米国でのビートルズのシングルも1966年分まで終わりましたので、1966年の日本でのリリースを振り返ります。日本でのビートルズのレコードは東芝音楽工業のオデオン・レーベルからリリースされていて、日本デビューの1964年だけでシングルを13作、EPを2作、アルバムを3作と合計18作も出しています。ソレは翌1965年でも変わらぬどころか勢いを増していて、シングルを14作、EPを4作、アルバムを3作と合計21作も乱発しているのです。そして、1966年となるわけですが、此の年にはビートルズが来日公演を行っていますので、そりゃあ、もう、大騒ぎだったのでしょうなあ。
ソレで、シングルは1966年1月15日に28作目(英国11作目、キャピトル12作目、米国20作目)のシングル「恋を抱きしめよう(WE CAN WORK IT OUT) / デイトリッパー」を、4月15日には29作目(英国はなし、キャピトル13作目、米国21作目)のシングル「ひとりぼっちのあいつ(NOWHERE MAN) / 消えた恋(WHAT GOES ON)」(キャピトル盤に沿った内容)を、6月15日には30作目(英国12作目、キャピトル14作目、米国22作目)のシングル「ペイパーバック・ライター / レイン」を、9月5日には31作目(英国13作目、キャピトル15作目、米国23作目)のシングル「イエロー・サブマリン / エリナー・リグビー」をリリースしています。シングルはキッチリと4作も出しているのですが、前年に比べると大人しくなった印象です。
ソノ分、4曲入りのEPは、1966年1月5日に7作目のEP「恋のアドバイス」(「恋のアドバイス(YOU'RE GOING TO LOSE THAT GIRL)」、「ザ・ナイト・ビフォア」、「アクト・ナチュラリー」、「イエスタディ」)を、3月5日には8作目のEP「アンナ」(「アンナ」、「ボーイズ」、「シー・ラヴズ・ユー」(ドイツ語ヴァージョン)、「悲しみをぶっ飛ばせ(YOU’VE GOT TO HIDE YOUR LOVE AWAY)」)を、5月15日には9作目のEP「ミッシェル」(「ミッシェル」、「ガール」、「ひとりぼっちのあいつ」、「消えた恋」)を、12月5日には10作目のEP「ペイパーバック・ライター」(「ペイパーバック・ライター」、「ノルウェーの森」、「恋を抱きしめよう」、「ドライヴ・マイ・カー」)と、11作目のEP「イエロー・サブマリン」(「イエロー・サブマリン」、「タックスマン」、「ヒア・ゼア・アンド・エヴリホエア」、「アンド・ユア・バード・キャン・シング」)と、1966年だけで5作も出しています。
そして、アルバムは、1966年3月15日に英国オリジナルと同じ内容のアルバム「ラバー・ソウル」(日本では7作目)を遅れてリリースして、5月25日と5月30日に来日記念盤としてアルバム「ステレオ!これがビートルズ VOL.1」と「ステレオ!これがビートルズ VOL.2」をリリースしました。此の2作はそれぞれ英国オリジナル・アルバム1作目の「PLEASE PLEASE ME with Love Me Do and 12 other songs」と「WITH THE BEATLES」を、ステレオ音源にして曲順とジャケットを変えてリリースしたものです。日本でのアルバムは1作目の「ビートルズ!」と2作目の「ビートルズ No.2!」、更に5作目の「ビートルズ No.5」にバラバラにされて編集盤としてリリースされていたので、アルバム「PLEASE PLEASE ME with Love Me Do and 12 other songs」とアルバム「WITH THE BEATLES」はリリースされていなかったので、来日記念盤としてリリースしたのでしょうけれど、ジャケットはダサいし、何故か曲順が変更されているし、謎があるリリースでした。
更に10月5日になって、遅れてアルバム「リボルバー」が英国オリジナルと同内容でリリースされましたが、初期の編集盤や「ステレオ!これがビートルズ」2作もあるので英国オリジナルでは7作目だったアルバム「REVOLVER」は日本では10作目として登場したのです。コレによって1966年の日本でのリリースは、シングルが4作、EPが5作、アルバムが4作の合計13作にも及びました。ソノ上、8月5日には箱入りでアナログ2枚組の「ビートルズ物語」までリリースしています。コレはですね、キャピトルが1964年11月23日にでっち上げたドキュメンタリー盤を2年近く経ってから日本盤としてリリースした代物なのです。此の時点で11作も出した4曲入りEPは全てが日本独自盤ですし、平気で「ビートルズ物語」も出しちゃうし、今更「ステレオ!これがビートルズ」も出しちゃった東芝の爆撃は、ビートルズが解散状態になった1970年に信じ難い程に投下されます。
(小島イコ)