2015年11月6日に、ビートルズのベスト盤「1」がリミックスされて、アップルから世界同時にリリースされました。内容は、1「LOVE ME DO」(1962)、2「FROM ME TO YOU」(1963)、3「SHE LOVES YOU」(1963)、4「I WANT TO HOLD YOUR HAND」(1963)、5「CAN'T BUY ME LOVE」(1964)、6「A HARD DAY'S NIGHT」(1964)、7「I FEEL FINE」(1964)、8「EIGHT DAYS A WEEK」(1964)、9「TICKET TO RIDE」(1965)、10「HELP!」(1965)、11「YESTERDAY」(1965)、12「DAY TRIPPER」(1965)、13「WE CAN WORK IT OUT」(1965)、14「PAPERBACK WRITER」(1966)、15「YELLOW SUBMARINE」(1966)、16「ELEANOR RIGBY」(1966)、17「PENNY LANE」(1967)、18「ALL YOU NEED IS LOVE」(1967)、19「HELLO, GOODBYE」(1967)、20「LADY MADONNA」(1968)、21「HEY JUDE」(1968)、22「GET BACK」(1969)、23「THE BALLAD OF JOHN AND YOKO」(1969)、24「SOMETHING」(1969)、25「COME TOGETHER」(1969)、26「LET IT BE」(1970)、27「THE LONG AND WINDING ROAD」(1970)です。
「1」は、2000年11月13日にリリースされたビートルズのベスト盤で、英米どちらかで1位になった楽曲を収録していて、CD1枚に27曲78分38秒も詰め込んだお徳用盤で、全世界で3千5百万枚以上も売れて、日本だけでも2百万枚以上も売れました。最初にリリースされた時にもリマスターされていたのですが、2009年9月9日のビートルズの全アルバムのリマスターを受けて、2011年9月2日にデジパック仕様で2009年リマスター音源でもリリースされていて、其の僅か4年後にジャイルズ・マーティンによる新たなリミックス盤がリリースされたのです。今にして思えば、翌々年の2017年から始まったビートルズの50周年記念リミックス盤の先駆けとなったのが此の「1」のリミックス盤であり、ソレは昨年(2023年)リリースの「赤盤」と「青盤」のリミックス新装盤にも此の時のリミックスから収録されている事からも明らかです。しかしながら、リミックスしているとは云え、幾ら何でも、前回の2011年盤からたったの4年後にリリースされたのは早過ぎます。
ところが、此の「1」のリミックス盤は、CD1枚、CD1枚とDVD1枚、CD1枚とBD1枚、DVD1枚、BD1枚、の5形態と、「1+」として、CD1枚とDVD2枚、CD1枚とBD2枚、と云う2形態の、合計7形態でのリリースとなったのです。後々に意味を持つCDのリミックス盤だけではなく、ズバリ云って売りはDVDとBDに収録された映像だったわけです。ビートルズは後の「MTV」に先駆けて、多くの「プロモーション・フィルム(後のミュージック・ヴィデオ)」を制作していたのですが、それらがまとまってリリースされたのは此の時が初めてで、TVでの放送もアップルの意向で滅多になくて、ソレはアップルが規制していたからで、まとまったカタチの公式盤では2015年まではブートレグでしか観る事が出来なかったのです。それまでの公式盤では、動いて演奏して歌うビートルズの姿は、映画「A HARD DAY'S NIGHT」と、映画「HELP!」と、TV映画「MAGICAL MYSTERY TOUR」と、アニメ映画「YELLOW SUBMARINE」と、映画「LET IT BE」と、映像盤「ANTHOLOGY」などでしか観る事が出来ず、世界一有名なバンドなのに、繰り返しますが、プロモーション・フィルムがまとめてリリースされたのは此の時が初めてだったのです。
DVDもしくはBDの1枚目は、ベスト盤「1」と同じ27曲のプロモーション・フィルムが収録されていて、それだけでも驚愕すべきリリースだったのに、DVDもしくはBDの2枚目には、1「TWIST AND SHOUT」(1963)、2「BABY IT'S YOU」(1963)、3「WORDS OF LOVE」(1964)、4「PLEASE PLEASE ME」(1963)、5「I FEEL FINE」(1964)、6「DAY TRIPPER」(1965)、7「DAY TRIPPER」(1965)、8「WE CAN WORK IT OUT」(1965)、9「PAPERBACK WRITER」(1966)、10「RAIN」(1966)、11「RAIN」(1966)、12「STRAWBERRY FIELDS FOREVER」(1967)、13「WITHIN YOU WITHOUT YOU / TOMORROW NEVER KNOWS」(1966, 1967, 2006)、14「A DAY IN THE LIFE」(1967)、15「HELLO, GOODBYE」(1967)、16「HELLO, GOODBYE」(1967)、17「HEY BULLDOG」(1968)、18「HEY JUDE」(1968)、19「REVOLUTION」(1968)、20「GET BACK」(1969)、21「DON'T LET ME DOWN」(1969)、22「FREE AS A BIRD」(1977, 1995)、23「REAL LOVE」(1979, 1996)と、23曲が加わっていて、合計50曲ものプロモーション・フィルムが一気に放出されて、美しく磨かれた映像とリミックス音源で観る事が可能になったのです。「RAIN」や「HELLO, GOODBYE」の様に複数あるフィルムは、曲の重複は無視して何種類も収録されています。
ビートルズのプロモーション・フィルムは、ブートレグで此の公式盤よりも前に何種類もリリースされていて、重箱の隅をほじくる様に此の公式盤である「1+」に収録された映像以外にも沢山観れますが、やはり公式盤は当たり前田のクラッシャー・バンバン・ビガロですが、映像や音声が圧倒的に美しいので、コレが出てしまったのですから、まずは公式盤を買って観て、それでももっと観たいとなったのならばブートレグへと流れるのも良いでしょう。此の「1+」での50曲のプロモーション・フィルムは、20曲は公式盤では初出映像ですし、中には「HEY BULLDOG」の様に新たに作られたフィルムもありますので、まずはコレです。ソノ「HEY BULLDOG」は、元々が「LADY MADONNA」を撮影していて、実際には「HEY BULLDOG」を演奏していたので、元に戻した構成です。ジョンのソロや、ポールのソロやウイングスも、公式盤でMV集はありますし、ジョージはまだ出し惜しみはしているものの、二つの箱にDVDが公式盤で入っていてMVも観れるし、リンゴもベスト盤のオマケでいくつかのMVは収録されています。2024年の現時点では、此の「1+」が唯一の公式盤でのビートルズのプロモーション・フィルム集ですし、其の後は50周年記念盤や昨年の「NOW AND THEN」の様に新たに制作されているMVも、おそらく遠くない未来にはまとめてリリースされるのでしょう。とは云え、いつまで経っても映画「LET IT BE」を頑なに公式リリースしないアップルですから、保障はありません。
(小島イコ)