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2024年04月17日

「ポールの道」#343「THE 7‘’ SINGLES BOX」#19「LET ’EM IN / BEWARE MY LOVE」

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ポール・マッカートニーが率いる「第5期ウイングス」は、1976年3月にリリースしたウイングスとしては5作目で「第5期ウイングス」だけでは唯一のアルバム「WINGS AT THE SPEED OF SOUND」(前作「VENUS AND MARS」は「第4期ウイングス」と「第5期ウイングス」が混在し、次作スタジオ・アルバム「LONDON TOWN」では「第5期ウイングス」と「第6期ウイングス」が混在している)を、ツアー中だった事もあって全英2位・全米首位!と大ヒットさせ、同年4月にリリースした第1弾シングル「SILLY LOVE SONGS(心のラヴ・ソング)」も全英2位・全米首位!と売れ捲りました。ソコで、同年6月28日(米国・キャピトル)・7月23日(英国・パーロフォン)・8月20日(日本・東芝EMI)に、第2弾シングル・カットの「LET ’EM IN(幸せのノック) / BEWARE MY LOVE(愛の証し)」をリリースしました。アルバムが出てから3か月後のリリースでしたが、全英2位・全米3位と、これまた売れに売れました。それにしても、酷いジャケットですよね。

アルバム「WINGS AT THE SPEED OF SOUND」のA面1曲目に収録された「LET ’EM IN」はポール宅の玄関にあるチャイムの音から始まり、単調な曲でサビでは人名を、シスター・スージー(リンダ・マッカートニー)、ブラザー・ジョン(リンダの兄・ジョン・イーストマン)、マーティン・ルーサー(マーティン・ルーサー・キング牧師)、フィル&ドン(エヴァリー・ブラザース)、ブラザー・マイケル(マイク・マクギア)、アンティー・ジン(ポールの叔母)、アンクル・アーニー(ロック・オペラ「トミー」のトミーの叔父で、オーケストラ版でリンゴ・スターが演じた)、アンクル・イアン(ポールの叔母ジンの息子)と歌い込んでいるだけと云う、かなりぶっ飛んだ曲なのですが、コレがマタ売れちゃうあたりが「第5期ウイングス」の勢いがあったところです。作詞作曲は、両面共に「ポール&リンダ」作となっています。ちなみに、ブートレグ9枚組の「THE 7’’ SINGLES」では、此の曲から3枚目に突入するので、丁度チャイムの音から始まってイイ感じです。まあ、つまりは2枚目はリンダの「COOK OF THE HOUSE」で終わっているわけですが。

レコーディング・メンバーは、ポール・マッカートニー(リード・ヴォーカル、バッキング・ヴォーカル、ピアノ・A面、ベースギター・B面)、リンダ・マッカートニー(バッキング・ヴォーカル 、キーボード・A面、リード・ヴォーカル・B面前半)、デニー・レイン(バッキング・ヴォーカル、ミリタリードラム・A面、アコースティック・ギター・B面)、ジミー・マカロック(ベースギター・A面、アコースティック・ギター、エレクトリック・ギター・B面)、ジョー・イングリッシュ(ドラムス)の「第5期ウイングス」に、ハウイー・ケイシー(フルート、サクソフォーン)、タデウス・リチャード(フルート、サクソフォーン)、スティーブ・ハワード(フルート、トランペット)、トニー・ドーシー(フルート、トロンボーン)のホーン隊4人を加えた、9人体制の「5.5期ウイングス」です。前回も書きましたが、アルバム「WINGS AT THE SPEED OF SOUND」では全11曲中6曲しかポールが歌っていないので、シングル・カット3曲(「SILLY LOVE SONGS」と「LET ’EM IN」と「BEWARE MY LOVE」)を除くと、アルバムだけで聴けるポールの歌は、たったの3曲です。

ソノ3曲は「SHE'S MY BABY」と「SAN FERRY ANNE」と「WARM AND BEAUTIFUL」で、それぞれ名曲だから困ったちゃんなのです。ジョー・イングリッシュに歌わせた「MUST DO SOMETHING ABOUT IT」は、現在ではアルバム「WINGS AT THE SPEED OF SOUND」の「アーカイヴ・コレクション」でポールが歌ったヴァージョンも聴けて、ジョー・イングリッシュも歌が上手いけれど、ポールのヴァージョンには負けています。シングルB面の「BEWARE MY LOVE」は、これぞ「第5期ウイングス」と云えるハード・ロック路線で、ポールの雄叫びが堪能出来ますが、なんと「アーカイヴ・コレクション」にはレッド・ツェッペリンのジョン・ボーナムがドラムスを叩いたヴァージョンが収録されています。ボンゾはウイングスの大ファンで、ツアーの追っかけをやっていたそうで、だったら叩いてみるか、となったのでしょう。コレも前にも書いたと思うのですが、当時はツェッペリンのファンに「ウイングスなんて軟弱だ」とバカにされていたので「ざまあみろ」なのです。「THE 7‘’ SINGLES BOX」には、19枚目で、ドイツ盤のピクチャー・スリーヴで復刻されています。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする