ジョージ・ハリスンの生前のアルバムは、2004年2月23日に「THE DARK HORSE YEARS 1976-1992」として、ダーク・ホース時代の1976年リリースのアルバム「THIRTY THREE & 1/3」と、1979年リリースのアルバム「GEORGE HARRISON(慈愛の輝き)」と、1981年リリースのアルバム「SOMEWHERE IN ENGLAND(想いは果てなく〜母なるイングランド)」と、1982年リリースのアルバム「GONE TROPPO」と、1987年リリースのアルバム「CLOUD NINE」と、1992年リリースのライヴ・アルバム「LIVE IN JAPAN」(2枚組)の6作7枚のリマスター盤に、「THE DARK HORSE YEARS 1976-1992」と云う名のDVDを加えた、全7作8枚組で箱入りでリイシューされていました。そちらに関しては、リンクした過去記事を参照して下さい。
2012年5月1日には、マーティン・スコセッシ監督のドキュメンタリー映画「LIVING IN THE MATERIAL WORLD」に関連して、主にアップル時代の未発表デモ音源による「EARLY TAKES : VOLUME 1」がリリースされています。内容は、1「MY SWEET LORD(DEMO)」、2「RUN OF THE MILL(DEMO)」、3「I'D HAVE YOU ANYTIME(EARLY TAKE)」、4「MAMA YOU'VE BEEN ON MY MIND(DEMO)」、5「LET IT BE ME(DEMO)」、6「WOMAN DON'T YOU CRY FOR ME(EARLY TAKE)」、7「AWAITING ON YOU ALL(EARLY TAKE)」、8「BEHIND THAT LOCKED DOOR(DEMO)」、9「ALL THINGS MUST PASS(DEMO)」、10「THE LIGHT THAT HAS LIGHTED THE WORLD(DEMO)」の、全10曲入りです。が、しかし、アップル時代のアルバムは一部を除いてなかなかリマスターされていなかったのです。そして、前回の箱から10年後の2014年9月22日に、遂に「THE APPLE YEARS 1968-75」が、アップルからリリースされたのです。何故10年もかかったのかは、不明です。
内容は、1968年リリースのサントラ盤「WONDERWALL MUSIC(不思議の壁)」、1969年リリースのガラクタ音源「ELECTRONIC SOUND(電子音楽の世界)」、1970年リリースのアナログ3枚組の大傑作アルバム「ALL THINGS MUST PASS(ジョージ・ハリスン)」、1973年リリースのアルバム「LIVING IN THE MATERIAL WORLD」、1974年リリースのアルバム「DARK HORSE」、1975年リリースのアルバム「EXTRA TEXTURE(READ ALL ABOUT IT)(ジョージ・ハリスン帝国)」の6作7枚に、「THE APPLE YEARS 1968-75」と云う名のDVDを加えた、全7作8枚組の箱です。10年も待たされたものの、二つの箱のデザインは同じで、フロントが開けられるので、重ねて置く事が出来ます。驚いたのは、サントラ盤の「不思議の壁」と、「初期型モーグ・シンセサイザーで音を出してみました」だけのガラクタ音源「電子音楽の世界」の2作までリマスターされて収録されていた事です。まだ鑑賞に堪えるサントラ盤の「不思議の壁」は兎も角、酷い出来栄えだと内容が知れ渡っていた「電子音楽の世界」なんて一生買わないし聴かないだろうと思っていたのに、箱に入っているから買っちゃったし、買ったので通して聴いたのですけれど、もう2度と聴かないと思います。
但し、此のガラクタ音源があったので、ジョージがビートルズにモーグ・シンセサイザーを導入して、アルバム「ABBEY ROAD」ではジョージだけではなくジョンもポールも使っているので、歴史的な価値はあるアルバムです。しかし、短期間で「電子音楽の世界」が「ABBEY ROAD」に化けるんですから、やはりビートルズは凄いとしか云えません。流石に「電子音楽の世界」にはボーナス・トラックは収録されていませんが、サントラ盤の「不思議の壁」には「IN THE FIRST PLACE」と「ALMOST SHANKARA」とビートルズ名義で発表した「THE INNER LIGHT」のインストゥルメンタルの3曲がボーナス・トラックで収録されています。アルバム「ALL THINGS MUST PASS」は、アナログ3枚組を2CDにしていて、2001年にジョージが編集した記念盤で5曲(「I LIVE FOR YOU」、「BEWARE OF DARKNESS(DEMO)」、「LET IT DOWN」別テイク、「WHAT IS LIFE」バッキング・トラック、「MY SWEET LORD(2000)」)を追加した内容になっています。アルバム「LIVING IN THE MATERIAL WORLD」には、シングルのみだった3曲(「DEEP BLUE」、「MISS O'DELL」、「BANGLA DESH」)の3曲がボーナス・トラックとして収録されています。
アルバム「DARK HORSE」にはシングルのみだった「I DON'T CARE ANYMORE」と「DARK HORSE」の初期テイクが、アルバム「EXTRA TEXTURE(READ ALL ABOUT IT)」には「THIS GUITAR(CAN'T KEEP FROM CRYING)(ギターは泣いている)」の別ヴァージョンが、それぞれボーナス・トラックとして収録されています。DVDは、まずは「THE APPLE YEARS」から始まり、「ALL THINGS MUST PASS」と「THE CONCERT FOR BANGLA DESH」のEPK、「LIVE IN JAPAN」から「GIVE ME LOVE(GIVE ME PEACE ON EARTH)」のライヴ映像、「MISS O'DELL」と「SUE ME, SUE YOU BLUES」と「DING DONG, DING DONG」のプロモーション・フィルム、アルバム「LIVING IN THE MATERIAL WORLD」のメイキング映像、アルバム「DARK HORSE」のTVプロモ映像が収録されていますが、「LIVE IN JAPAN」からはまたしても「GIVE ME LOVE」だけで、「THE DARK HORSE YEARS 1976-1992」のDVDにも4曲のみで、合わせて5曲だけなので、出し惜しみされていて、やっぱり困ったちゃんなのです。「THE DARK HORSE YEARS 1976-1992」はプラケースでしたが、こちらは固めの紙製のデジパック仕様です。二つの箱を買って、遺作の「BRAINWASHED」とライヴ盤の「THE CONCERT FOR BANGLADESH」と覆面バンドの「TRAVELING WILBURYS COLLECTION」を加えれば、ビートルズ以外のジョージの公式音源はほぼ揃います。
(小島イコ)