ビートルズのボツ音源を集めた1995年リリースのアルバム「ANTHOLOGY 1」は、全米首位!・全英2位・日本3位とバカ売れして、シングル「FREE AS A BIRD」も全英2位・全米6位と大ヒットしちゃいました。ソレで、1996年3月18日には第2弾のアルバム「ANTHOLOGY 2」がCD2枚組(LP3枚組)でアップルからリリースされたのです。「ANTHOLOGY 2」のCD1は、1「REAL LOVE」、2「YES IT IS」、3「I'M DOWN」、4「YOU'VE GOT TO HIDE YOUR LOVE AWAY」、5「IF YOU'VE GOT TROUBLE」、6「THAT MEANS A LOT」、7「YESTERDAY」、8「IT'S ONLY LOVE」、9「I FEEL FINE」、10「TICKET TO RIDE」、11「YESTERDAY」、12「HELP!」、13「EVERYBODY'S TRYING TO BE MY BABY」、14「NORWEGIAN WOOD(THIS BIRD HAS FLOWN)」、15「I'M LOOKING THROUGH YOU」、16「12-BAR ORIGINAL」、17「TOMORROW NEVER KNOWS」、18「GOT TO GET YOU INTO MY LIFE」、19「AND YOUR BIRD CAN SING」、20「TAXMAN」、21「ELEANOR RIGBY(Strings Only)」、22「I'M ONLY SLEEPING(Rehearsal)」、23「I'M ONLY SLEEPING(Take 1)」、24「ROCK AND ROLL MUSIC」、25「SHE'S A WOMAN」の、全25曲入りです。前作の様なコメントは入れず、楽曲だけで構成されています。
CD2は、1「STRAWBERRY FIELDS FOREVER(Demo Sequence)」、2「STRAWBERRY FIELDS FOREVER(Take 1)」、3「STRAWBERRY FIELDS FOREVER(Take 7 & Edite Piece)」、4「PENNY LANE」、5「A DAY IN THE LIFE」、6「GOOD MORNING GOOD MORNING」、7「ONLY A NORTHERN SONG」、8「BEING FOR THE BENEFIT OF MR KITE!(Take 1 And 2)」、9「BEING FOR THE BENEFIT OF MR KITE!(Take 7)」、10「LUCY IN THE SKY WITH DIAMONDS」、11「WITHIN YOU WITHOUT YOU(Instrumental)」、12「SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND(Reprise)」、13「YOU KNOW MY NAME(LOOK UP THE NUMBER)」、14「I AM THE WALRUS」、15「THE FOOL ON THE HILL(Demo)」、16「YOUR MOTHER SHOULD KNOW」、17「THE FOOL ON THE HILL(Take 4)」、18「HELLO, GOODBYE」、19「LADY MADONNA」、20「ACROSS THE UNIVERSE」の、全20曲入りで、合計45曲入りです。
この「ANTHOLOGY 2」は1965年のアルバム「HELP!」から1968年のシングル「LADY MADONNA」までのボツ音源集となっていて、ビートルズがライヴ活動を止めてスタジオに籠った時期の音源が多く収録されています。特にCD2の最初に収録された「STRAWBERRY FIELDS FOREVER」の制作過程が聴ける部分などは、ブートレグでは有名だったものの公式盤では初めて明かされたのです。とは云え、所詮はボツ音源集なので、未発表曲としてはアルバム「HELP!」のセッションでの「ボツ音源」であるリンゴが歌う「IF YOU'VE GOT TROUBLE」とポールの駄作「THAT MEANS A LOT」、アルバム「RUBBER SOUL」のアウトテイクでインストゥルメンタル曲「12-BAR ORIGINAL」の3曲しかありませんし、ズバリ云って3曲共に何故ボツになったのかが分かる酷い出来栄えです。他の楽曲に関しては制作過程なので、完成形である公式盤を聴き倒していないと全く面白くはありません。そもそも「ANTHOLOGY」シリーズは全てが「公式海賊盤」のようなものなのです。が、しかし、アルバム「ANTHOLOGY 2」は、全英首位!・全米首位!・日本3位と、またしてもバカ売れしました。
1曲目の「REAL LOVE」は、ジョンが1980年に録音したデモ音源「REAL LIFE」に、1995年にポールとジョージとリンゴとジェフ・リンがオーバーダビングして、サー・ジョージ・マーティンがプロデュースした「ビートルズの新曲」です。1996年3月4日に、英国では29作目、米国では40作目、日本では51作目!としてシングル・カットされて、全英4位・全米11位とヒットしていて、シングルのカップリングには「BABY'S IN BLACK」のハリウッド・ボウルでのライヴ音源と「YELLOW SUBMARINE」と「HERE, THERE AND EVERYWHERE」の別テイクが収録されていて、それらはアルバム未収録ですので価値があります。「REAL LIFE」は「REAL LOVE」として1979年のデモ音源が1988年リリースのサントラ盤「IMAGINE」に収録されていますが、ビートルズ・ヴァージョンの元になったのは1980年の別テイクのデモ音源で、曲の構成が違っています。出来栄えも、何だかビートルズらしくないと云われた「FREE AS A BIRD」よりは、ずっとビートルズっぽいと好評でした。シングルのジャケットでは、リンゴが持っている煙草が消されています。
そして、1996年10月28日には、完結編のアルバム「ANTHOLOGY 3」がCD2枚組(LP3枚組)でアップルからリリースされました。CD1は、1「A BEGINNING」、2「HAPPINESS IS A WARM GUN」、3「HELTER SKELTER」、4「MEAN MR. MUSTARD」、5「POLYHENE PAM」、6「GLASS ONION」、7「JUNK」、8「PIGGIES」、9「HONEY PIE」、10「DON'T PASS ME BY」、11「OB-LA-DI, OB-LA-DA」、12「GOOD NIGHT」、13「CRY BABY CRY」、14「BLACKBIRD」、15「SEXY SADIE」、16「WHILE MY GUITAR GENTLY WEEPS」、17「HEY JUDE」、18「NOT GUILTY」、19「MOTHER NATURE'S SON」、20「GLASS ONION」、21「ROCKY RACCOON」、22「WHAT'S THE NEW MARY JANE」、23「STEP INSIDE LOVE / LOS PARANOIAS」、24「I'M SO TIRED」、25「I WILL」、26「WHY DON'T WE DO IT IN THE ROAD」、27「JULIA」の、全27曲入りです。
CD2は、1「I'VE GOT A FEELING」、2「SHE CAME IN TROUGH THE BATHROOM WINDOW」、3「DIG A PONY」、4「TWO OF US」、5「FOR YOU BLUE」、6「TEDDY BOY」、7「MEDLEY : RIP IT UP / SHAKE, RATTLE AND ROLL / BLUE SUEDE SHOES」、8「THE LONG AND WINDING ROAD」、9「OH! DARLING」、10「ALL THINGS MUST PASS」、11「MAILMAN, BRING ME NO MORE BLUES」、12「GET BACK」、13「OLD BROWN SHOE」、14「OCTOPUS'S GARDEN」、15「MAXWELL'S SILVER HAMMER」、16「SOMETHING」、17「COME TOGETHER」、18「COME AND GET IT」、19「AIN'T SHE SWEET」、20「BECAUSE」、21「LET IT BE」、22「I ME MINE」、23「THE END」の、全23曲入りで、計50曲入りです。こちらは、1968年のアルバム「THE BEATLES(ホワイト・アルバム)」から1970年のアルバム「LET IT BE」までのボツ音源集です。
完全な未発表曲はジョン作の「WHAT'S THE NEW MARY JANE」位で、他はソロになって発表したジョージの「NOT GUILTY」と「ALL THINGS MUST PASS」や、ポールの「JUNK」と「TEDDY BOY」や、ポールがシラ・ブラックに書いた「STEP INSIDE LOVE」と即興の「LOS PARANOIAS」、ポールが書いて全ての楽器と歌をひとりでやったバッドフィンガー用のデモ音源「COME AND GET IT」、1961年のポリドール音源でもカヴァーしていた「AIN'T SHE SWEET」の1969年版がありました。2024年の現在となっては、1966年のアルバム「REVOLVER」から1970年のアルバム「LET IT BE」までは箱が出ているので、こうしたアウトテイクは公式盤でももっと沢山聴ける様になっていて、特にこの「ANTHOLOGY 3」の時代に関しては、1968年の「イーシャー・デモ」は全27曲が公式化されたし、1969年の幻のアルバム「GET BACK with Don't Let Me Down and 12 other songs」まで公式化されているので、今更「ANTHOLOGY」でもないだろう、と思われます。
それでもボツ音源の公式化は当時は衝撃的で、「ANTHOLOGY 3」も、全米首位!・全英4位・日本5位と相変わらずバカ売れしちゃったのですけれど、前2作と違ってシングル・カット曲になるはずだった「ビートルズの新曲」が収録されていません。代わりに入っているのが、サー・ジョージ・マーティンのスコアによる「DON'T PASS ME BY」のボツ・イントロ「A BEGINNING」です。ポールがヨーコさんから受け取ったジョンのデモ・テープには「FREE AS A BIRD」と「REAL LOVE」と「GROW OLD WITH ME」と「NOW AND THEN」の4曲が収録されていたと云われていて、ポールとジョージとリンゴはジェフ・リンのプロデュースで1995年に「NOW AND THEN」にオーバーダビングして完成させようとしたものの、雑音が多くてジョンのヴォーカルだけを抽出する事が1995年には不可能だったのと、ジョージが曲を余り気に入っていなくて、結局はアルバム「ANTHOLOGY 3」には未収録となったわけです。そして、その楽曲は28年後の2023年に「ビートルズ最後の新曲」として、アルバム「THE BEATLES 1962-1966(赤盤)」とアルバム「THE BEATLES 1967-1970(青盤)」の新装盤と共にリリースされたのでした。
(小島イコ)