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2024年07月06日

「ポールの道」#424「FAB4 U.S. SINGLES」#18「HELP! / I'M DOWN」

HELP!-O.S.T./ LTD.EDT.


1965年に公開されたビートルズの2作目の主演映画「HELP!」は、仮題が「EIGHT ARMS TO HOLD YOU」でした。ソレが、ジョンが書いた実際には世界制覇をしたものの「こんなはずではなかった」と云う切実な救いを求めて歌った「HELP!」に変更されたのです。日本では「4人はアイドル」と云う邦題が付けられた映画「HELP!」は、今度は総天然色で、謎のカルト教団が生贄に付けるはずの指輪を何故か指輪好きなリンゴがはめていて、ソレを狙って追いかけられて世界中をビートルズが逃げ捲ると云う内容になっていて、ソノ主題歌なのですからジョンが書いた真意などお構いなしに大衆音楽として消費されました。ソコはビートルズなので、楽曲自体は実にポップに出来ているわけで、誰もジョンが叫ぶ意味など考えていなかったのです。そう云う風な楽曲だと理解されたのは、ビートルズが解散後にジョンが自らインタビューでビートルズ・ナンバーの内実を告白したからであって、リリース当時には誰もそんな事は想像すら出来なかったし、2024年の現在の日本では「お宝番組」のテーマ曲になっているのですから、今も尚、ジョンの心情なんか無視されていると云う事でしょう。

勿論、楽曲は発表された時から作り手から離れてゆくものではありますが、コノ「HELP!」の様な楽曲は、余りにもポップに出来過ぎているので、そりゃあ、ビートルズにも問題があるでしょう。楽曲として良く出来ているので、初期のディープ・パープルによるサイケなカヴァーでも、カーペンターズによるポップなカヴァーでも、普通に聴かせてしまうのです。ビートルズのメロディーメーカーはポールだと思われがちですけれど、ジョンが書いた曲も旋律だけなら実に美しいメロディーを持っています。シングル「HELP! / I'M DOWN」は、英国では1965年7月23日に10作目としてパーロフォンからリリースされています。米国キャピトルでも10作目のシングルとして同じカップリングでリリースされていますが、1965年7月19日なので本国英国よりも早いのです。米国では、他社からのシングルも含めれば18作目です。B面の「I'M DOWN」は英国でも米国でもアルバム未収録曲で、アルバムに収録されるのは1976年の編集盤「ROCK'N'ROLL MUSIC」が初となります。編集盤の「ROCK'N'ROLL MUSIC」には、他にも英国ではアルバム未収録だった曲が多く収録されていますので、CD化しても良さそうなアルバムです。

ソノB面の「I'M DOWN」は、それまではライヴの最後に演奏していたリトル・リチャードのカヴァー「LONG TALL SALLY」に代わるオリジナル曲を作ろうとポールが書いて、実際に其の後はライヴのラスト・ナンバーとなった曲です。が、しかし、幾ら何でも「LONG TALL SALLY」に似過ぎています。後にジョンが書いた「COME TOGETHER」がチャック・ベリーの「YOU CAN'T CATCH ME」の盗作だと訴えられそうになったり、ジョージのソロの「MY SWEET LORD」がシフォンズの「HE'S SO FINE」の盗作だと裁判になって「潜在意識での盗作」と訳が分からない理由で盗作扱いされたりしているのに、何故に「I'M DOWN」は訴えられなかったのでしょう。ソレは兎も角として、ビートルズのロックンローラーはジョンと云う事にされているのに、此のポールのシャウターぶりを聴いてもそんな事が云えるでしょうか。昨年(2023年)の新装盤「赤盤」には、ポールが叫ぶ「LONG TALL SALLY」か「I'M DOWN」の何れかを追加収録してくれても良かったのに、と思います。つまり「レノン=マッカートニー」は、二人共に「メロディーメイカー」であり「ロックンローラー」なのです。当然の如く、シングル「HELP!」も、アルバム「HELP!」も、サントラ盤「HELP!」も、英米で首位!でした。

ビートルズが「I'M DOWN」をレコーディングしたのは1965年6月14日で、同じ日には同じくポール作の「I'VE JUST SEEN A FACE」と「YESTERDAY」もレコーディングしています。ソノ振り幅が、ビートルズでありポール・マッカートニーなのです。シングル「TICKET TO RIDE」と「HELP!」を収録したアルバム「HELP!」は、英国では1965年8月6日にパーロフォンからリリースされていて、A面が映画用でB面がその他の曲の全14曲入りです。コレがマタ米国では、1965年8月13日にサントラ盤の「HELP!」をリリースしていて、内容は、A面が、1「HELP!」、2「THE NIGHT BEFORE」、3「FROM ME TO YOU FANTASY」、4「YOU’VE GOT TO HIDE YOUR LOVE AWAY」、5「I NEED YOU」、6「IN THE TYROL」で、B面が、1「THE BITTER END / YOU CAN'T DO THAT」、2「YOU'RE GOING TO LOSE THAT GIRL」、3「THE CHASE」、4「ANOTHER GIRL」、5「ANOTHER HARD DAY'S NIGHT」、6「TICKET TO RIDE」の、全12曲入りでビートルズによる演奏は7曲のみです。英国盤のA面曲だけで、B面曲は水増しアルバムゆきです。最初の「HELP!」の前に「なんちゃってジェイムズ・ボンドのテーマ」が入っていて、米国キャピトル盤の「赤盤」にもソレが入っています。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする

「大奥〜華の乱〜」第七話、第八話(再)で内山理名ちゃん



フジテレビTWO 3:40〜5:30

第七話「真の敵」
第八話「お犬様」

内山理名(主演) AS 安子

「大奥〜華の乱〜」第七話と第八話の、今年5回目の再放送です。物語も最後の方になって「お犬様」のエピソードが出てきますが、此の上様は最初から「マザコン」で「女好き」で「サイコパス」なので、まあ「天下の悪法」もやりかねないな、と思わされます。上様を演じた谷原章介さんの端正な顔立ちで「何も考えていない」無表情での鬼の所業は、誠に空恐ろしいのでございます。

本放送:2005年12月1日、12月8日(フジテレビ)

(姫川未亜/小島イコ)

posted by 栗 at 05:30| RINA | 更新情報をチェックする