2016年6月10日に、ポール・マッカートニーはベスト盤「PURE McCARTNEY」を、MPL/ヒア・ミュージック(英国)・MPL/キャピトル(米国)からリリースしました。2016年には、本隊であるビートルズのライヴ盤「THE BEATLES LIVE AT HOLLYWOOD BOWL」が、映画「EIGHT DAYS A WEEK」の公開に合わせるカタチでようやくCD化されたので、ポールとしてはソレを邪魔しない様にベスト盤を出したのでしょう。ポールにはこれまで、1978年リリースの「WINGS GREATEST」全12曲入りと、1987年リリースの「ALL THE BEST!」LP2枚組全20曲入り・CD1枚全17曲入りと、2001年リリースの「WINGSPAN:HITS AND HISTORY」CD2枚組全40曲入り(日本盤は全41曲入り)の3作があって、コレは4作目のベスト盤です。
「PURE McCARTNEY」はCD2枚組全39曲入りの通常盤と、ソレとは微妙に異なる楽曲からなる4LP全41曲入りと、CD4枚組の「デラックス・エディション」全67曲入りの3形態でリリースされていて、通常盤CD1が、1「MAYBE I'M AMAZED」(1970)、2「HEART OF THE COUNTRY」(1971)、3「JET」(1973)、4「WARM AND BEAUTIFUL」(1976)、5「LISTEN TO WHAT THE MAN SAID」(1975)、6「DEAR BOY」(1971)、7「SILLY LOVE SONGS」(1976)、8「THE SONG WE WERE SINGING」(1997)、9「UNCLE ALBERT / ADMIRAL HALSEY」(1971)、10「ANOTHER DAY」(1971)、11「SING THE CHANGES」(2008)、12「JENNY WREN」(2005)、13「SAVE US」(2013)、14「MRS VANDEBILT」(1973)、15「MULL OF KINTYRE」(1977)、16「LET ’EM IN」(1976)、17「LET ME ROLL IT」(1973)、18「NINETEEN HUNDRED AND EIGHTY FIVE」(1973)、19「EBONY AND IVORY」(1982)、の全19曲、77分21秒です。
通常盤CD2は、1「BAND ON THE RUN」(1973)、2「ARROW THROUGH ME」(1979)、3「MY LOVE」(1973)、4「LIVE AND LET DIE」(1973)、5「TOO MUCH RAIN」(2005)、6「GOODNIGHT TONIGHT」(1979)、7「SAY SAY SAY(2015 REMIX)」(1983, 2015)、8「MY VALENTINE」(2012)、9「THE WORLD TONIGHT」(1997)、10「PIPES OF PEACE」(1983)、11「DANCE TONIGHT」(2007)、12「HERE TODAY」(1982)、13「WANDERLUST」(1982)、14「GREAT DAY」(1997)、15「COMING UP」(1980)、16「NO MORE LONELY NIGHTS」(1984)、17「ONLY MAMA KNOWS」(2007)、18「WITH A LITTLE LUCK」(1978)、19「HOPE FOR THE FUTURE」(2015)、20「JUNK」(1970)、の全20曲、72分40秒で、合計39曲入り「150分1秒(2時間30分1秒)」です。音源は2010年リリースの「BAND ON THE RUN」以降の「アーカイヴ・コレクション」に収録曲はリマスター音源もしくはリミックス音源で、「SAY SAY SAY」が新たにリミックスされていて、「WITH A LITTLE LUCK」はDJエディットで、当時は最新曲だった配信シングル「HOPE FOR THE FUTURE」も収録されています。
コレが「デラックス・エディション」となると、CD1は、1「MAYBE I'M AMAZED」(1970)、2「HEART OF THE COUNTRY」(1971)、3「JET」(1973)、4「WARM AND BEAUTIFUL」(1976)、5「LISTEN TO WHAT THE MAN SAID」(1975)、6「DEAR BOY」(1971)、7「SILLY LOVE SONGS」(1976)、8「THE SONG WE WERE SINGING」(1997)、9「UNCLE ALBERT / ADMIRAL HALSEY」(1971)、10「EARLY DAYS」(2013)、11「BIG BARN BED」(1973)、12「ANOTHER DAY」(1971)、13「FLAMING PIE」(1997)、14「JENNY WREN」(2005)、15「TOO MANY PEOPLE」(1971)、16「LET ME ROLL IT」(1973)、17「NEW」(2013)、の全17曲、64分13秒です。
CD2は、1「LIVE AND LET DIE」(1973)、2「ENGLISH TEA」(2005)、3「MULL OF KYNTYRE」(1977)、4「SAVE US」(2013)、5「MY LOVE」(1973)、6「BIP BOP」(1971)、7「LET ’EM IN」(1976)、8「NINETEEN HUNDRED AND EIGHTY FIVE」(1973)、9「CALICO SKIES」(1997)、10「HI, HI, HI」(1972)、11「WATERFALLS」(1980)、12「BAND ON THE RUN」(1973)、13「APPRECIATE」(2013)、14「SING THE CHANGES」(2008)、15「ARROW THROUGH ME」(1979)、16「EVERY NIGHT」(1970)、17「JUNIOR'S FARM」(1974)、18「MRS VANDEBILT」(1973)、の全18曲、70分26秒です。
CD3は、1「SAY SAY SAY(2015 REMIX)」(1983, 2015)、2「MY VALENTINE」(2012)、3「PIPES OF PEACE」(1983)、4「THE WORLD TONIGHT」(1997)、5「SOUVENIR」(1997)、6「DANCE TONIGHT」(2007)、7「EBONY AND IVORY」(1982)、8「FINE LINE」(2005)、9「HERE TODAY」(1982)、10「PRESS」(1986)、11「WANDERLUST」(1982)、12「WINEDARK OPEN SEA」(1993)、13「BEAUTIFUL NIGHT」(1997)、14「GIRLFRIEND」(1978)、15「QUEENIE EYE」(2013)、16「WE ALL STAND TOGETHER」(1980, 1984)、の全16曲入り、62分41秒です。
CD4は、1「COMING UP」(1980)、2「TOO MUCH RAIN」(2005)、3「GOOD TIMES COMING / FEEL THE SUN」(1986)、4「GOODNIGHT TONIGHT」(1979)、5「BABY'S REQUEST」(1979)、6「WITH A LITTLE LUCK」(1978)、7「LITTLE WILLOW」(1997)、8「ONLY MAMA KNOWS」(2007)、9「DON'T LET IT BRING YOU DOWN」(1978)、10「THE BACK SEAT OF MY CAR」(1971)、11「NO MORE LONELY NIGHTS」(1984)、12「GREAT DAY」(1997)、13「VENUS AND MARS / ROCK SHOW」(1975)、14「TEMPORARY SECRETARY」(1980)、15「HOPE FOR THE FUTURE」(2015)、16「JUNK」(1970)、の全16曲入り、58分37秒で、合計67曲入りで「255分59秒!(4時間15分59秒!)」です。通常盤の収録39曲はこちらにも全て入ってはいますが、曲順は変更されています。故に、あたくしは2枚組も4枚組も両方持っています。全英3位・全米15位(ロック・チャート2位)で、日本でもオリコン4位でした。
ポール自身が選曲した67曲は、1970年リリースのアルバム「McCARTNEY」から3曲、1971年リリースのアルバム「RAM」から5曲、1971年リリースのアルバム「WILD LIFE」から1曲、1973年リリースのアルバム「RED ROSE SPEEDWAY」から2曲、1973年リリースのアルバム「BAND ON THE RUN」から5曲、1975年リリースのアルバム「VENUS AND MARS」から2曲、1976年リリースのアルバム「WINGS AT THE SPEED OF SOUND」から3曲、1978年リリースのアルバム「LONDON TOWN」から3曲、1979年リリースのアルバム「BACK TO THE EGG」から2曲、1980年リリースのアルバム「McCARTNEY U」から3曲、1982年リリースのアルバム「TUG OF WAR」から3曲、1983年リリースのアルバム「PIPES OF PEACE」から2曲、1984年リリースのアルバム「GIVE MY REGARDS TO BROAD STREET」から1曲、1986年リリースのアルバム「PRESS TO PLAY」から2曲、1989年リリースのアルバム「FLOWERS IN THE DIRT」から0曲、1993年リリースのアルバム「OFF THE GROUND」から1曲、1997年リリースのアルバム「FLAMING PIE」から8曲!、2001年リリースのアルバム「DRIVING RAIN」から0曲、2005年リリースのアルバム「CHAOS AND CREATION IN THE BACKYARD」から4曲、2007年リリースのアルバム「MEMORY ALMOST FULL」から2曲、2008年リリースの「THE FIREMAN」名義のアルバム「ELECTRIC ARGUMENTS」から1曲、2012年リリースのアルバム「KISSES ON THE BOTTOM」から1曲、2013年リリースのアルバム「NEW」から5曲、シングルのみのアルバム未収録曲が8曲です。
満遍なく選ばれているわけではなく、シングル曲にすら多くの漏れがありますし、ポールの思い入れが強いのか、1997年のリンダ・マッカートニーが参加した最後のアルバムである「FLAMING PIE」からは全14曲中半数以上の8曲が選ばれている一方で、名作だと云われている1989年の「FLOWERS IN THE DIRT」からは1曲も選ばれていません。同じく1曲も選ばれなかった「DRIVING RAIN」は、2度目の妻の記憶が残っていたから思い出したくもなかったのかもしれませんし、カヴァー・アルバムの「CHOBA B CCCP」と、ほとんどがカヴァーだった「RUN DEVIL RUN」からも選ばれていないのは、何となく分かります。しかしながら、エリック・スチュワートと組んで低迷していた事にされている1986年の「PRESS TO PLAY」からだって2曲(片方はメドレーなので実質3曲)も選ばれているのに、そこからエルヴィス・コステロと組んで大逆転したと云う事にされている1989年の「FLOWERS IN THE DIRT」は無視とは、と評論家にとって都合が悪い選曲でした。ポールは翌年である2017年に「FLOWERS IN THE DIRT」の「アーカイヴ・コレクション」をリリースするのですが、だから敢えて外したなどと云う評論家もいましたが、そんなわけないでしょう。でも、まあ、ポールはそう云う事を、よくやります。
何にしろ、CD4枚組で67曲でも「アレがない、コレは如何なものか」と云われてしまうのが、サー・ポール・マッカートニーです。ジョン・レノンは夭折したので、CD4枚組ならば、ほぼ全曲集になっていますし、ジョージ・ハリスンやリンゴ・スターでは、そもそもCD4枚組のベスト盤なんて作れません。そして、此のポールのベスト盤は、1970年から2015年までの楽曲から選曲されているのです。ポールは其の後も現役バリバリで新作もリリースしていますが、問題は1970年よりも前には何をしていたのか、なのです。今から恐ろしい事を云いますので、覚悟して下さい。ポール・マッカートニーは、1957年にジョン・レノンと出逢って、彼のバンドに加入して、そこにジョージ・ハリスンをポールの推薦で加入させて、其の後にメジャー・デビューする直前にドラマーのピート・ベストをクビにして、リンゴ・スターを加入させて、1962年にデビューして、1970年にポールの脱退宣言で解散したバンドに居たのです。ウソみたいな話ですが、本当なのです。其のバンドの名は、「THE BEATLES」と云います。
(小島イコ)