ポール・マッカートニーは、1987年11月2日に英国ではMPL/パーロフォンから、同年12月1日に米国ではMPL/キャピトルから、ベスト盤「ALL THE BEST!」をリリースしました。ポールには1978年リリースのベスト盤「WINGS GREATEST」がありまして、そっちにはウイングス名義ではない「ANOTHER DAY」と「UNCLE ALBERT / ADMIRAL HALSEY」も収録されていましたが、此のソロ名義のベスト盤にはウイングスも含まれていて、相変わらず大雑把なポールです。まあ、聴いている方は「ポールのソロ」も「ウイングス」も、全てが「ポールの作品」なのですが、本人は「ウイングスはバンドだ」とか云っていたわりには、やっている事は其の辺がブレブレです。英国や日本ではアナログ2枚組全20曲入りで、米国ではアナログ2枚組全17曲入りでのリリースだったのですが、英国では同時に3曲カットした全17曲入りの1枚もののCDが、米国ではアナログ盤に先駆けて同年11月11日に全17曲入りの1枚もののCDがリリースされていて、日本盤はアナログ盤もCDも英国仕様でのリリースです。
英国盤(日本盤)CDは、1「JET」(1973)、2「BAND ON THE RUN」(1973)、3「COMING UP」(1980)、4「EBONY AND IVORY」(1982)、5「LISTEN TO WHAT THE MAN SAID(あの娘におせっかい)」(1975)、6「NO MORE LONELY NIGHTS(ひとりぼっちのロンリー・ナイト)」(1984)、7「SILLY LOVE SONGS(心のラヴ・ソング)」(1976)、8「LET ’EM IN(幸せのノック)」(1976)、9「C MOON」(1972)、10「PIPES OF PEACE」(1983)、11「LIVE AND LET DIE(007 / 死ぬのは奴らだ)」(1973)、12「ANOTHER DAY」(1971)、13「ONCE UPON A LONG AGO」(1987)、14「SAY SAY SAY」(1983)、15「MY LOVE」(1973)、16「WE ALL STAND TOGETHER」(1984)、17「MULL OF KINTYRE(夢の旅人)」(1977)の、全17曲入りで、アナログ盤からカットされたのは「MAYBE I'M AMAZED」(1970)と「WITH A LITTLE LUCK(しあわせの予感)」(1978)と「GOOD NIGHT TONIGHT」(1979)の3曲です。
コレが米国盤だと選曲も曲順も違っていて、元々のアナログ盤から「MAYBE I'M AMAZED」と「MULL OF KINTYRE」と「PIPES OF PEACE」と「WE ALL STAND TOGETHER」と「ONCE UPON A LONG AGO」の5曲をカットして、「UNCLE ALBERT / ADMIRAL HALSEY」と「JUNIOR'S FARM」を足して、1「BAND ON THE RUN」(1973)、2「JET」(1973)、3「EBONY AND IVORY」(1982)、4「LISTEN TO WHAT THE MAN SAID」(1975)、5「NO MORE LONELY NIGHTS」(1984)、6「SILLY LOVE SONGS」(1976)、7「LET ’EM IN」(1976)、8「SAY SAY SAY」(1983)、9「LIVE AND LET DIE」(1973)、10「ANOTHER DAY」(1971)、11「C MOON」(1972)、12「JUNIOR'S FARM」(1974)、13「UNCLE ALBERT / ADMIRAL HALSEY」(1971)、14「COMING UP(Live Version)」(1980)、15「GOOD NIGHT TONIGHT」(1979)、16「WITH A LITTLE LUCK(DJ Edit)」(1978)、17「MY LOVE」(1973)の、全17曲入りとなっております。
ジャケットも英日アナログ盤と米アナログ盤と英日CDと米CDではポールを囲んだイラストのアイコンが違っていて、CDでは大きくされていたりもして、別写真のオーバー・カヴァー付もあります。何より選曲と曲順が違っていますので、あたくしもCDは日本盤と米国盤を持っていますが、よく聴くのは米国盤CDです。やはり「BAND ON THE RUN」と「JET」を並べるのならばアルバム通りの順番で聴きたいし、個人的に「JUNIOR'S FARM」と「WITH A LITTLE LUCK」と「GOOD NIGHT TONIGHT」は大好きな楽曲なので、ソレを外されたんじゃベスト盤ではありません。「COMING UP」もジョン・レノンが褒めていたのはライヴ・ヴァージョンの方だし、全米首位になったのもライヴの方です。英国では「MULL OF KINTYRE」や「PIPES OF PEACE」辺りが好まれて大ヒットしたのですが、ポールにはもっと派手な曲をぶちかまして欲しいんですよ。とは云え、レアだったシングル「WE ALL STAND TOGETHER」や、此の時点での新曲「ONCE UPON A LONG AGO」が入っている英国・日本盤も捨てがたいので、結局は両方買っちゃったんです。全米62位と低かったものの、ロングセラーとなってダブルプラチナとなり、全英では2位まで上がった名ベスト盤です。
(小島イコ)