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2024年04月25日

「ポールの道」#261「THE 7‘’ SINGLES BOX」#27「GETTING CLOSER / BABY'S REQUEST」

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英国では、1979年6月8日にリリースされたポール・マッカートニーが率いるウイングスの7作目のオリジナル・スタジオ・アルバム「BACK TO THE EGG」は、此の時点で「第7期ウイングス」となっていて、ポール&リンダ・マッカートニーと、従順すぎるデニー・レインのオリジナル・メンバーに、ドラマーのスティーヴ・ホリーとリード・ギタリストのローレンス・ジューバーを加えた5人組でした。結局、アルバム「BACK TO THE EGG」は「第7期ウイングス」だけではなく「ウイングス」の最後のアルバムとなってしまい、「第7期ウイングス」としてはシングルの「GOODNIGHT TONIGHT」とアルバム「BACK TO THE EGG」とシングル片面の「COMING UP(LIVE)」しか残せていません。シングル「GOODNIGHT TONIGHT」は、B面だった「DAYTIME NIGHTTIME SUFFERING」と共に、オリジナル・アルバムには未収録ですが、其の後のアルバム「BACK TO THE EGG」からのシングル・カットが、何故か英米ばかりか日本でもバラバラでリリースされたので、翌1980年1月の来日公演中止のゴタゴタもあって、印象が悪いのです。

まずは前回に取り上げた「OLD SIAM, SIR / SPIN IT ON」が、1979年6月1日に英国でシングル・カットされて、パンクを意識した両面でしたが35位と低迷しています。ソレで、米国では1979年6月5日に「GETTING CLOSER / SPIN IT ON」のカップリングでシングル・カットされていて、日本でも同じカップリングで同年7月20日にシングル・カットされ、全米20位まで上がっています。しかし、「THE 7‘’ SINGLES BOX」には此の米国でのカップリングは収録されていません。英国での第2弾シングル・カットは、同年8月16日にリリースされた「GETTING CLOSER / BABY'S REQUEST」で、「THE 7‘’ SINGLES BOX」にはこちらが27枚目で、英国盤の「ザリガニ」のピクチャー・スリーヴで復刻されています。更に先を急ぐと、米国と日本では第2弾シングル・カットとして「ARROW THROUGH ME / OLD SIAM, SIR」が、米国では1979年8月14日にリリースされて全米29位で、日本では来日公演に合わせるカタチで翌1980年1月20日に「来日記念盤」としてリリースされていて、ソレが次の28枚目で「THE 7‘’ SINGLES BOX」に日本盤のピクチャー・スリーヴで復刻されているのです。

まあ、其の件に関しては次回で取り上げますが、他にもフランスでは「ROCKESTRA THEME / OLD SIAM, SIR」のカップリングでシングル・カットされていて、もう各国盤で違っていて滅茶苦茶です。さて、27枚目の「GETTING CLOSER / BABY'S REQUEST」ですが、両面共に良い曲なのですけれど、全英60位と壊滅的な成績でした。折角のピクチャー・スリーヴ付きでも、何を考えていたのか分からない「ザリガニ」ジャケットからして、売る気がなかったとさえ思えます。アルバム「BACK TO THE EGG」は、A面1曲目がインストゥルメンタル曲「RECEPTION」で、最後にラジオのチューニングを合わせるSEから「GETTING CLOSER」に繋がる編集だったので、実質的にはA面1曲目と云っても良いハード・ロック・ナンバーです。実は初期段階では「RECEPTION」の次は「COLD CUTS」でお馴染みの未発表曲「CAGE」で、ソノ次が「GETTING CLOSER」の予定でした。ソレが、此のシングルB面にもなったジャジーな「BABY'S REQUEST」が追加収録されたので、「CAGE」はボツになったのです。

「BABY'S REQUEST」はアルバムの最後に収録されているので、云ってみればアルバムの最初と最後の曲をカップリングしたシングルなわけで、ソレが全英60位では困ったちゃんなのです。「GETTING CLOSER」に関しては、1974年の「PIANO DEMO」でもう登場していたし、なんと「ROCKESTRA THEME」もピアノのインストゥルメンタルで出来ていたのです。全14曲(メドレーを分ければ全16曲)も詰め込んだアルバム「BACK TO THE EGG」は、正にポール・マッカートニーと云う音楽家の多様性を見せつけた名作なのですが、幅が広すぎるし、アルバムのテーマも幾つも盛り込んでいて、ロケストラもあればポールのソロもあって、ウイングスのアルバムとは云えません。それでも全曲をポールが書いていれば良かったのに、例によって1曲をデニー・レイン作の「AGAIN AND AGAIN AND AGAIN」なんて駄作に譲っていて、タイトルからしてダメなデニー・レインの曲を入れる位なら、予定通りに「CAGE」を入れるか、名曲「SAME TIME NEXT YEAR」を入れて、デニー・レインの曲をボツにしたら良かったと思います。ブートレグの9枚組「THE 7‘’ SINGLES」では、此のシングルで3枚目が終わるので、イイ感じです。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする