nana.812.png

2024年06月02日

「ポールの道」#389「THE 7‘’ SINGLES BOX」#65「DANCE TONIGHT / DANCE TONIGHT(DEMO)」

dancetonight.jpg


2005年9月12日にMPL/パーロフォンからリリースしたスタジオ・アルバム「CHAOS AND CREATION IN THE BACKYARD(ケイオス・アンド・クリエイション・イン・ザ・バックヤード〜裏庭の混沌と創造)」(全英10位・全米6位)を最後に、ポール・マッカートニーはビートルズ時代から44年間も在籍していたパーロフォンから、「スターバックス・エンターテイメント」と「コンコード・ミュージック・グループ」が立ち上げた新たなるレーベルである「ヒア・ミュージック」へ第1弾所属ミュージシャンとして移籍しました。2006年9月12日に、クラシック作品のアルバム「ECCE COR MEUM(心の翼)」をMPL/EMI Classicsからリリースしているのですが、ソレがポールとしては最後のEMIからのリリースとなっています。2006年4月11日には、ビートルズのキャピトル編集盤を収めた箱の第2弾「THE CAPITOL ALBUMS VOL.2(ザ・ビートルズ '65 BOX)」がリリースされていて、同2006年11月15日(日本)・11月20日(英国)・11月21日(米国)には、ビートルズ名義のアルバム「LOVE」がリリースされているので、またバッティングしてポールのオリジナルでの新作は出せない状況だったのでしょう。

ポールは、2007年11月14日にはDVD3枚組の「THE McCARTNEY YEARS(ポール・マッカートニー・アンソロジー 1970-2005)」をワーナーからリリースしました。コレは1970年から2005年までのポールのMVやライヴ映像をまとめた箱で、つまりはパーロフォン時代のソロやポール&リンダやウイングスの映像を収録した作品で、ヒア・ミュージックに移籍したからまとめて出したのでしょう。ポールのMVやライヴ映像は此の時点でも膨大な数があったので、ソノ全てが収録されているわけではありません。それでもDVD3枚で合計375分(6時間15分)もあるので、ファンにとっては嬉しい作品です。時は前後して、ヒア・ミュージックに移籍したポールは、2007年6月4日(米国・英国)・6月6日(日本)に、14作目(ポール&リンダやウイングスを含めて22作目)のスタジオ・アルバム「MEMORY ALMOST FULL(追憶の彼方に〜メモリー・オールモスト・フル)」をMPL/ヒア・ミュージックからリリースしました。プロデュースは前々作「DRIVING RAIN」でも組んだデヴィッド・カーンで、ツアー・バンドと組んだ楽曲と、ポールのワンマン・レコーディングを合わせた構成にしていて、つまりは前々作「DRIVING RAIN」と前作「CHAOS AND CREATION IN THE BACKYARD」を合わせた様なアルバムを意図して制作されています。

当時のポールは再婚した悪妻・ヘザー・ミルズとの離婚で揉めていたので、タイトルの「MEMORY ALMOST FULL」が「FOR MY SOULMATE L.L.M.(我が魂の伴侶・リンダ・ルイーズ・マッカートニーに捧ぐ)」のアナグラムではないかと話題になりました。内容は、1「DANCE TONIGHT」、2「EVER PRESENT PAST」、3「SEE YOUR SUNSHINE」、4「ONLY MAMA KNOWS」、5「YOU TELL ME」、6「MY BELLAMY」、7「GRATITUDE」、8「VINTAGE CLOTHES」、9「THAT WAS ME」、10「FEET IN THE CLOUDS」、11「HOUSE OF WAX」、12「THE END OF THE END」、13「NOD YOUR HEAD」の、全13曲入りで、日本盤には、14「WHY SO BLUE」がボーナス・トラックとして収録された全14曲入りです。ところが、同時に縦長ジャケットでCD2枚組の限定盤もリリースされていて、そちらはCD1が本編13曲入りで、CD2が、1「IN PRIVATE」、2「WHY SO BLUE」、3「222」の3曲に、4「Audio commentary: Paul talks about the music of Memory Almost Full」と題されたポールの25分位のインタビューが収録されています。

2007年11月6日になって、ピンク・ジャケットのCDとDVDの2枚組「デラックス・エディション」もリリースされていて、CDには本編13曲に限定盤でのアルバム未収録3曲を加えた全16曲入りで、DVDには2007年6月7日のロンドンのジ・エレクトリック・ボールルームでのライヴから、1「DRIVE MY CAR」、2「DANCE TONIGHT」、3「HOUSE OF WAX」、4「NOD YOUR HEAD」、5「ONLY MAMA KNOWS」の5曲と、「DANCE TONIGHT」と「EVER PRESENT PAST」のMV2曲を加えた7曲が収録されています。ポールは此の辺から、新作アルバム自体を「アーカイヴ・コレクション」みたいにしていて、何種類も後出しでリリースする様になったので、コレクターは困ったちゃんなのです。アルバムはスターバックスの店舗でも売られていて、新作なのに駅売りのパチモンみたいに見えて「トホホ」でしたが、全英5位・全米3位と大ヒットしています。当時は若かったツアー・バンドをバックにした「ONLY MAMA KNOWS」などは、第5期ウイングス時代の様なハードロック調で、若返ったポールのシャウトが聴けます。

第1弾シングルとして、2007年6月18日(ポールの65歳のお誕生日)にアルバム冒頭の「DANCE TONIGHT」が、両面共に「DANCE TONIGHT」で英国では変型ピクチャー・10インチ・シングルでリリースされて、米国では「DANCE TONIGHT」と「NOD YOUR HEAD」のカップリングでの配信シングル限定でのリリースでした。成績は全英26位・全米69位でしたが、限定盤の変型シングルと配信でしか買えないわけで、やはりキチンと7インチ盤やCDシングルでもリリースしてくれないと、お話にならないのですよ。「DANCE TONIGHT」はポールが、ヴォーカル、マンドリン、エレクトリック・ギター、ベース、ドラムス、キーボード、パーカッション、オートハープ、とひとりだけで多重録音している楽曲で、ポールがマンドリンを弾くと幼かった娘のベアトリスが喜んで踊るのを見て書いた曲だそうです。ミシェル・ゴンドリーが監督したMVではポールと、娘のステラ・マッカートニーの友人でもあるナタリー・ポートマンやマッケンジー・クルックも出演しています。「THE 7‘’ SINGLES BOX」には65枚目で、B面に未発表だった「DANCE TONIGHT」のデモ音源を収録した新たなシングルとして収録されています。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする