2023年11月にリリースされたビートルズ最後の新曲「NOW AND THEN」で、ビートルズの英国盤も米国盤も日本盤も最後のシングルとなりました。しかしながら、それが英国では30作目で、米国ですら41作目だったのに、日本では52作目だったのです。本国である英国よりも22作も多くて、何でもシングルにしていた米国よりも11作も多いのですから、尋常ではありません。実は1977年に英国仕様で出し直したシングルが2作あるので、54作も出しています。アルバムも、英国盤オリジナルは12作で、水増しアルバムを出し捲った米国ですら18作だったのに、日本では1970年の段階で24作も出しています。そして、1973年5月20日には、普通に「赤盤」と「青盤」も出しているし、1976年6月20日には編集盤「ロックン・ロール・ミュージック」もジャケットは米国仕様で音源は英国仕様と云う最もつまらないカタチで出しています。同日には44作目シングル「イエスタデイ / 恋する二人」もステレオで出していて、ソレは英国盤に沿った内容だったものの、日本ではリアルタイムで「イエスタデイ」はシングル・カット(B面!)していたのです。
1976年7月5日には編集盤「ロックン・ロール・ミュージック」からのシングル・カットとして45作目「ヘルター・スケルター / ガット・トゥ・ゲット・ユー・イントゥ・マイ・ライフ」を米国盤のAB面を入れ替えて出しています。そして、1976年6月20日には英国盤アルバム13作(ベスト盤「オールディーズ」も含む)ばかりか米国盤もリイシューして、通し番号が付けられたのです。ソレで、1977年5月25日にリリースした「ザ・ビートルズ・スーパー・ライヴ!」が「30番」なので、此の時点で日本ではビートルズの公式盤アルバムが30作も出ていた事となります。シングルも1977年には白枠の統一ジャケットに変えられて、同じ写真を使い回して最悪でした。1977年11月5日には編集盤「ラヴ・ソングス」が「31番」で出ています。1978年4月5日にはオランダ盤「グレイテスト・ヒッツ」(32番・「ALL MY LOVING」のハイハット・イントロ・ヴァージョンが日本盤では初出)と、ドイツ盤「ザ・ビートルズ・ビート」(33番)が出ています。
これらのヨーロッパ編集盤は、前述の様なミックス違いはあったものの、内容は単なるベスト盤です。1978年10月5日には、キッチリと46作目「サージェント・ペパーズ」のシングルも出して、1978年12月25日にはアルバム「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」のピクチャー盤を出しています。1979年2月5日にはアルバム「アビイ・ロード」のピクチャー盤と英国オリジナル・アルバムの箱を出して、1979年10月5日には「レアリティーズ」をバラ売りして、1980年5月5日には米国盤の「レリティーズ VOL.2」を出しています。1980年11月5日には「ロックン・ロール・ミュージック」をバラ売りしたのに中味は同じで、1980年12月21日には「ビートルズ・バラード・ベスト20」を出しています。日本ではジョンの死後に最初に出ていますが、英国盤は1980年10月20日に出ていたので追悼盤ではありません。こんなのが追悼盤だったなら、ジョンは怒ったでしょう。
1981年1月21日にはLP8枚組の「リヴァプールより愛を込めて ザ・ビートルズ・ボックス」が出ていますが、こちらも英国では1980年11月3日に通販で出ていたので、ジョンの追悼盤ではありません。1980年はビートルズが解散して10周年だったし、ジョンも復活したのでビートルズの音源をまとめる動きがあって、そんな時にジョンが殺されてしまったので、追悼盤の様になってしまったのです。1981年9月1日には角川映画「悪霊島」のサントラ盤として、47作目シングル「レット・イット・ビー / ゲット・バック」が出ています。楽曲使用料は高額だったと思うのですが、「ゲット・バック」なんてラジカセから少しだけ流れるだけなので驚きました。1982年4月1日には編集盤「リール・ミュージック」が、1982年4月21日には48作目のシングル「ビートルズ・ムービー・メドレー」が出ていて、1982年8月1日には、英国盤に沿ったEPの箱が出ています。1982年10月21日にはイタリア編集盤「ビートルズ・イン・イタリー」が出ていて、ジャケットを見るとライヴ盤みたいですが、単なるベスト盤です。
1982年12月1日にはベスト盤「ザ・ビートルズ 20グレイテスト・ヒッツ」が米国盤仕様で出ていて、1983年3月1日には英国盤仕様のシングルの箱が出ています。もう此の辺になると番号も付いていないので、日本ではどれだけアルバムが出ていたのか計り知れません。しかしながら、そんな無茶苦茶な日本盤も、1987年の初CD化によって「全世界統一規格」として駆逐されたのです。日本では1983年にアルバム「アビイ・ロード」を勝手にCD化して、怒られて発禁回収になっています。其の後は基本的にはアップルによるリリースに沿っているので、2011年6月29日にシングル「ロック・アンド・ロール・ミュージック」が復刻されたり、2014年6月25日に出た箱の「ミート・ザ・ビートルズ <JAPAN BOX>」や、2014年12月17日リリースの英国仕様オリジナル・アルバムと「PAST MASTERS」と「赤盤」と「青盤」の紙ジャケSHM-CD位しか独自の企画は通らなくなっている様です。それらも中味は2009年リマスター音源です。2017年からの箱も日本盤はSHM-CDですが、リミックスなどの中味は輸入盤と同じです。と云うわけで、ビートルズのシングル紹介も終わりましたが、まだまだつづくよ〜ん。
(小島イコ)