2018年9月7日に、ソロとしては17作目で、ポール&リンダやウイングスを含めて25作目のアルバム「EGYPT STATION」を再び移籍したMPL/キャピトルからリリースしたポール・マッカートニーは、来日公演も終わった2019年5月17日になって「エクスプロラーズ・エディション」をリリースしました。CD2枚組で、CD1はアルバム「EGYPT STATION」全16曲入りで、CD2が、1「GET STARTED」、2「NOTHING FOR FREE」、3「FRANK SINATRA'S PARTY」、4「SIXTYSECOND STREET」、5「WHO CARES(Full Length)」、6「GET ENOUGH」、7「COME ON TO ME(Live At Abbey Road Studios)、8「FUH YOU(Live At The Cavern Club)」、9「CONFIDANTE(Live at LIPA)、10「WHO CARES(Live At Grand Central Station)」の、全10曲入りなのです。ジャケットも黄色と青空が基調ではなく、赤く夕暮れを思わせる絵に変更されています。実は、2019年5月10日には鞄入りの「トラベラーズ・エディション・ボックス・セット」と云う名の「LP3枚組」に「1CD」に「1カセットテープ」に「1USB」からなる高額商品もリリースしています。
肝心の「アーカイヴ・コレクション」がなかなか出ない状況となって、新作アルバムである2005年リリースのアルバム「CHAOS AND CREATION IN THE BACKYARD」や、2007年リリースのアルバム「MEMORY ALMOST FULL」や、2012年リリースのアルバム「KISSES ON THE BOTTOM」や、2013年リリースのアルバム「NEW」、そして此の2018年リリースのアルバム「EGYPT STATION」と、ポールは後出しでアルバムの拡大版をリリースしていて、ファンは2度買い3度買いさせられるし、どうせ後で拡大版を出すだろうと通常盤を買わずに待っているファンも出てきております。昔と違って音源は配信でも聴けるので、物としては後出しを待って買うのも得策でしょう。しかし、ビートルズやポールには結構な数のコレクターもいるので、後出しの「デラックス・エディション」が出るのは、嬉しい悲鳴をあげる事となっています。特に此のアルバム「EGYPT STATION」の「トラベラーズ・エディション・ボックス・セット」は、確かに関連楽曲の全てを収録していてオマケもいっぱい入っているのですが、LPサイズの箱よりも更に大きな鞄に収められているのです。
2020年にリイシューしたアルバム「FLAMING PIE」の「コレクターズ・エディション」に至っては税込み14万円!になっていて、確かに内容は豪華絢爛ではありますが、此のアルバム「EGYPT STATION」の「トラベラーズ・エディション・ボックス・セット」同様に「やりすぎ」としか云えません。そもそも、此の連載中の2022年リリースの7インチ・シングル80枚組の「THE 7‘’ SINGLES BOX」も、どうかしている商品だと思いますよ。さて、アルバム「EGYPT STATION」からは、2018年6月20日に「I DON'T KNOW / COME ON TO ME」が両A面でシングル・カットされていて、同2018年8月15日には第2弾シングル「FUH YOU」が、同2018年12月17日には第3弾シングル「WHO CARES」が、それぞれ配信限定でリリースされています。翌2019年1月1日にはサプライズでアルバム本編未収録曲「GET ENOUGH」が配信限定でリリースされています。
「WHO CARES」のMVにはポールと共に女優のエマ・ストーンが出演していて、アルバム・ヴァージョンよりも長い「WHO CARES(Full Length)」があります。それらのアルバム未収録曲は、全てが「エクスプロラーズ・エディション」や「トラベラーズ・エディション・ボックス・セット」に収録されているのですが、コレクターではなければ「エクスプロラーズ・エディション」で充分ですし、ソレ以前に通常盤でも楽しめる内容です。「エクスプロラーズ・エディション」のCD2みたいな後出し音源集は、そう頻繫には聴きません。「FUH YOU」は、当時76歳だったポールが「I just wanna shag you(俺はセックスしたいだけ)」と歌った事からタイトルになったと云う事で、えっと、76歳のお爺さんになってもポールはそんな事ばかり考えているのですよ。配信限定だったので「THE 7‘’ SINGLES BOX」には77枚目で、「WHO CARES」がA面で「FUH YOU」がB面の新たなカップリングで制作されて収録されています。
(小島イコ)