしていません。「ビートルズの弟バンド」と云われたバッドフィンガーが本領発揮するのは、1970年11月9日(英国)・同年11月27日(米国)にリリースされたバッドフィンガー名義では2作目のアルバム「NO DICE」からです。

(小島イコ)

さて、本日(9月4日)は、長濱ねるちゃんのお誕生日です。近年はずっと連続ドラマに出演されているし、TIFのチェアマンなどもやられているので、ファンとしては嬉しい限りです。欅坂46を卒業された頃には引退するのかなぁ、と思っていたし、1年間休んで復帰された時にもタレント業でゆくのかなぁ、と思っていたので、まさか女優として朝ドラや月9に出る様になるとは思っておりませんでした。女優としては、最初の内はハラハラしながら観ていたけれど、場数を踏んで素人目でも演技が上手くなってるのが分かります。今後も、いい意味でファンの期待を裏切るご活躍を期待しております。お誕生日おめでとうございます。

(小島イコ/姫川未亜)

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「黒の斜面」(再)で内山理名ちゃん

The Black Album


日本映画専門チャンネル 23:00〜1:00

内山理名 AS 川上妙子

「黒の斜面」の、今年4回目の再放送です。理名ちゃんが演じた妙子(源氏名・あかり)は場末のスナックのホステスで、原田泰造さんが演じたサラリーマン・辻井の愛人です。物語は辻井が空港に現れた妙子のせいで飛行機に乗れず、其の飛行機が墜落して辻井は死んだ事になり、死人に口無しとばかりに殺人と横領の容疑者になってしまいます。檀れいさんが演じた辻井の妻の圭子は疑念を抱き、夫の生存と無実を信じて独自に調査してゆきます。妙子は理名ちゃんが演じた悪女役の中でも突出して憎たらしい役どころで、圭子の店に行って帽子を買ったり、事故被害者の合同葬にその帽子をかぶって現れたりして、圭子を挑発します。そして、一連の事件には妙子が大きく関わっていたと明かされてゆきます。表面上はとても明るくあっけらかんとしている妙子ですが、心に闇を抱えている難しい役どころです。本放送時の番宣では、理名ちゃんが「嫌いにならないで下さい」とお願いしていました。

本放送:2016年1月24日(テレビ朝日)

(姫川未亜/小島イコ)

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