1988年1月24日から1992年3月29日まで、ウエストウッド・ワン・ラジオ・ネットワークで「THE LOST LENNON TAPES」と云う番組が放送されました。コレは、ジョン・レノンが生前レコーディングしていたデモ音源やリハーサル音源やアウトテイクなどを、ヨーコさんが提供して構成された番組で、ソレを元にして「THE LOST LENNON TAPES」と云う名のブートレグがアナログ盤で35作も出されました。ソノ膨大な音源から公式盤として1998年11月2日にキャピトル(米国)・EMI(英国)からリリースされたのが、CD4枚組の「JOHN LENNON ANTHOLOGY」とソレから1枚にセレクトした「WONSAPONATIME」です。「JOHN LENNON ANTHOLOGY」はジョンのイラストを使った箱入りで、「WONSAPONATIME」はジョンの別のイラストでのデジパック仕様です。「JOHN LENNON ANTHOLOGY」は、それぞれが「ASCOT」、「NEW YORK CITY」、「THE LOST WEEKEND」、「DAKOTA」と名付けられて、ほぼ時系列でまとめられています。
CD1「ASCOT」は、1「WORKING CLASS HERO」、2「GOD」、3「I FOUND OUT」、4「HOLD ON」、5「ISOLATION」、6「LOVE」、7「MOTHER」、8「REMEMBER」、9「IMAGINE(take 1)」、10「“FORTUNATELY”」、11「BABY PLEASE DON'T GO」、12「OH MY LOVE」、13「JEALOUS GUY」、14「MAGGIE MAE」、15「HOW DO YOU SLEEP?」、16「GOD SAVE OZ」、17「DO THE OZ」、18「I DON'T WANT TO BE A SOLDIER」、19「GIVE PEACE A CHANCE」、20「LOOK AT ME」、21「LONG LOST JOHN」の、65分52秒、全21トラック入りです。
CD2「NEW YORK CITY」は、1「NEW YORK CITY」、2「ATTICA STATE(live)」、3「IMAGINE(live)」、4「BRING ON THE LUCIE」、5「WOMAN IS THE NIGGER OF THE WORLD」、6「GERALDO RIVERA-ONE TO ONE CONCERT」、7「WOMAN IS THE NIGGER OF THE WORLD(live)」、8「IT'S SO HARD(live)」、9「COME TOGETHER(live)」、10「HAPPY XMAS」、11「LUCK OF THE IRISH(live)」、12「JOHN SINCLAIR(live)」、13「THE DAVID FROST SHOW」、14「MIND GAMES(I PROMISE)」、15「MIND GAMES(MAKE LOVE, NOT WAR)」、16「ONE DAY AT A TIME」、17「I KNOW」、18「I'M THE GREATEST」、19「GOODNIGHT VIENNA」、20「JERRY LEWIS TELETHON」、21「“A KISS IS JUST A KISS”」、22「REAL LOVE」、23「YOU ARE HERE」の、65分13秒、全23トラック入りです。
CD3「THE LOST WEEKEND」は、1「WHAT YOU GOT」、2「NOBODY LOVES YOU WHEN YOU DOWN AND OUT」、3「WHATEVER GETS YOU THRU THE NIGHT(home)」、4「WHATEVER GETS YOU THRU THE NIGHT(studio)」、5「YESTERDAY(parody)」、6「BE BOP A LULA」、7「RIP IT UP / READY TEDDY」、8「SCARED」、9「STEEL AND GLASS」、10「SURPRISE, SURPRISE(SWEET BIRD OF PARADOX)」、11「BLESS YOU」、12「GOING DOWN ON LOVE」、13「MOVE OVER MS. L」、14「AIN'T SHE SWEET」、15「SLIPPIN' AND SLIDIN'」、16「PEGGY SUE」、17「BRING IT ON HOME TO ME / SEND ME SOME LOVIN'」、18「PHIL AND JOHN 1」、19「PHIL AND JOHN 2」、20「PHIL AND JOHN 3」、21「“WHEN IN DOUBT, FUCK IT”」、22「BE MY BABY」、23「STRANGER'S ROOM」、24「OLD DIRT ROAD」の、63分35秒、全24トラック入りです。
CD4「DAKOTA」は、1「I'M LOSING YOU」、2「SEAN'S “LITTLE HELP”」、3「SERVE YOURSELF」、4「MY LIFE」、5「NOBODY TOLD ME」、6「LIFE BEGINS AT 40」、7「I DON'T WANNA FACE IT」、8「WOMAN」、9「DEAR YOKO」、10「WATCHING THE WHEELS」、11「I'M STEPPING OUT」、12「BORROWED TIME」、13「THE RISHI KESH SONG」、14「SEAN'S “LOUD”」、15「BEAUTIFUL BOY」、16「MR. HYDE'S GONE(DON'T BE AFRAID)」、17「ONLY YOU」、18「GROW OLD WITH ME」、19「DEAR JOHN」、そして「SOMETHING MORE」として、20「THE GREAT WOK」、21「MUCHO MUNGO」、22「SATIRE 1」、23「SATIRE 2」、24「SATIRE 3」、25「SEAN'S “IN THE SKY”」、26「IT'S REAL」の、73分、全26トラック入りで、合計4時間半近くにも及ぶ94トラック入りです。
CD1枚に凝縮した「WONSAPONATIME」は、1「I'M LOSING YOU」、2「WORKING CLASS HERO」、3「GOD」、4「HOW DO YOU SLEEP?」、5「IMAGINE(take 1)」、6「BABY PLEASE DON'T GO」、7「OH MY LOVE」、8「GOD SAVE OZ」、9「I FOUND OUT」、10「WOMAN IS THE NIGGER OF THE WORLD(live)」、11「“A KISS IS JUST A KISS”」、12「BE BOP A LULA」、13「RIP IT UP / READY TEDDY」、14「WHAT YOU GOT」、15「NOBODY LOVES YOU WHEN YOU DOWN AND OUT」、16「I DON'T WANNA FACE IT」、17「REAL LOVE」、18「ONLY YOU」、19「GROW OLD WITH ME」、20「SEAN'S “IN THE SKY”」、21「SERVE YOURSELF」の、69分56秒、全21曲入りです。
CD1「ASCOT」は、1969年から1971年までの音源ですが、「MAGGIE MAE」だけが1979年のデモ音源です。ビートルズのアルバム「LET IT BE」に収録された時と同じアレンジで歌っていて、ジョンのお気に入りだったのでしょう。1970年の「JOHN LENNON / PLASTIC ONO BAND(ジョンの魂)」と1971年の「IMAGINE」のデモ音源やアウトテイクが中心ですが、1971年のビル・エリオット&エラスティック・オノ・バンド名義でのシングル「GOD SAVE US」をジョンが歌っている「GOD SAVE OZ」とB面の「DO THE OZ」が目玉です。
CD2「NEW YORK CITY」は、1971年のシングル「HAPPY XMAS(WAR IS OVER)」やデモ音源やライヴ音源から、1972年の「SOMETIME IN NEW YORK CITY」を経て、1973年の「MIND GAMES」までの音源ですが、ビートルズ名義で1996年にリリースされた曲の元になった1979年の「REAL LOVE」が入っています。リンゴ・スターに書いた1973年の「I'M THE GREATEST」と1974年の「GOODNIGHT VIENNA」がジョンのヴォーカルで聴けて、此の時期に多いライヴ音源も沢山聴けます。
CD3「THE LOST WEEKEND」は、1974年の「WALLS AND BRIDGES」から1975年の「ROCK'N'ROLL」までの音源ですが、1980年の「STRANGER'S ROOM」(「I'M LOSING YOU」のデモ音源)が混じっています。ジョンとフィル・スペクターがスタジオで喧嘩している音源(「PHIL AND JOHN 」)が3トラックも入っています。目玉は、遂に公式盤に収録されたフィル・スペクターの代表作であるロネッツの「BE MY BABY」のカヴァーでしょう。ビートルズの「YESTERDAY」も収録されていますが、ポールの曲をジョンが歌ったのかと期待して聴くとズッコケます。
CD4「DAKOTA」は、1979年のデモ音源から1980年の「DOUBLE FANTASY」と「MILK AND HONEY」からの音源ですが、1974年のリンゴへのガイド・ヴォーカル音源でプラターズのカヴァー「ONLY YOU」(素晴らしい出来栄え)と1976年の「MUCHO MUNGO」のデモ音源(1974年にニルソンをプロデュースした時の曲)が混じっています。ボブ・ディランへ「FUCKING」連発で返答した「SAVE YOURSELF」や、サー・ジョージ・マーティンがオーケストラを加えた「GROW OLD WITH ME」も聴けます。「I'M LOSING YOU」はチープ・トリックのリック・ニールセンとバン・E・カルロスが参加した別テイクで、リック・ニールセンが考案したギター・リフは公式テイクでも使われています。ジョンの場合、デモ音源やリハーサル音源などの制作段階の方が公式テイクよりも優っている楽曲もあるので、非常に興味深く聴く事が出来る音源集です。
(小島イコ)