ポール・マッカートニーが2020年12月18日にリリースした宅録ソロ・アルバム「McCARTNEY V」は、翌2021年4月16日に配信で、同年7月23日にはCDとアナログLP(10種類ある!)で、全曲をカヴァーしたアルバム「McCARTNEY V IMAGINED」がキャピトルからリリースされました。内容は、1「FIND MY WAY」フィーチャリング・ベック、2「THE KISS OF VENUS」ドミニク・ファイク、3「PRETTY BOYS」フィーチャリング・クルアンビン、4「WOMAN AND WIVES」セイント・ヴィンセント・リミックス、5「DEEP DOWN」ブラッド・オレンジ・リミックス、6「SEIZE THE DAY」フィーチャリング・フィービー・ブリジャーズ、7「SLIDIN'」EOB・リミックス、8「LONG TAILED WINTER BIRD」デーモン・アルバーン・リミックス、9「LAVATORY LIL」ジョシュ・オム、10「WHEN WINTER COMES」アンダーソン・パーク・リミックス、11「DEEP DEEP FEELING」3D RDN リミックス、の全11曲入りで、CDとLPにはボーナス・トラックで、12「LONG TAILED WINTER BIRD」イドリス・エルバ・リミックスを加えた全12曲入りの、50分7秒です。
此のカヴァー・アルバムの人選と監修はポール本人が行っていて、それぞれのミュージシャンがお気に入りの「McCARTNEY V」収録曲を自分のスタイルでカヴァーもしくはリミックスしています。それにしては見事にバッティングしていませんが、まあ、ポールが上手いこと振り分けたのでしょう。故に、ポールのツアー・バンドがほとんどを演奏してカラオケ大会になってしまった2014年リリースのカヴァー・アルバム「THE ART OF McCARTNEY」よりは、ずっと面白い作品にはなっています。原曲がポールによる多重録音だったので、云ってしまえば、それ程には作り込まれてはいないので、それぞれのミュージシャンがリアレンジし易かったのでしょう。オリジナル盤と此のカヴァー集のリリースの間隔が3か月足らず(ドミニク・ファイクの「THE KISS OF VENUS」やベックの「FIND MY WAY」が2021年3月にはMVが先行公開された)だったので、ポールはオリジナルを完成してリリースした直後か、もしくはオリジナルの制作中に、此のカヴァー・アルバムを構想していたと思われます。オリジナルが全米2位・全英首位!で、此のカヴァー・アルバムも全米19位・全英13位とヒットしました。
さて、ポールの「McCARTNEY V」はオリジナル・アルバムとカヴァー・アルバムだけでは終わらず、2022年8月5日には「McCARTNEY 1, 2, 3 BOX」と云う箱がアナログLP3枚組とCD3枚組でリリースされています。コレはですね、1970年リリースのアルバム「McCARTNEY」と、1980年リリースのアルバム「McCARTNEY U」と、2020年リリースのアルバム「McCARTNEY V」の3枚組です。アナログ盤のアルバム「McCARTNEY」は透明盤で、アルバム「McCARTNEY U」は白盤で、アルバム「McCARTNEY V」はクリーミー・ホワイト盤となっていて、ソレがエド・ルシェによる「何が良いのか分からない」デザインの黒い箱に入っています。そして、更に2023年12月15日になって、新たなるアルバム「McCARTNEY V」のアナログ盤3種類がリリースされたのですが、ソレがですね、ジャケットが同じでカラー・レコードが3種類あって、買って開封しないと中味が分からないのです。おいおい、乃木坂46や櫻坂46のランダム生写真入りシングルよりも阿漕な商売ではありませんか。そう云えば、大昔の那奈ちゃんのCCCDもピクチャー・レーベル3種封入りとかやっていたなあ。
(小島イコ)