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2024年08月16日

「ポールの道」#464「FAB4 GAVE AWAY」#08 「I’M IN LOVE」

British 60's: Fourmost Poole Fontana


レノン=マッカートニーが提供した数多くある楽曲の中で、最も良いと思われるのが「I’M IN LOVE」です。一聴してジョンが書いたと分かる「I’M IN LOVE」は、フォーモストの2作目のシングルとして、英国では1963年11月15日にサー・ジョージ・マーティンのプロデュースでパーロフォンからリリースされて、全英17位のスマッシュ・ヒットとなっています。マネジャーは、勿論ブライアン・エプスタインです。米国では翌1964年2月10日にアトコからリリースされていますが、チャート入りしていません。B面の「RESPECTABLE」は、ビートルズとは関係がない楽曲です。フォーモストはデビュー・シングルもレノン=マッカートニー作品でジョン作の「HELLO LITTLE GIRL」で全英9位とヒットさせていましたが、ソレはジョンが1957年頃に書いた曲で、1962年1月1日のデッカ・オーディションなどでビートルズでも演奏していた楽曲でした。

対して「I’M IN LOVE」は、ジョンによる書き下ろしの提供曲で、ビリー・J・クレイマー&ザ・ダコタスもレコーディングしています。結局はフォーモストのシングルとなったわけですけれど、コレが良いのです。丁度ビートルズは2作目のアルバム「WITH THE BEATLES」の頃なので、ジョン作の「IT WON’T BE LONG」と「NOT A SECOND TIME」を足して2で割らない感じの名曲です。残念ながらビートルズによる演奏は残されていないのですが、ジョンによるデモ音源は残っていて、2013年12月17日に配信限定でリリースされた「The Beatles Bootleg Recordings 1963」で聴く事が出来ます。ビリー・J・クレイマー&ザ・ダコタスに書いた「BAD TO ME」同様に、ジョンによるデモ音源は後の「THE LOST LENNON TAPES」と感覚が似ていて、ジョンの場合はデモ音源から本番までの制作過程も全てある意味で完成しています。

そう云えば以前に紹介したブートレグ「THE SONGS BEATLES GAVE AWAY(UNHEARD MELODIES)」なんですけれど、提供曲とビートルズ・ヴァージョンを並べているだけではなく、提供曲のライヴ・ヴァージョンも混じっているのです。故に、ビリー・J・クレイマー&ザ・ダコタスやピーター&ゴードンなどに書いた曲を、それぞれが「エド・サリヴァン・ショー」で披露したライヴ音源も聴けるわけですけれど、それがですね、ビートルズもビックリな位に観客席の女の子たちが絶叫しているんですよ。1960年代のローリング・ストーンズやキンクスのライヴ盤を聴いても、やっぱり観客席の女の子たちが絶叫しているわけで、女の子たちにとってはビートルズもローリング・ストーンズもキンクスもハーマンズ・ハーミッツもゾンビーズもデイヴ・クラーク・ファイブも同じだったのでしょうか。英国だけではなく、米国のビーチ・ボーイズのライヴでもやっぱり絶叫しているわけで、当時はライヴと云えば女の子が絶叫する場だったのでしょうか。

ジョンによるデモ音源ではピアノの弾き語りなんですけれど、フォーモストは当然バンドで演奏していて、楽曲はサビの「I'M IN LOVE」がフェイドインしてきて、マイナーな曲調が♪シャラララウィー♪で「I'M IN LOVE」ときて、一転してメジャーになって無茶苦茶に上昇してから、またマイナーになり、キメの「I'M IN LOVE」へ進むと云う「レノン節」が全開です。正に1963年のジョンにしか書けない名曲で、コレはビートルズで正式にレコーディングしても良かったんじゃないでしょうか。「HELLO LITTLE GIRL」と「I'M IN LOVE」はレノン=マッカートニー作品だったフォーモストは、3作目はラス・アルキスト作の「A LITTLE LOVING」を全英6位と大ヒットさせて、脱・レノン=マッカートニー路線へと進むものの、不幸な事に1966年にギター&ヴォーカルのマイク・ミルワードが23歳の若さで白血病で亡くなり、何故か唐突に「HERE, THERE AND EVERYWHERE」をカヴァーしたりして、其の後もメンバー・チェンジを繰り返しますが、2024年の現在でもオリジナル・メンバーはいないのに活動中です。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする