

前に「PURE McCARTNEY」を紹介した時に「ジョージ・ハリスンやリンゴ・スターでは、そもそもCD4枚組のベスト盤なんて作れません。」などと書いてしまいましたが、実は、ブートレグには「ジョージ・ハリスンのCD4枚組のベスト盤」が存在するのです。しかしながら、ソレはですね、「ビートルズ時代」がCD2枚組で「ソロ時代」がCD2枚組と云う、変化球でのレア・トラック集なのでした。2018年に「dap」からリリースされた「GEORGE HARRISON I ME MINE BEATLE YEARS ANTHOLOGY」CD2枚組全48曲入りと「GEORGE HARRISON WHAT IS LIFE SOLO YEARS ANTHOLOGY」CD2枚組全44曲入りがソレなんですが、ソロ時代は兎も角、アルバムに2曲か3曲しか取り上げてもらえなかったので自作曲が22曲しかなかったビートルズ時代のジョージを、CD2枚組全48曲入りにするなんて出来るのか、と思うでしょう。
「I ME MINE BEATLE YEARS ANTHOLOGY」は、CD1が、1「INTRODUCTION / TAKE GOOD CARE OF MY BABY」(1962)、2「THREE COOL CATS」(1962)、3「CRYING WATING HOPING」(1962)、4「THE SHEIK OF ARABY」(1962)、5「SHEILA」(1962 Live)、6「DO YOU WANT TO KNOW A SECRET」(1963)、7「YOUNGBLOOD」(1963 Live)、8「I FORGOT TO REMEMBER TO FORGET」(1963 Live)、9「CHAINS」(1963 Live)、10「NOTHIN' SHAKIN'(BUT THE LEAVES ON THE TREES)」(1963 Live)、11「GLAD ALL OVER」(1963 Live)、12「DON'T BOTHER ME」(1963)、13「DEVIL IN HER HEART」(1964 Live)、14「ROLL OVER BEETHOVEN」(1963 Live)、15「TALKING GUITAR BLUES」(1964)、16「I'M HAPPY JUST TO DANCE WITH YOU」(1964 Live)、17「YOU KNOW WHAT TO DO」(1964)、18「EVERYBODY'S TRYING TO BE MY BABY」(1965 Live)、19「I NEED YOU」(1965)、20「YOU LIKE ME TOO MUCH」(1965)、21「THINK FOR YOURSELF」(1965)、22「SINGS FOR GERMANY」(1965)、23「IF I NEEDED SOMEONE」(1966 Live)、24「TAXMAN」(1966)、25「LOVE YOU TO」(1966)、26「I WANT TO TELL YOU」(1966)、27「WITHIN YOU, WITHOUT YOU」(1967)、28「BLUE JAY WAY」(1967)、29「THE INNER LIGHT」(1968)の、全29曲入りです。
CD2は、1「IT'S ALL TO MUCH」(1967)、2「SOUR MILK SEA」(1968)、3「CIRCLES」(1968)、4「PIGGIES」(1968)、5「WHILE MY GUITAR GENTLY WEEPS」(1968)、6「WHILE MY GUITAR GENTLY WEEPS」(1968)、7「LONG LONG LONG」(1968)、8「NOT GUILTY」(1968)、9「SAVOY TRUFFLE」(1968)、10「ONLY A NORTHERN SONG」(1967)、11「I ME MINE SESSIONS」(1970)、12「I ME MINE」(1970)、13「FOR YOU BLUE」(1970)、14「ALL THINGS MUST PASS」(1969)、15「OLD BROWN SHOE」(1969)、16「SOMETHING SESSIONS」(1969)、17「SOMETHING」(1969)、18「HERE COMES THE SUN」(1969)、19「I ME MINE」(1970)の、全19曲入りで、合計48曲入りです。ジョージのビートルズ時代の楽曲は完全収録されていて、しかも全てが別テイクなので、労作ですし、1枚目はデッカ・オーデイションやBBC音源も網羅してあって、正にビートル・ジョージの裏ベスト盤となっております。それでも時間的に余裕があったからか、「WHILE MY GUITAR GENTLY WEEPS」や「SOMETHING」や「I ME MINE」などはセッション音源まで収録されています。ここまでジョージのビートルズ時代のレア・トラックをまとめた編集盤は、他にはなかなかないでしょう。
そして、ソロ時代の「WHAT IS LIFE SOLO YEARS ANTHOLOGY」は、CD1が、1「ALL THINGS MUST PASS」(1969)、2「DEHRA DUN」(1970)、3「YOUR TRUE LOVE」(1970 with ボブ・ディラン)、4「IT DON'T COME EASY」(1971)、5「IF NOT FOR YOU」(1970)、6「MY SWEET LORD」(1970)、7「WHAT IS LIFE」(1970)、8「ALL THINGS MUST PASS」(1970)、9「ISN'T IT A PITY」(1970)、10「YOU」(1971)、11「BANGLA DESH」(1971)、12「DEEP BLUE」(1971)、13「IF NOT FOR YOU」(1971 Rehersal with ボブ・ディラン)、14「COME ON IN MY KITCHEN」(1971 Rehersal)、15「SUE ME SUE YOU BLUES」(1973)、16「GIVE ME LOVE(GIVE ME PEACE ON EARTH)」(1973)、17「MISS O'DELL」(1973)、18「DARK HORSE」(1974)、19「I DON'T CARE ANYMORE」(1974)、20「DING DONG, DING DONG」(1974)、21「HARI'S ON TOUR(EXPRESS)」(1974 Live)、22「FOR YOU BLUE」(1974 Live)、23「DISPUTE AND VIOLENCE」(1974 Live)の、全23曲入りです。
CD2が、1「THE PIRATE SONG」(1975)、2「HERE COMES THE SUN」(1976 with ポール・サイモン)、3「HOMEWARD BOUND」(1976 with ポール・サイモン)、4「MO」(1977)、5「LIFE IT SELF」(1981)、6「FLYING HOUR」(1980)、7「LAY HIS HEAD」(1980)、8「SAT SINGING」(1980)、9「SAVE THE WORLD」(1981)、10「THAT’S THE WAY IT GOES」(1982)、11「GOT MY MIND SET ON YOU」(1987)、12「WHEN WE WAS FAB」(1987)、13「POOR LITTLE GIRL」(1989)、14「RIDE RAJBUN」(1992)、15「IF YOU BELONGED TO ME」(1997)、16「ALL THINGS MUST PASS」(1997)、17「ANY ROAD」(1997)、18「PRABHUJEE」(1997)、19「HORSE TO THE WATER」(2001)、20「LET IT DOWN」(2001)、21「ALL THINGS MUST PASS」(2001)の、全21曲入り合計44曲入りです。
ソロ時代は、前回紹介した「AFTER THE BEATLES ANTHOLOGY」のジョージ編とダブリはあるものの、「MY SWEET LORD」の盗作問題を皮肉った「THE PIRATE SONG」(「MY SWEET LORD」のイントロからふざけた曲調に変わるブートレグでは昔から有名な曲)や、アルバム「SOMEWHERE IN ENGLAND」で弾かれた楽曲なども丁寧に拾っていて、なかなかの好編集盤となっております。但し、こうしたレア・トラック集のブートレグは、あくまでも公式盤を聴き込んでいないと、何がレアなのかが分かりません。それにしてもビートルズ時代が半分とは云え、ジョージのベスト編集盤がCD4枚組でリリース出来たのですから、以前の発言は撤回すべきなのでしょうか。いえね、実は同じ「dap」から、コレのポール・マッカートニー盤も2017年に「RARE McCARTNEY」と云うタイトルで、1970年から2016年までのレア・トラック集が、CD6枚組で出ているのです。ポールだと、ビートルズ時代は含まずに、CD6枚組で全121曲入りなのですよ。こりゃまた失礼いたしました。
(小島イコ)