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2024年04月04日

「ポールの道」#330「THE 7‘’ SINGLES BOX」#06「MARY HAD A LITTLE LAMB / LITTLE WOMAN LOVE」

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ポール・マッカートニーが1971年に結成した新バンド「ウイングス」は、最初は英米では「WINGS」と1971年から1972年までは名乗っていました。しかしながら、1973年になると「PAUL McCARTNEY & WINGS」と改名させられるのです。ところが、日本では1972年1月7日リリース(英米よりも1か月遅い)のデビュー・アルバム「WILD LIFE」の時点で「ポール・マッカートニーとウイングス」となっていて、前回に取り上げた「アイルランドに平和を(GIVE IRELAND BACK TO THE IRISH)」でも「ポール・マッカートニーとウイングス」名義で、今回取り上げる「メアリーの子羊(MARY HAD A LITTLE LAMB)」も「ポール・マッカートニー・アンド・ウイングス」名義となっていて、欧米諸国よりも早く「ウイングスなんて誰も知らないから、ポール・マッカートニー&ウイングスにしろ」を、勝手に敢行しちゃっていました。ポールとしても、まさか日本でそんな事になっているとは知らなかったでしょう。日本盤シングルのジャケットも、たまにリンダと2ショット写真があったものの、ほとんどがポールひとりだけの写真でした。

さて、前回取り上げた「GIVE IRELAND BACK TO THE IRISH」に続いて、1972年5月12日(英国)・同年5月29日(米国)にアップルからリリースされたのが、ウイングスの2枚目のシングル「MARY HAD A LITTLE LAMB / LITTLE WOMAN LOVE」です。前作シングルが政治的な内容で放送禁止になったので、打って変わって童謡の様で毒にも薬にもならぬ様なシングルを、たったの3か月後と云う短いスパンでリリースするのが天然バカボンであるポールなのです。実際にタイトルと詞は同名の童謡から頂いていて、レコーディング・メンバーは、ポール・マッカートニー(ヴォーカル、バッキング・ヴォーカル、ベースギター、パーカッション、ピアノ)、リンダ・マッカートニー(バッキング・ヴォーカル、キーボード、マラカス)、デニー・レイン(バッキング・ヴォーカル、エレキ・ギター、ベースギター)、ヘンリー・マカロック(バッキング・ヴォーカル、エレキ・ギター、マンドリン)、デニー・シーウェル(バッキング・ヴォーカル、ドラムス、パーカッション、シロフォン)の「第2期ウイングス」で、主役のメアリー・マッカートニーとヘザー・マッカートニーもバッキング・ヴォーカルで参加しています。

第2期ウイングスはドサ回りをやっていて、2台のバスで移動して、アポなしで大学を訪れて其の場で交渉してライヴを行っていたのですが、ポールは、ヘザー、メアリー、ステラと3人の娘とペットの犬3匹も同行させていたのです。母親であるリンダがバンドのメンバーなのだから、幼い娘たちを家に置いては置けなかったわけですけれど、そもそも、バンマスであるポールの嫁が、碌に楽器も弾けないのにメンバーに居て、ソノ上、子どもを3人に犬3匹も同行するって、他のメンバーのストレスは相当なもんだったでしょう。ポールはビートルズの末期にジョン・レノンが小野洋子さんをスタジオに居座らせた事で自分がストレスを感じていたのに、ジョンがやるからとばかりにリンダとヘザーをスタジオに連れてくるし、こうして自分の新しいバンドを結成してもジョンと同じ様にしていると云うか、娘3人に犬3匹も加えているんですから、ジョン&ヨーコよりもたちが悪いとしか云えません。アポなしの大学ツアーだってポールの思い付きでしょうし、世界一有名なバンドの音楽的なリーダーと組んでバンドをやろうとしたら、何故かアマチュア・バンドみたいなところから始まっちゃったので、ポール&リンダ以外のメンバーはかなり困惑したんじゃないでしょうか。

ソコに来て此の「メリーさんのひつじ」で、あろうことか娘もコーラスに参加なんですから、新加入したリード・ギタリストのヘンリー・マカロックなんか目が点になっちゃったんじゃないでしょうか。ギンギンにエレキ・ギターを弾こうと思っていたら、マンドリンを渡されてバンマスの子どもと一緒にコーラスをやらされるって、コレ以上ない程の「パワハラ」でしょう。ヘンリーは結局はシングル5枚にアルバム1枚で2年も経たずにバンドを去るわけですが、やってらんなかった気持ちは分かります。ポールでしか考えられないシングル「MARY HAD A LITTLE LAMB」は、全英9位・全米28位でした。ポールによるピアノがイイ感じなB面の「LITTLE WOMAN LOVE」は、1970年11月にアルバム「RAM」のセッションでレコーディングされた楽曲です。ドラムはデニー・シーウェルですが、まだウイングスは結成前で、デニー・レインもヘンリー・マカロックもいない時の楽曲で、ダブル・ベースはミルト・ヒントンが弾いています。A面の童謡路線にはグッと堪えても、B面がウイングス結成前の音源ではメンバーは我慢がならなかったでしょう。両面共に「マッカートニー&マッカートニー(ポール&リンダ)」が書いた事になっていて、アルバム未収録曲でしたが、アルバム「WILD LIFE」の「アーカイヴ・コレクション」にボーナス・トラックとして収録されていて、「LITTLE WOMAN LOVE」はアルバム「RAM」の「アーカイヴ・コレクション」にも入っています。「THE 7‘’ SINGLES BOX」には6枚目で、ピクチャー・スリーヴでレーベルも可愛い英国復刻盤が収録されています。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする

「GetNavi web」インタビュー(2024年4月4日)




「GetNavi web」に、那奈ちゃんのインタビュー記事が掲載されています。最近は流石にいい加減な記事はアップされなくなっていて、コレは正式に那奈ちゃんに取材した記事です。まあ、ロコンド社員として頑張っていると云う事で、近影と共に「会社員として前向き」な受け答えをされています。つまりは、今後も芸能活動は期待できないと云う事ですね。

(小島イコ/姫川未亜)

posted by 栗 at 07:07| MAGAZINE | 更新情報をチェックする