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2024年03月26日

「ポールの道」#321「GIMME SOME TRUTH.」JOHN LENNON’S BEST ALBUM #10



再び「ポールの道」に「GET BACK」しますが、ブートレグの話ばかりになったので、此の辺で公式盤に戻りましょう。2020年は世界的なコロナ禍で、予定されていた箱物のリリースが先送りされて、翌2021年にそれらが一斉にリリースされて泣き笑いした記憶があります。そんな中でも、ポール・マッカートニーは自宅スタジオで全ての歌と演奏をひとりで多重録音した「McCARTNEY V」を2020年12月18日にリリースしたのですが、2020年10月9日(ジョン・レノンのお誕生日)に、生誕80周年記念盤としてジョンのベスト盤「GIMME SOME TRUTH.」がキャピトル/ユニバーサルからリリースされました。全19曲入りの「CD1枚」と、全36曲入りの「CD2枚組」と、全36曲入りの「CD2枚組にBDと豪華本」と、全19曲入りの「2LP」と、全36曲入りの「LP4枚組」の、5形態でのリリースでした。タイトルが2010年リリースの小箱「GIMME SOME TRUTH」と同じですが、こっちはドットが入って「GIMME SOME TRUTH.」です。

ジョンには、生前にジョン自身が編集した1975年リリースの「SHAVED FISH」全11曲入りと、死後の1982年リリース(CD化は1989年)の「THE JOHN LENNON COLLECTION」全19曲入りと、サントラ盤でビートルズも含めた準ベスト盤と云える1988年リリースの「IMAGINE」全21曲入りと、1990年リリースのCD4枚組の箱「LENNON」全73曲入りと、1997年リリースの「LENNON LEGEND」全20曲入りと、2005年リリースの2枚組「WORKING CLASS HERO - THE DEFINITIVE LENNON(決定盤ジョン・レノン 〜ワーキング・クラス・ヒーロー)」全38曲入りと、2010年リリースの大箱「JOHN LENNON SIGNATURE BOX(ジョン・レノンBOX)」スタジオ・アルバム11枚組全曲集と、同年リリースの小箱「GIMME SOME TRUTH」CD4枚組全72曲入りと、同年リリースのCDとDVDの「POWER TO THE PEOPLE THE HITS」全15曲(CDとDVDは同じ曲)と9セットもありました。特に2010年の大箱と小箱とCD+DVDは「ジョンのミックスに戻す」リマスター盤で、アナログ時代からのファンにも好評でした。ソレは、此の「GIMME SOME TRUTH.」まで10年間も新たなベスト盤がリリースされなかった(2014年に「ICON」シリーズで安っぽいベスト盤は出ている)事でも証明されていて、正直に云ってジョンのベスト盤は素材自体が限られているので、些か食傷気味でした。

そこで、此の「GIMME SOME TRUTH.」は、ヨーコさんとショーンが選曲をして、ショーンがプロデュースして、ポール・ヒックスがリミックスした新装盤です。1枚もののCDは、1「INSTANT KARMA!(WE ALL SHINE ON)」(1970)、2「COLD TURKEY」(1969)、3「ISOLATION」(1970)、4「POWER TO THE PEOPLE」(1971)、5「IMAGINE」(1971)、6「JEALOUS GUY」(1971)、7「GIMME SOME TRUTH」(1971)、8「COME TOGETHER」(1972 Live)、9「#9 DREAM」(1974)、10「MIND GAMES」(1973)、11「WHATEVER GET YOU THRU THE NIGHT」(1974)、12「STAND BY ME」(1975)、13「(JUST LIKE)STARTING OVER」(1980)、14「BEAUTIFUL BOY(DARLING BOY)」(1980)、15「WATCHING THE WHEELS」(1980)、16「WOMAN」(1980)、17「GROW OLD WITH ME」(1980, 1984, 1998)、18「HAPPY XMAS(WAR IS OVER)」(1971)、19「GIVE PEACE A CHANCE」(1969)の、全19曲入り72分3秒です。余りにも当たり前過ぎる選曲ですが、何度も何度も擦ったベスト盤なのですから仕方がありません。

コレが2CDになると、CD1が、1「INSTANT KARMA!(WE ALL SHINE ON)」(1970)、2「COLD TURKEY」(1969)、3「WORKING CLASS HERO」(1970)、4「ISOLATION」(1970)、5「LOVE」(1970)、6「GOD」(1970)、7「POWER TO THE PEOPLE」(1971)、8「IMAGINE」(1971)、9「JEALOUS GUY」(1971)、10「GIMME SOME TRUTH」(1971)、11「OH MY LOVE」(1971)、12「HOW DO YOU SLEEP?」(1971)、13「OH YOKO!」(1971)、14「ANGELA」(1972)、15「COME TOGETHER」(1972 Live)、16「MIND GAMES」(1973)、17「OUT THE BLUE」(1973)、18「I KNOW(I KNOW)」(1973)の、全18曲入りで68分42秒です。

CD2が、1「WHATEVER GET YOU THRU THE NIGHT」(1974)、2「BLESS YOU」(1974)、3「#9 DREAM」(1974)、4「STEEL AND GLASS」(1974)、5「STAND BY ME」(1975)、6「ANGEL BABY」(1973, 1986)、7「(JUST LIKE)STARTING OVER」(1980)、8「I'M LOSING YOU」(1980)、9「BEAUTIFUL BOY(DARLING BOY)」(1980)、10「WATCHING THE WHEELS」(1980)、11「WOMAN」(1980)、12「DEAR YOKO」(1980)、13「EVERY MAN HAS A WOMAN WHO LOVES HIM」(1980, 1984)、14「NOBODY TOLD ME」(1980, 1984)、15「I'M STEPPING OUT」(1980, 1984)、16「GROW OLD WITH ME」(1980, 1984, 1998)、17「HAPPY XMAS(WAR IS OVER)」(1971)、18「GIVE PEACE A CHANCE」(1969)の、全18曲入り69分2秒で、合計36曲入り137分49秒です。

こちらは全36曲入りなので、定番曲ばかりではなくなっていて、特に「COME TOGETHER」のライヴ音源は従来の昼の部からではなく、夜の部での演奏となっていて、ジョンが「COME TOGETHER RIGHT NOW」の後に「STOP THE WAR!」と叫ぶ音源です。しかしながら、選曲に関しては疑問もあります。一見してシングル曲や各アルバムから均等に選んでいる様に見えて、何故かシングル曲でもあった「MOTHER」と「WOMAN IS THE NIGGER OF THE WORLD」が、またしても選曲から漏れています。「HOW DO YOU SLEEP?」と「STEEL AND GLASS」と云った似た様な動機で書かれた曲が両方共に入っていたり、ヨーコさん賛歌である「OH YOKO!」と「DEAR YOKO」もダブっていて、些かしつこく思えます。遺作となってしまったアルバム「DOUBLE FANTASY」からは、ジョンが書いて歌った7曲中6曲も選ばれていて、ジョンが危惧した「まとめてしまうとヨーコの曲が聴かれなくなる」を実践しています。ほぼ年代順に並べているのは良いのですが、ジョンの場合は「LOST LENNON TAPES」も含めた全曲集こそが望まれているので、もう似た様な選曲のベスト盤は出さなくとも宜しいのではないでしょうか。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする