2007年にポール・マッカートニーは、ビートルズとしてのデビュー以来44年間も契約していた「EMI」から離れて、「スターバックス・エンターテイメント」と「コンコード・ミュージック・グループ」が立ち上げた新たなるレーベルである「ヒア・ミュージック」へ移籍して、6月に移籍第1弾アルバム「MEMORY ALMOST FULL」をリリースしました。其のアルバムに関しては次回に書きますが、同年11月14日にはDVD3枚組の「THE McCARTNEY YEARS(ポール・マッカートニー・アンソロジー 1970-2005)」をワーナーからリリースしました。コレはですね、1970年リリースのアルバム「McCARTNEY」から2005年リリースのアルバム「CHAOS AND CREATION IN THE BACKYARD」までの楽曲のMV2枚にライヴ映像1枚の3枚組で、つまりはポールのEMIでのソロやウイングスでの映像作品集です。
DVD1は「1970-1983」で、1「TUG OF WAR」(1982)、2「SAY SAY SAY」(1983)、3「SILLY LOVE SONGS」(1976)、4「BAND ON THE RUN」(1973)、5「MAYBE I'M AMAZED」(1970)、6「HEART OF THE COUNTRY」(1971)、7「MAMUNIA」(1973)、8「WITH A LITTLE LUCK」(1978)、9「GOODNIGHT TONIGHT」(1979)、10「WATERFALLS」(1980)、11「MY LOVE」(1973)、12「C-MOON」(1972)、13「BABY'S REQUEST」(1979)、14「HI, HI, HI」(1972)、15「EBONY AND IVORY」(1982)、16「TAKE IT AWAY」(1982)、17「MULL OF KINTYRE」(1977)、18「HELEN WHEELS」(1973)、19「I'VE HAD ENOUGH」(1978)、20「COMING UP」(1980)、21「WONDERFUL CHRISTMASTIME」(1979)、の本編全21曲に、「EXTRAS」として、1「THE SOUTH BANK SHOW (ELEANOR'S DREAM)」(1984)、2「BAND ON THE RUN - THE COVER SHOOT」(1973)、3「JUNIOR'S FARM」(1974)、4「LONDON TOWN」(1978)、5「MULL OF KINTYRE(ELSTREE)」(1977)が加わっています。
DVD2は「1983-2005」で、1「PIPES OF PEACE」(1983)、2「MY BRAVE FACE」(1989)、3「BEAUTIFUL NIGHT」(1997)、4「FINE LINE」(2005)、5「NO MORE LONELY NIGHTS」(1984)、6「THIS ONE」(1989)、7「LITTLE WILLOW」(1997)、8「PRETTY LITTLE HEAD」(1986)、9「BIRTHDAY」(1990)、10「HOPE OF DELIVERANCE」(1993)、11「ONCE UPON A LONG AGO」(1987)、12「ALL MY TRIALS」(1990)、13「BROWN EYED HANDSOME MAN」(1999)、14「PRESS」(1986)、15「NO OTHER BABY」(1999)、16「OFF THE GROUND」(1993)、17「BIKER LIKE AN ICON」(1993)、18「SPIES LIKE US」(1985)、19「PUT IT THERE」(1989)、20「FIGURE OF EIGHT」(1989)、21「C'MON PEOPLE」(1993)、の全21曲入りで、「EXTRAS」として、1「PARKINSON」(1999)、2「SO BAD」(1983)、3「CREATING CHAOS AT ABBEY ROAD」(2005)が加わっています。
DVD3はライヴ映像で、まずは1976年の「ROCK SHOW」から、1「VENUS AND MARS」、2「ROCK SHOW」、3「JET」、4「MAYBE I'M AMAZED」、5「LADY MADONNA」、6「LISTEN TO WHAT THE MAN SAID」、7「BLUEBIRD」の7曲が、次に1991年の「UNPLUGGED」から、8「I LOST MY LITTLE GIRL」、9「EVERY NIGHT」、10「AND I LOVE HER」、11「THAT WOULD BE SOMETHING」の4曲が、更に2004年の「GLASTONBURY」から、12「JET」、13「FLAMING PIE」、14「LET ME ROLL IT」、15「BLACKBIRD」、16「BAND ON THE RUN」、17「BACK IN THE U.S.S.R.」、18「LIVE AND LET DIE」、19「HEY JUDE」、20「YESTERDAY」、21「HELTER SKELTER」、22「SGT. PEPPER’S LONELY HEARTS CLUB BAND」の11曲が、合計で22曲入りで、「EXTRAS」として1985年の「LIVE AID」から「LET IT BE」が、2005年の「THE SUPERBOWL XXXIX」から、1「DRIVE MY CAR」、2「GET BACK」、3「LIVE AND LET DIE」、4「HEY JUDE」の4曲が加わっています。
MV集に関しては、ソロになったばかりの「MAYBE I'M AMAZED」はリンダが撮影した写真を静止画で綴ったシンプルな構成で、1970年代のMVはまだMTVが開局される前と云う事もあって、ポールとリンダが戯れているだけの「HEART OF THE COUNTRY」とか、スタジオ・ライヴ映像の「MY LOVE」や「JUNIOR'S FARM」の様な作品も多いのですが、1980年代に入るとポールがひとりで何役もやった「COMING UP」や、映画に出演したチェビー・チェイスとダン・エイクロイドと共演してポールが全ての楽器を演奏する「SPIES LIKE US」の様な凝った作品や、スティーヴィー・ワンダーやマイケル・ジャクソンとの共演で力が入った「EBONY AND IVORY」と「SAY SAY SAY」と云った作品も増える一方で、ポールが地下鉄に乗るだけの「PRESS」の様な思い付き一発みたいな作品もあって、1990年代から2000年代では「C'MON PEOPLE」や「BEAUTIFUL NIGHT」の様な「金掛かっているなあ」と思える作品も多く、何にしろ楽しめますし、ライヴ映像に関してはそれぞれの曲数が少ないものの、DVD1枚で27曲入りならば余り文句も云えませんし、DVD3枚で合計375分(6時間15分)もあるのです。
DVD1とDVD2は、ポールが考えた曲順で年代順ではありませんが、其の21曲ずつの「PLAY LIST」とは別に、年代順の「CHRONOGY」としても再生可能です。そして、DVD1では15曲、DVD2では14曲に、ポールが語る解説の「COMMENTARIES」を副音声で聴けます。MVは「EXTRAS」も含めて44曲収録されていますが、個人的に好きな「JUNIOR'S FARM」と「SO BAD」が本編ではなく「EXTRAS」に回されたのは納得がゆかないし、そもそも1970年から2005年までのMVが全て収録されているわけでもなく、かなり抜けがあります。例えば1979年リリースのアルバム「BACK TO THE EGG」はほぼ全曲MVが制作されたし、1986年リリースのアルバム「PRESS TO PLAY」のMVも他にも何作かあります。「BAND ON THE RUN」のジャケット撮影や、珍しいTV出演映像なども入っておりますが、此の箱が出たのは2007年でもう15年以上も前だし、其の後もポールはバリバリの現役ですから、MVの数も増えていて、此の箱で抜けた楽曲も含めて、いつ完結するのか分からない「アーカイヴ・コレクション」で小出しにしていないで、そろそろ新たなるMV集をBDでリリースしても文句は出ないでしょう。
(小島イコ)