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2024年04月21日

「ポールの道」#257「THE 7‘’ SINGLES BOX」#23「I'VE HAD ENOUGH / DELIVER YOUR CHILDREN」

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ポール・マッカートニー率いるウイングスは、1978年3月31日に6作目のスタジオ・アルバム「LONDON TOWN」をパーロフォン(英国)・キャピトル(米国)からリリースしたのですが、レコーディング途中でリード・ギタリストのジミー・マカロックとドラマーのジョー・イングリッシュが脱退してしまい、リンダ・マッカートニーが産休に入った為に、最終的にはポールとデニー・レインの二人だけで仕上げる事となってしまいました。故に此のアルバムは、5人組だった「第5期ウイングス」と、3人になった「第6期ウイングス」と、二人だけになった「第6.5期ウイングス」が混在しています。それでも、1977年11月にリリースした先行シングルでアルバム未収録だった「MULL OF KINTYRE(夢の旅人)」は英国では6週連続首位!で売り上げ記録を塗り替える特大ヒット曲となったし、第1弾シングル・カット曲「WITH A LITTLE LUCK(しあわせの予感)」は全米首位!と売れました。

そこでポールは第2弾シングル・カットとして「I'VE HAD ENOUGH(別れの時) / DELIVER YOUR CHILDREN(子供に光を)」を、1978年6月5日(米国)・6月16日(英国)にリリースしたのですけれど、結果的には、全英42位、全米25位と、イマイチな成績でした。アルバム「LONDON TOWN」も、全英4位、全米2位で、前作スタジオ・アルバム「WINGS AT THE SPEED OF SOUND」がメンバー全員に歌わせる散漫な内容だったのに全米首位!(全英2位)よりも落ちています。特にタイトルからして英国向けを意識したのにも関わらず、英国での成績が落ちているのが気がかりです。A面の「I'VE HAD ENOUGH」は、アナログ盤ではA面の最後に収録されていたロックンロール・ナンバーで、船上レコーディング曲なので「第5期ウイングス」の5人による演奏で、ジミー・マカロックのギターがカッコイイ曲です。コノ頃にはウイングスを辞める覚悟を決めていたのでしょうけれど、ギターはビシッとキメるのはプロですね。

ポールがこう云う曲を書いてアルバムに入れてシングル・カットまでしたのは、当時の音楽シーンが「パンクだ、ニューウェーブだ」となっていたので、それなら俺様が元祖で本家だ、と思っていたからなのでしょうけれど、前々作シングルが呑気な「MULL OF KINTYRE」で、前作シングルがポップな「WITH A LITTLE LUCK」なのですから、振り幅が広すぎます。「MULL OF KINTYRE」のカップリングもロックンロールの「GIRLS' SCHOOL」だし、ポールは根本的にはロックンローラーなのですけれど、当時は元ビートルズのロックンローラーはジョン・レノンと云う事にされていました。誰もが、ビートルズの「I'M DOWN」や「HELTER SKELTER」をポールが書いて熱唱していた事実を、すっかり忘れていたのです。B面の「DELIVER YOUR CHILDREN」は、ポールとデニー・レインの共作で、デニー・レインが歌っているので本当に共作なのでしょう。しかし、コレがダサい。おそらくジミーとジョーが抜けた後の録音で、如何にもタコにも、ウイングスのB面です。「THE 7‘’ SINGLES BOX」には23枚目で、英国盤のピクチャー・スリーヴで復刻されていますが、此のジャケットじゃあ、売れませんわなあ。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする