1976年6月7日(米国・キャピトル)・同年6月10日(英国・パーロフォン)にリリースされたビートルズのLP2枚組全28曲入りの編集盤「ROCK'N'ROLL MUSIC」は、米国キャピトル主導で、キャピトル盤ではサー・ジョージ・マーティンがリミックスしています。英国盤はオリジナル音源を使用していましたが、1980年10月24日にジャケットを変えてバラ売りした時に英国盤もシレっとキャピトル盤仕様のリミックス音源に差し替えています。ところが、日本では2枚組もバラ売りもオリジナル音源と云う最もつまらない事になっています。この編集盤には、英国オリジナル・アルバムには未収録だったシングルやEPのみの楽曲も多く選曲されています。
内容は、A面が、1「TWIST AND SHOUT」、2「I SAW HER STANDING THERE」、3「YOU CAN'T DO THAT」、4「I WANNA BE YOUR MAN」、5「I CALL YOUR NAME」、6「BOYS」、7「LONG TALL SALLY」で、B面が、1「ROCK'N'ROLL MUSIC」、2「SLOW DOWN」、3「KANSAS CITY」、4「MONEY(THAT'S WHAT I WANT)」、5「BAD BOY」、6「MATCHBOX」、7「ROLL OVER BEETHOVEN」で、C面が、1「DIZZY MISS LIZZY」、2「ANY TIME AT ALL」、3「DRIVE MY CAR」、4「EVERYBODY'S TRYING TO BE MY BABY」、5「THE NIGHT BEFORE」、6「I'M DOWN」、7「REVOLUTION」で、D面が、1「BACK IN THE U.S.S.R.」、2「HELTER SKELTER」、3「TAXMAN」、4「GOT TO GET YOU INTO MY LIFE」、5「HEY BULLDOG」、6「BIRTHDAY」、7「GET BACK」の、2枚組全28曲入りです。
此の内、「I CALL YOUR NAME」、「LONG TALL SALLY」、「SLOW DOWN」、「BAD BOY」、「MATCHBOX」、「I'M DOWN」、「REVOLUTION」の7曲が英国オリジナル・アルバムには未収録曲です。そして、何故か最後の「GET BACK」はサー・ジョージ・マーティンがプロデュースしたシングル・ヴァージョンではなく、フィル・スペクターがプロデュースしたアルバム「LET IT BE」収録ヴァージョンとなっています。故に当時の「赤盤」と「青盤」とのダブリは「DRIVE MY CAR」と「REVOLUTION」と「BACK IN THE U.S.S.R.」の3曲のみです。2023年の新装盤「赤盤」と「青盤」には、この編集盤に収録された曲が多く新たに加えられています。編集盤「ROCK'N'ROLL MUSIC」は、全米2位まで上がり、米国でシングル・カットした「GOT TO GET YOU INTO MY LIFE / HELTER SKELTER」も全米7位まで上がっています。解散して6年も経ったバンドの既発曲を集めたに過ぎない編集盤やシングルがトップ10に入ったのですから、キャピトルとしてもそれを放って置く事など出来ないでしょう。
それで、1976年11月8日に唐突にキャピトルからリリースされたのが、米国では35作目となるシングル「OB-LA-DI, OB-LA-DA / JULIA」です。両面共に1968年11月にリリースしたアルバム「THE BEATLES(ホワイト・アルバム)」からのシングル・カットで、米国で「ホワイト・アルバム」からのシングル・カットは34作目のシングルB面の「HELTER SKELTER」がありましたが、それは編集盤「ROCK'N'ROLL MUSIC」からのシングル・カットと云う事になっていたので、両面共に「ホワイト・アルバム」からと云うのは米国キャピトルでは初めてでした。ポール作の「OB-LA-DI, OB-LA-DA」とジョン作の「JULIA」のカップリングであるこのシングルは全米49位までしか上がっていませんが、8年前の楽曲をシングル・カットしたのですから、それでも充分にヒットしたと云えるでしょう。と云うか、今更「OB-LA-DI, OB-LA-DA / JULIA」なんてシングルが出ていた事を、ファンも知らなかったのではないでしょうか。
(小島イコ)