ビートルズ本隊の、1994年のスタジオ・ライヴ盤「LIVE AT THE BBC」と、1995年から1996年までのボツ音源集「ANTHOLOGY」の為に新作アルバムを出せなかったポール・マッカートニーは、、1997年5月5日になってようやく新作アルバム「FLAMING PIE」をMPL/パーロフォンからリリース出来ました。1997年4月28日に先行シングルの「YOUNG BOY」を英国と日本でリリースしたのですが、ソノ内で英国でのCDシングルは収録内容が違う2種があります。1997年7月7日には第2弾シングルとして「THE WORLD TONIGHT / USED TO BE BAD」を英国ではピクチャー盤でリリースしていて、A面の「THE WORLD TONIGHT」は、ポール・マッカートニー(リード・ヴォーカル、バッキング・ヴォーカル、ベース、アコースティック・ギター、エレクトリック・ギター、ピアノ、ドラムス 、パーカッション)、ジェフ・リン(バッキング・ヴォーカル、アコースティック・ギター、エレクトリック・ギター、キーボード)で、ポールとジェフ・リンの二人だけで多重録音して完成させています。
B面の「USED TO BE BAD」はスティーヴ・ミラーとの共演曲ですが、アルバムからのシングル・カットです。日本では「WORLD TONIGHT / YOUNG BOY」のカップリングでも出ています。米国のCDシングルは、前作シングル「YOUNG BOY」がリリースされていなかったので、「THE WORLD TONIGHT」に、アルバム未収録のリンゴ・スターが参加した「LOOKING FOR YOU」と「OOBU-JOOBU Part1」と云うカップリングになっています。英国でのCDシングルは2種あって、表題曲「THE WORLD TONIGHT」に「USED TO BE BAD」と「OOBU-JOOBU Part3」(1986年レコーディングの未発表曲「SQUID」が聴ける)をカップリングした盤と、表題曲「THE WORLD TONIGHT」にポールとリンゴの共作でアルバムにも収録されている「REALLY LOVE YOU」と「OOBU-JOOBU Part4」(1986年にポールとエリック・スチュワートが共作して後に1992年に再結成10ccがリリースした「DON'T BREAK THE PROMISES」のポールによるデモ音源が聴ける)をカップリングした盤となっております。ポールのシングルとしては珍しくカップリング曲もアルバムからとなっておりますが、例によって「OOBU-JOOBU Part3」と「OOBU-JOOBU Part4」はアルバム未収録なので、厄介な事になっています。
ソノ「OOBU-JOOBU」ですが、1995年にポールが制作したラジオ番組から編集した音源で「OOBU-JOOBU Part1」から「OOBU-JOOBU Part6」まであって、基本的にはCDシングル「YOUNG BOY」2種と「THE WORLD TONIGHT」2種と「BEAUTIFUL NIGHT」2種の合計6枚のCDシングルを全て買わないと揃いません。ソレがですね、2020年にリリースされたアルバム「FLAMING PIE」の「アーカイヴ・コレクション」の箱には全て収録されているのです。但し、「OOBU-JOOBU Part1」から「OOBU-JOOBU Part6」までが収録されているのは「CD4」なのです。つまり、税込み4万円以上もする「デラックス・エディション」の箱か、税込み14万円!もする「コレクターズ・エディション」を買わなければ聴けません。今年(2024年)7月12日にリリースされるジョン・レノンのアルバム「MIND GAMES」の箱が、3万5千2百円もするので呆れているのですが、何の事はない、ポールが14万円!もする箱を既に出していたわけですよ。
どんなにレア音源や映像や豪華本やオマケを加えたところで、所詮はリイシューにすぎないので、3万円台とか4万円台とかでも高いし、ましてや14万円!なんて、もはや正気の沙汰とは思えません。そんな貴方に朗報です。例のCD2枚組で税込み千円ブートレグ「FLAMING PIE & MORE」には、アルバム「FLAMING PIE」関連曲が、既にCD4枚組税込み2千円の「FLOWERS IN THE DIRT & MORE」に収録されている「LOVE COMES TUMBLING DOWN」と「SAME LOVE」以外は全て収録されているので、勿論「OOBU-JOOBU Part1」から「OOBU-JOOBU Part6」までの6トラックも全て聴く事が出来ます。ビートルズやジョンやポールやジョージの箱はドンドン出ているのですけれど、価格の方もズンズンと高騰しているので、余り良い傾向だとは思えません。ひとつのアルバムの拡大盤が3万円以上もするなんて、おかしいでしょう。3万円もあったなら、ビートルズのオリジナル・アルバムのステレオとモノの箱が輸入盤ならば新品で両方買えるんですよ。「THE WORLD TONIGHT」は、全英23位・全米64位で、みんなアルバム「FLAMING PIE」(全英2位・全米2位)を買っていたんでしょう。「THE 7‘’ SINGLES BOX」では58枚目で、英国盤のピクチャー盤を元にした新たなデザインで収録されています。
(小島イコ)