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2024年03月25日

「ナイアガラ考」#107「EACH TIME VOX」「EACH TIME 40th Anniversary Edition」(下)



さて、箱の「EACH TIME VOX」は、CD1が「EACH TIME 40th Anniversary Edition」全13曲で、全てがこれまでとは異なる「40th Anniversary Version」と云う名の、どうにもこうにも煮え切らないリミックス音源集となっていて、ソレは通常盤でも同内容なので、今後はソレがアルバム「EACH TIME」の基本とされるのかが不安です。大瀧師匠は音源の管理にも厳しい人だったので、なんちゃってリミックスを作ろうと思えば、素材は山程残されているわけですが、本当に「EACH TIME VOX」まで到達したのですから、もうこんな事は止めて欲しいです。ココまで来ると、次はビートルズみたいに新曲とか云い出しそうですし、実際に「HAPPY ENDING」や「夢で逢えたら」などではそうした「疑似・大滝詠一音源」が作られていて、聴く度にとても悲しい気持ちにさせられているのです。CD2は「井上大輔ラジオトーク」で、コレは面白かったけれど、また「ラジオ番組を商品化するとは何事だ」と云われそうです。後は「EACH TIME Special Edit」と「恋のナックルボール(1st Recording Version)」と「Cider ’83」が収録されていますが、まあ、オマケですね。

CD3は「EACH TIME Sessions」で、アルバム「EACH TIME」のレコーディング・セッションを16曲収録しています。コレに関しては、完全なるマニア向けの音源で、一発録音の演奏に大滝詠一さんが鼻歌スキャットで歌メロを乗せている制作途中段階の音源集です。コレを聴くと、松本隆さんの詞が乗る前の段階なので、アルバム「EACH TIME」の暗く重い世界とは全く違って聴こえます。個人的には、大瀧師匠と松本隆さんのコラボレーションは、前作アルバムである「NIAGARA TRIANGLE Vol.2」での大滝サイドが到達点だったと思っているので、アルバム「EACH TIME」は一寸重すぎるんですよ。但し、此のセッション音源だけだと、大瀧師匠が云っていた「バケツ(「A LONG VACATION」2)」の音作りであった事が分かりますし、アルバム「EACH TIME」への違和感は「松本隆さんの重苦しく物語性が強い詞」と、珍しくソレに寄り添った「大滝詠一さんらしからぬ日本語に忠実な歌唱法」からくるものだと、改めて思いました。

確かに、スタジオでの大瀧師匠の肉声が聴けるのは嬉しいですし、「SHUFFLE OFF」と「オーロラに消えた恋」と「雪のツンドラ」に歌メロを付けようとしているのが、レアです。でもですね、此の3枚のCDは、繰り返し聴く様な代物ではございません。特にCD2とCD3は、一回聴いたらおしまいでいいでしょう。セッション音源は「ロンバケ」や「トライアングル2」の箱にも入っていましたが、もうね、完全に制作方法がブートレグなんですよ。色々と変えたらナイアガラーやファンは喜んで買うだろう、とバカにしている感じがして、全く喜べません。CD1に関しても、未完成のアルバム「EACH TIME」を、更に面倒な事にしてしまったとしか云えません。後は、アナログ盤がVOXと単品で別内容なのも、商魂逞しい近年のナイアガラとソニーらしいのです。ソニーは5月に出る櫻坂46の円盤も3枚組にして1万8千円に値上げしているし、ズバリ云って、あたくしは邦楽の新譜はナイアガラ関連と櫻坂46しか買わないので、どっちもソニーなので困ったちゃんなのですよ。

VOXの目玉は、やはりBDです。まずは映像で「EACH TIME THE MOVIE」(ちびまる子ちゃんも登場)と「ペパーミント・ブルー」が、新たに制作されて収録されていて、「ペパーミント・ブルー」と「フィヨルドの少女」と「EACH TIME TV-CM」は当時のものが収録されています。当時のフィルムはタイム表示がずっと出ていて観難いものの、ソレしか残っていないのでしょう。そして「5.1chサラウンド音源」で全12曲(「SHUFFLE OFF」以外)と、「EACH TIME 1984 Original Mix」がハイレゾリマスタリング音源で全9曲、「EACH TIME SINGLE VOX」がハイレゾリマスタリング音源で全9曲、「EACH TIME Singles + Rarities」がハイレゾリマスタリング音源で全9曲、「EACH TIME Karaoke」がハイレゾリマスタリング音源で全14曲、合計53曲が収録されています。

つまりは、1984年から何度もリイシューされる度に変更されてきたアルバム「EACH TIME」のほとんどのミックス違い音源が、今回のBDに収録されている事になりました。241分(4時間1分)も収録されていて、やはり、BDだけバラ売りしろと云われそうなある意味「無駄に豪華でマニアック」な内容です。箱としては2021年リリースの「ロンバケ」は、まあまあ良かったけれど、2022年リリースの「トライアングル2」は本編が箱のCDには入っていないダメダメVOXで、今回の「EACH TIME」も、またしても本編抜きのCDだけなら及第点以下で、BDで何とか好評価出来る様な代物です。紙モノのオマケも沢山付いていますが、一回眺めたらハイそれまでヨなので、CDとBDだけ抜き取って、デカイ箱は押し入れに収めておしまいです。アナログ盤もCD1と同内容なので、わざわざ出して聴かないでしょう。個人的には、CDは選書盤と20周年記念盤と30周年記念盤も持っているので、今回の怪しげな40周年記念盤CDは余り聴かないで、専らBDでゆったりと聴く事になりそうです。

(小島イコ)

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2024年03月26日

「ポールの道」#321「GIMME SOME TRUTH.」JOHN LENNON’S BEST ALBUM #10



再び「ポールの道」に「GET BACK」しますが、ブートレグの話ばかりになったので、此の辺で公式盤に戻りましょう。2020年は世界的なコロナ禍で、予定されていた箱物のリリースが先送りされて、翌2021年にそれらが一斉にリリースされて泣き笑いした記憶があります。そんな中でも、ポール・マッカートニーは自宅スタジオで全ての歌と演奏をひとりで多重録音した「McCARTNEY V」を2020年12月18日にリリースしたのですが、2020年10月9日(ジョン・レノンのお誕生日)に、生誕80周年記念盤としてジョンのベスト盤「GIMME SOME TRUTH.」がキャピトル/ユニバーサルからリリースされました。全19曲入りの「CD1枚」と、全36曲入りの「CD2枚組」と、全36曲入りの「CD2枚組にBDと豪華本」と、全19曲入りの「2LP」と、全36曲入りの「LP4枚組」の、5形態でのリリースでした。タイトルが2010年リリースの小箱「GIMME SOME TRUTH」と同じですが、こっちはドットが入って「GIMME SOME TRUTH.」です。

ジョンには、生前にジョン自身が編集した1975年リリースの「SHAVED FISH」全11曲入りと、死後の1982年リリース(CD化は1989年)の「THE JOHN LENNON COLLECTION」全19曲入りと、サントラ盤でビートルズも含めた準ベスト盤と云える1988年リリースの「IMAGINE」全21曲入りと、1990年リリースのCD4枚組の箱「LENNON」全73曲入りと、1997年リリースの「LENNON LEGEND」全20曲入りと、2005年リリースの2枚組「WORKING CLASS HERO - THE DEFINITIVE LENNON(決定盤ジョン・レノン 〜ワーキング・クラス・ヒーロー)」全38曲入りと、2010年リリースの大箱「JOHN LENNON SIGNATURE BOX(ジョン・レノンBOX)」スタジオ・アルバム11枚組全曲集と、同年リリースの小箱「GIMME SOME TRUTH」CD4枚組全72曲入りと、同年リリースのCDとDVDの「POWER TO THE PEOPLE THE HITS」全15曲(CDとDVDは同じ曲)と9セットもありました。特に2010年の大箱と小箱とCD+DVDは「ジョンのミックスに戻す」リマスター盤で、アナログ時代からのファンにも好評でした。ソレは、此の「GIMME SOME TRUTH.」まで10年間も新たなベスト盤がリリースされなかった(2014年に「ICON」シリーズで安っぽいベスト盤は出ている)事でも証明されていて、正直に云ってジョンのベスト盤は素材自体が限られているので、些か食傷気味でした。

そこで、此の「GIMME SOME TRUTH.」は、ヨーコさんとショーンが選曲をして、ショーンがプロデュースして、ポール・ヒックスがリミックスした新装盤です。1枚もののCDは、1「INSTANT KARMA!(WE ALL SHINE ON)」(1970)、2「COLD TURKEY」(1969)、3「ISOLATION」(1970)、4「POWER TO THE PEOPLE」(1971)、5「IMAGINE」(1971)、6「JEALOUS GUY」(1971)、7「GIMME SOME TRUTH」(1971)、8「COME TOGETHER」(1972 Live)、9「#9 DREAM」(1974)、10「MIND GAMES」(1973)、11「WHATEVER GET YOU THRU THE NIGHT」(1974)、12「STAND BY ME」(1975)、13「(JUST LIKE)STARTING OVER」(1980)、14「BEAUTIFUL BOY(DARLING BOY)」(1980)、15「WATCHING THE WHEELS」(1980)、16「WOMAN」(1980)、17「GROW OLD WITH ME」(1980, 1984, 1998)、18「HAPPY XMAS(WAR IS OVER)」(1971)、19「GIVE PEACE A CHANCE」(1969)の、全19曲入り72分3秒です。余りにも当たり前過ぎる選曲ですが、何度も何度も擦ったベスト盤なのですから仕方がありません。

コレが2CDになると、CD1が、1「INSTANT KARMA!(WE ALL SHINE ON)」(1970)、2「COLD TURKEY」(1969)、3「WORKING CLASS HERO」(1970)、4「ISOLATION」(1970)、5「LOVE」(1970)、6「GOD」(1970)、7「POWER TO THE PEOPLE」(1971)、8「IMAGINE」(1971)、9「JEALOUS GUY」(1971)、10「GIMME SOME TRUTH」(1971)、11「OH MY LOVE」(1971)、12「HOW DO YOU SLEEP?」(1971)、13「OH YOKO!」(1971)、14「ANGELA」(1972)、15「COME TOGETHER」(1972 Live)、16「MIND GAMES」(1973)、17「OUT THE BLUE」(1973)、18「I KNOW(I KNOW)」(1973)の、全18曲入りで68分42秒です。

CD2が、1「WHATEVER GET YOU THRU THE NIGHT」(1974)、2「BLESS YOU」(1974)、3「#9 DREAM」(1974)、4「STEEL AND GLASS」(1974)、5「STAND BY ME」(1975)、6「ANGEL BABY」(1973, 1986)、7「(JUST LIKE)STARTING OVER」(1980)、8「I'M LOSING YOU」(1980)、9「BEAUTIFUL BOY(DARLING BOY)」(1980)、10「WATCHING THE WHEELS」(1980)、11「WOMAN」(1980)、12「DEAR YOKO」(1980)、13「EVERY MAN HAS A WOMAN WHO LOVES HIM」(1980, 1984)、14「NOBODY TOLD ME」(1980, 1984)、15「I'M STEPPING OUT」(1980, 1984)、16「GROW OLD WITH ME」(1980, 1984, 1998)、17「HAPPY XMAS(WAR IS OVER)」(1971)、18「GIVE PEACE A CHANCE」(1969)の、全18曲入り69分2秒で、合計36曲入り137分49秒です。

こちらは全36曲入りなので、定番曲ばかりではなくなっていて、特に「COME TOGETHER」のライヴ音源は従来の昼の部からではなく、夜の部での演奏となっていて、ジョンが「COME TOGETHER RIGHT NOW」の後に「STOP THE WAR!」と叫ぶ音源です。しかしながら、選曲に関しては疑問もあります。一見してシングル曲や各アルバムから均等に選んでいる様に見えて、何故かシングル曲でもあった「MOTHER」と「WOMAN IS THE NIGGER OF THE WORLD」が、またしても選曲から漏れています。「HOW DO YOU SLEEP?」と「STEEL AND GLASS」と云った似た様な動機で書かれた曲が両方共に入っていたり、ヨーコさん賛歌である「OH YOKO!」と「DEAR YOKO」もダブっていて、些かしつこく思えます。遺作となってしまったアルバム「DOUBLE FANTASY」からは、ジョンが書いて歌った7曲中6曲も選ばれていて、ジョンが危惧した「まとめてしまうとヨーコの曲が聴かれなくなる」を実践しています。ほぼ年代順に並べているのは良いのですが、ジョンの場合は「LOST LENNON TAPES」も含めた全曲集こそが望まれているので、もう似た様な選曲のベスト盤は出さなくとも宜しいのではないでしょうか。

(小島イコ)

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2024年03月27日

「ポールの道」#322「McCARTNEY V」



2020年12月18日に、ポール・マッカートニーはソロとしては18作目で、ポール&リンダやウイングスを含めて26作目のアルバム「McCARTNEY V」を、キャピトルからリリースしました。コレは、1970年リリースのアルバム「McCARTNEY」と1980年リリースのアルバム「McCARTNEY U」につづく、ポールの宅録ひとり多重録音からなる3作目のアルバムです。プロデュースもポール自身で、ポールが作詞作曲して、全ての楽器を演奏(「SLIDIN'」にのみツアー・バンドのラスティ・アンダーソンがギター、エイブ・ラボリエル・ジュニアがドラムで参加)して歌った、完全なるソロ・アルバムです。世界的なコロナ禍で、英国でもロックダウン中であった2020年に、それならばひとりで全部やっちゃいましょう、と本当にひとりで作ってしまった、実にポールらしいアルバムです。

内容は、1「LONG TAILED WINTER BIRD」、2「FIND MY WAY」、3「PRETTY BOYS」、4「WOMAN AND WIVES」、5「LAVATORY LIL」、6「DEEP DEEP FEELING」、7「SLIDIN'」、8「THE KISS OF VENUS」、9「SEIZE THE DAY」、10「DEEP DOWN」、11「WINTER BIRD / WHEN WINTER COMES」の、全11曲入り44分42秒で、日本盤のボーナス・トラックとして、12「WOMAN AND WIVES(Studio Outtake)」、13「LAVATORY LIL(Studio Outtake)」、14「THE KISS OF VENUS(Phone Demo)」、15「SLIDIN'(Düsseldorf jam)」の、全15曲入り57分13秒となっております。全11曲入りのアナログLPでは「DEEP DEEP FEELING」と「SLIDIN'」の曲順が逆になっているのですが、其のアナログLPは、実に19種類と云う、櫻坂46や乃木坂46ですら「そこまでやんないでしょ」と思えるバージョン違い盤を乱発しています。

CDでは、ジャケットのサイコロが「白」と「緑」と「赤」と「青」と「黄」の色違いヴァージョンがリリースされていて、兎に角、コレクター泣かせの仕様となっております。あたくしはコレクターではないので、赤いサイコロのCDしか買っていません。デザインしたのはエド・ルシェで、ポールが気に入っていて「McCARTNEY V IMAGINED」や「McCARTNEY 1, 2, 3」やビートルズの「NOW AND THEN」のジャケットも手掛けるのですけれど、あたしゃ、エド・ルシェのデザインの何が良いのかサッパリ分かりません。楽曲はほとんど全てが2020年に自宅スタジオで宅録での多重録音ですが、本編最後の「WINTER BIRD / WHEN WINTER COMES」だけがサー・ジョージ・マーティンと一緒に1992年にレコーディングした作品です。つまりは、最後の曲だけが30年近く前の録音となっていて、ポールの声が全然違っています。ロックダウン中に遊び半分に気ままにレコーディングした音源集ですが、全米2位・全英首位!・日本5位と大ヒットしています。

(小島イコ)

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2024年03月28日

「大奥〜華の乱〜」第一話、第二話(再)で内山理名ちゃん



フジテレビTWO 3:40〜5:30

第一話「修羅場」
第二話「伏魔殿」

内山理名(主演) AS 安子

「大奥〜華の乱〜」第一話と第二話の、今年4回目の再放送です。本日に最終回を迎える新作「大奥」のテコ入れとしての意味もあったのでしょうが、まだ3月なのに今年だけで4回目とは、かなりのハイペースですし、ソノ内の2回は地上波でした。BSやCSはノーカット版で何度も再放送されていますので、今年は敢えてカットがある地上波版再放送を全話録画しました。

本放送:2005年10月13日、10月20日(フジテレビ)

(姫川未亜/小島イコ)

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「ポールの道」#323「McCARTNEY V IMAGINED」「McCARTNEY 1, 2, 3 BOX」



ポール・マッカートニーが2020年12月18日にリリースした宅録ソロ・アルバム「McCARTNEY V」は、翌2021年4月16日に配信で、同年7月23日にはCDとアナログLP(10種類ある!)で、全曲をカヴァーしたアルバム「McCARTNEY V IMAGINED」がキャピトルからリリースされました。内容は、1「FIND MY WAY」フィーチャリング・ベック、2「THE KISS OF VENUS」ドミニク・ファイク、3「PRETTY BOYS」フィーチャリング・クルアンビン、4「WOMAN AND WIVES」セイント・ヴィンセント・リミックス、5「DEEP DOWN」ブラッド・オレンジ・リミックス、6「SEIZE THE DAY」フィーチャリング・フィービー・ブリジャーズ、7「SLIDIN'」EOB・リミックス、8「LONG TAILED WINTER BIRD」デーモン・アルバーン・リミックス、9「LAVATORY LIL」ジョシュ・オム、10「WHEN WINTER COMES」アンダーソン・パーク・リミックス、11「DEEP DEEP FEELING」3D RDN リミックス、の全11曲入りで、CDとLPにはボーナス・トラックで、12「LONG TAILED WINTER BIRD」イドリス・エルバ・リミックスを加えた全12曲入りの、50分7秒です。

此のカヴァー・アルバムの人選と監修はポール本人が行っていて、それぞれのミュージシャンがお気に入りの「McCARTNEY V」収録曲を自分のスタイルでカヴァーもしくはリミックスしています。それにしては見事にバッティングしていませんが、まあ、ポールが上手いこと振り分けたのでしょう。故に、ポールのツアー・バンドがほとんどを演奏してカラオケ大会になってしまった2014年リリースのカヴァー・アルバム「THE ART OF McCARTNEY」よりは、ずっと面白い作品にはなっています。原曲がポールによる多重録音だったので、云ってしまえば、それ程には作り込まれてはいないので、それぞれのミュージシャンがリアレンジし易かったのでしょう。オリジナル盤と此のカヴァー集のリリースの間隔が3か月足らず(ドミニク・ファイクの「THE KISS OF VENUS」やベックの「FIND MY WAY」が2021年3月にはMVが先行公開された)だったので、ポールはオリジナルを完成してリリースした直後か、もしくはオリジナルの制作中に、此のカヴァー・アルバムを構想していたと思われます。オリジナルが全米2位・全英首位!で、此のカヴァー・アルバムも全米19位・全英13位とヒットしました。

さて、ポールの「McCARTNEY V」はオリジナル・アルバムとカヴァー・アルバムだけでは終わらず、2022年8月5日には「McCARTNEY 1, 2, 3 BOX」と云う箱がアナログLP3枚組とCD3枚組でリリースされています。コレはですね、1970年リリースのアルバム「McCARTNEY」と、1980年リリースのアルバム「McCARTNEY U」と、2020年リリースのアルバム「McCARTNEY V」の3枚組です。アナログ盤のアルバム「McCARTNEY」は透明盤で、アルバム「McCARTNEY U」は白盤で、アルバム「McCARTNEY V」はクリーミー・ホワイト盤となっていて、ソレがエド・ルシェによる「何が良いのか分からない」デザインの黒い箱に入っています。そして、更に2023年12月15日になって、新たなるアルバム「McCARTNEY V」のアナログ盤3種類がリリースされたのですが、ソレがですね、ジャケットが同じでカラー・レコードが3種類あって、買って開封しないと中味が分からないのです。おいおい、乃木坂46や櫻坂46のランダム生写真入りシングルよりも阿漕な商売ではありませんか。そう云えば、大昔の那奈ちゃんのCCCDもピクチャー・レーベル3種封入りとかやっていたなあ。

(小島イコ)


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2024年03月29日

「大奥〜華の乱〜」第三話、第四話(再)で内山理名ちゃん



フジテレビTWO 3:40〜5:30

第三話「仇の子」
第四話「疫病神」

内山理名(主演) AS 安子

「大奥〜華の乱〜」第三話と第四話の、今年4回目の再放送です。理名ちゃんが演じた安子は、上様に見初められて、夫がいるのに離縁させられ、無理矢理に側室にされます。あろうことか上様は、元々が自分の乳母だったので幼少時代から好意を抱いていた安子の母親まで手籠めにして、母親は自害して、安子は上様を殺そうとするも妊娠して、我が子の為に生きようと決めるものの、子どもは毒殺されて、と、負の連鎖となっております。上様が安子に「安子の母親も可愛がってやったのに、何故死んでしまったのかなあ」と真顔で云うサイコパスぶりは、ある意味「見せ場」です。

本放送:2005年10月27日、11月3日(フジテレビ)

(姫川未亜/小島イコ)

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「匿名探偵」第1話〜第4話(再)

匿名探偵 DVD BOX(5枚組)


テレ朝チャンネル2 17:30〜21:00

第1話「探偵と汚れなき女」
第2話「探偵と傷だらけの女」
第3話「探偵と世間知らずの女」
第4話「探偵と敵が多い女」

片瀬那奈 AS 冴島響子

「匿名探偵」第1話から第4話までの、今年3回目の再放送です。第1話と第6話と第9話(最終話)は、1月に地上波での再放送もあったので、昨年末だった第1話は3回目ですが、第6話と最終話だけが今年4回目となります。那奈ちゃんが演じた「美人すぎる弁護士」の冴島響子さんは、毎回冒頭の探偵への依頼と最後のオチでバーの場面に出てくるパターンですが、第4話では何者かに命を狙われて自ら依頼人となるので、全編に渡って出番があります。


(小島イコ/姫川未亜)

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「ポールの道」#324「THE 7‘’ SINGLES BOX」#00

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2020年にリリースしたアルバム「McCARTNEY V」をアナログ盤19種類、2021年にリリースしたアルバム「McCARTNEY V IMAGINED」をアナログ盤10種類と、兎角コレクターを泣かせるのが大好きなサー・ポール・マッカートニーは、2022年12月2日には「PAUL McCARTNEY THE 7‘’ SINGLES BOX」と云う7インチ・シングル80枚組全163曲入りの木箱をリリースしました。コレはですね、ポールが1971年にリリースした初シングル盤「ANOTHER DAY / OH WOMAN, OH WHY」から2019年にリリースしたシングル盤「HOME TONIGHT / IN A HURRY」までの公式及びプロモ7インチ・シングル盤全65枚に、CDや配信のみだったシングルなどを新たに7インチ・シングル化した15枚を加えた全80枚163曲を収めた箱で、それだけでもコレクターにとっては見逃せない限定3千セットなのですが、ソノ上、各箱にはランダムに80枚の何れか1枚のテスト盤がオマケに付いているのです。

新たな15枚が加わったので、ポールの7インチ・シングルを全て集める為には此の箱を買わなくては揃わないし、テスト盤に関しては開けてみないと分からないので、コンプリートするには、最低でも80セットを購入しなければならないので、3千セット限定盤ですし、ほぼ不可能でしょう。あたくしは物としてレコードを収集する所謂ひとつのコレクターではありませんが、こう云うポールの「坂道シリーズも舌を巻くアイドル商法」を見る度に「嗚呼、コレクターではなくて良かった」と思えるのです。それでも、音源としてはとても興味があるので困ったちゃんなのです。そこで、此の箱をそのまんまブートレグCD9枚組にした、例のメイカーから出ている「PAUL McCARTNEY THE 7‘’ SINGLES」は買いました。聴く為だったならば、1曲ごとにひっくり返して80枚なんて労力を使わずに済んで便利です。それにしたって、CDでも9枚もあるので、全部聴くのは大変でございます。

ソレでですね、今後は基本的には1枚2曲ずつ取り上げて、全163曲を紹介してゆきます。80枚組なのに全160曲ではなく、全163曲である謎は、其のシングルになった時に明かされるでしょう。最初は1971年リリースの「ANOTHER DAY / OH WOMAN, OH WHY」からとなるわけですが、実は此のシングルに関しては重要なので「#108」で既に個別に取り上げております。他のシングル曲に関しても、それぞれの時期にリリースされたアルバムの時に言及している楽曲もあります。其の辺の重複はありますが、折角「超絶可愛いポールちゃん」がこうしてまとめてリリースしてくれたので、じっくりと各シングルを取り上げてゆく予定です。つまりは、次回から80回は「THE 7‘’ SINGLES BOX」について書いてゆくので、何卒宜しくお願い致します。何故、こんなトンデモ盤をリリースしたのかと云うと、ズバリ云って2022年にポールが80歳になったから80枚組としただけでしょう。他には特に深い意味などない、いつも通りのポールなのです。

(小島イコ)

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2024年03月30日

「大奥〜華の乱〜」第五話、第六話(再)で内山理名ちゃん



フジテレビTWO 3:40〜5:30

第五話「逆襲」
第六話「殺意」

内山理名(主演) AS 安子

「大奥〜華の乱〜」第五話と第六話の、今年4回目の再放送です。些か評判が良くなかった新作「大奥」は終わっても、こちらの再放送は続いております。理名ちゃんが演じた安子は、実在しているものの大奥に入った史料がない人物なので、脚本家が自由にフィクションとして描けたのでしょう。

本放送:2005年11月10日、11月17日(フジテレビ)

(姫川未亜/小島イコ)

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「ポールの道」#325「THE 7‘’ SINGLES BOX」#01「ANOTHER DAY / OH WOMAN, OH WHY」

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ポール・マッカートニーが2022年12月2日にリリースした7インチ・シングル盤80枚組全163曲入り(ブートレグのジャケットには「159曲」と書いてありますが、重複曲が4曲あるのではぶいた、159曲の公式配信音源を元にしているのでしょう)は、やはり此の「ANOTHER DAY」から始まります。此の楽曲は、1970年10月12日にアルバム「RAM」のセッションでレコーディングされていて、レコーディング・メンバーは、ポール・マッカートニー(ヴォーカル、バッキング・ヴォーカル、アコースティック・ギター、ベースギター、エレキ・ギター、パーカッション、シェーカー、タンバリン)、リンダ・マッカートニー(バッキング・ヴォーカル)、デビッド・スピノザ(エレキ・ギター、アコースティック・ギター)、デニー・シーウェル(ドラムス、パーカッション、シェーカー)です。ポールは此の4人でバンド結成を考えますが、デビッド・スピノザに断られ、後釜のセッション・ギタリストだったヒュー・マクラッケンにも断られ、結局はポール&リンダとドラマーのデニー・シーウェルだけが最初のウイングスのメンバーになります。

シングル盤「ANOTHER DAY / OH WOMAN, OH WHY」は、1971年2月19日(英国)・2月22日(米国)にアップルからリリースされていて、アルバム「RAM」のセッション音源なのに、アルバムはポール&リンダ・マッカートニー名義だったのに、シングルはポール・マッカートニー単独名義でのリリースでした。しかしながら「ANOTHER DAY」の作詞作曲は、ポール&リンダ・マッカートニー(Mr. & Mrs. McCartney)となっています。「ANOTHER DAY」は1969年1月のビートルズによる「THE GET BACK SESSIONS」でポールがピアノの弾き語りで披露した音源が残されているので、楽曲自体は既に其の時には出来上がっていて、既にポールはリンダと交際中だったものの、カメラマンで音楽家としては素人だったリンダが1969年1月にポールと此の曲を共作していたとは、俄かに信じられません。結果的には、全英2位・全米5位とヒットしていますが、ジョン・レノンに「HOW DO YOU SLEEP?」で歌い込まれてバカにされてしまいます。ジョンからしたら「どこの誰かも分からない女の歌なんて、俺には作れない」と云う嫉妬心もあるのでしょう。

何の変化もない日常生活を送るOLを歌った詞は、ビートルズ時代からのポールの得意技のひとつで、楽曲が既にビートルズ時代に出来ていたのにも関わらず、1970年リリースの初ソロで宅録アルバム「McCARTNEY」では取り上げず、1971年リリースのアルバム「RAM」にも未収録で先行シングルとしてリリースしたのは、ポールとしても自信作だったのでしょう。確かに、曲は抜群に良く出来ていて、「レコード・コレクターズ」誌2020年9月号でのポールのビートルズ解散後のベスト・ソングスでは堂々の首位でした。但し、前にも書きましたが、此の曲が首位だったのは、選者に「他の奴が選ばないであろう少し意外な曲を首位にしてやろう」と云う捻くれた考え方をする連中が多かったからでしょう。アルバム「RAM」のセッションは、1970年10月12日から翌1971年3月1日まで行われていて、つまり、此の「ANOTHER DAY」はセッション初日にレコーディングされているのです。「THE 7'' SINGLES BOX」にはそれぞれ各国盤の仕様で収録されていて、此の最初のシングル盤はスウェーデン盤のピクチャー・スリーヴです。

アルバム未収録曲だった「ANOTHER DAY」ですが、ポールは後にベスト盤には必ず此の曲を選曲しています。ウイングス名義での最初のベスト盤「WINGS GREATEST」には、ウイングス名義ではないのにA面1曲目に収録しているんですから、お気に入りなのでしょう。さて、B面「OH WOMAN, OH WHY」もアルバム未収録曲で、現在はどちらもアルバム「RAM」のボーナス・トラックとして収録されています。こちらは1970年11月3日のレコーディングですが、デビッド・スピノザがリンダと不仲になってセッションから降りてしまったので、ヒュー・マクラッケンがギターを担当しています。デビッド・スピノザはアルバム「MIND GAMES」で、ヒュー・マクラッケンはアルバム「DOUBLE FANTASY」で、それぞれジョンのアルバムにも参加する事となります。ソレは偶然ではなく、ジョンはアルバム「RAM」を好評価していたので起用したのです。「OH WOMAN, OH WHY」は、まだ若かったポールの野太いシャウトが印象的な楽曲ですが、銃声のSEが入っていて、ソレはポールが実際にスタジオで拳銃をぶっ放しているのが、写真で残っています。そんな事をするのは、フィル・スペクターとポールだけでしょうなあ。それから、現在では当たり前に聴こえるリンダのヴォーカルですけれど、リリース当時の違和感は半端ではなかったでしょう。だってね、それまでポールと一緒に歌っていたのは、ジョン・レノンだったのですよ。

(小島イコ)

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2024年03月31日

「ドルチェ」(再)で内山理名ちゃん

ドルチェ (新潮文庫)


チャンネルNECO 8:55〜10:45

内山理名 AS 浜田知美

「ドルチェ」のまだ3月なのに今年だけで早くも5回目の再放送で、続いて再放送される「ドルチェ2」にも、回想シーンで理名ちゃんが登場します。理名ちゃんが演じた知美さんは汚れ役の風俗嬢で、殺人事件の容疑者となり自供までするものの、真犯人をかばって偽証している役どころです。

本放送:2012年10月12日(フジテレビ)

(姫川未亜/小島イコ)

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「ポールの道」#326「THE 7'' SINGLES BOX」#02「UNCLE ALBERT / ADMIRAL HALSEY(MONO) / TOO MANY PEOPLE(MONO)」

Ram


1971年2月19日にリリースしたシングル「ANOTHER DAY」の大ヒットを受けて、ポール・マッカートニーは1971年5月21日にポール&リンダ・マッカートニー名義のアルバム「RAM」をアップル/EMIからリリースしました。全英首位・全米で2位まで上がったアルバム「RAM」は、先行シングル「ANOTHER DAY / OH WOMAN, OH WHY」は未収録で、ポールはアルバムのトータルな構成を考慮してシングル・カットする予定はありませんでした。しかしながら、米国キャピトルの要請もあって、1971年8月2日に「UNCLE ALBERT / ADMIRAL HALSEY / TOO MANY PEOPLE」をリリースする事となりました。結果的にA面の「UNCLE ALBERT / ADMIRAL HALSEY(アンクル・アルバート〜ハルセイ提督)」は米国で首位を獲得して、アルバム「RAM」もバカな評論家の酷評とは反してロングセラーとなったのです。現在ではポールの最高傑作とまで云われるアルバム「RAM」は、リリース当時には信じられない様な低評価で、リンゴ・スターにまでバカにされていたのです。「ローリング・ストーン」誌は「変質した60年代ロックが生んだ、これまでで最低のアルバム」などと酷評したのに、現在ではチャッカリと「歴代最高のアルバム500選」に選んでいるのです。

さて、そう云う流れで「THE 7'' SINGLES」の2枚目は「UNCLE ALBERT / ADMIRAL HALSEY / TOO MANY PEOPLE」なのですが、コレがまた、当時のプロモーション盤を復刻したもので、両面共にモノラル・ヴァージョンでの収録となっております。ピクチャー・スリーヴはなくて、アップルの黒い内袋に入っています。アルバム「RAM」のモノラル・ミックス盤は、現在では2012年にリリースされた「アーカイヴ・コレクション」に収録されたので全編を聴く事が出来ますが、ラジオでのオンエア用にステレオ・ミックスとは別にモノラル・ミックスされているので、多くのミックス違いが楽しめます。作詞作曲は、A面の「UNCLE ALBERT / ADMIRAL HALSEY」がポール&リンダ・マッカートニー作で、B面の「TOO MANY PEOPLE」がポールの単独作と云う事になっていて、アルバムではA面1曲目だった「TOO MANY PEOPLE」は、ジョン・レノンに対して歌った「SONG WAR」のひとつです。

レコーディング・メンバーは両面共に、ポール・マッカートニー(リード・ヴォーカル、バッキング・ヴォーカル、アコースティック・ギター、ベースギター、ピアノ)、リンダ・マッカートニー(バッキング・ヴォーカル)、ヒュー・マクラッケン(アコースティック・ギター、エレクトリック・ギター)、デニー・シーウェル(ドラムス、パーカッション、シェーカー、カウベル)で、A面ではサー・ジョージ・マーティンが編曲・指揮してニューヨーク・フィルハーモニック・オーケストラがストリングスを担当していて、マーヴィン・スタム(フリューゲルホルン)、メル・デイヴィス(ブラス)、レイ・クリサラ(ブラス)、スヌーキー・ヤング(ブラス)、デヴィッド・ナディエン(ヴァイオリン)、ポール・ビーバー(シンセサイザー)も参加しています。A面の2曲をメドレーにした楽曲は、アルバム「RAM」のA面の核となっていて、サー・ジョージ・マーティンがオーケストラの編曲をしているので、云ってみればビートルズのアルバム「ABBEY ROAD」の続編なのです。

そんな中でも、ひとつのハイライトである「UNCLE ALBERT / ADMIRAL HALSEY」を、米国キャピトルが惜しげもなくシングル・カットしたのですから、ポールとしては次の「SMILE AWAY」も含めて3曲でのメドレーとして配置したので、面白くなかったかもしれませんが、結果オーライでビートルズ解散後の初の全米首位を獲得したので、文句も云えませんわなあ。前述の通り、此の曲は「ポール&リンダ・マッカートニー」名義の曲なので、ポールだけではなくリンダも全米首位なんですよ。先を急ぐと、其の後に全米首位を獲得する曲は、全てがポールの単独名義ではありません。サー・ジョージ・マーティン節が爆裂したオーケストラに効果音入りの「UNCLE ALBERT / ADMIRAL HALSEY」は、後にウイングス名義のベスト盤「WINGS GREATEST」や、ソロ名義の「ALL THE BEST!」の米国盤や、何だかもう分からない名義の「WINGSPAN」や、益々分からない名義の「PURE McCARTNEY」と云ったベスト盤の常連曲となります。

(小島イコ)

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