1981年6月20日に、オランダ人ユニットの「スターズ・オン・45」による「ショッキング・ビートルズ(STARS ON 45)」が、全米首位となりました。コレはビートルズの曲をディスコ・ビートに乗せてメドレーにしたもので、テーマ曲の「STARS ON 45」の後に、何故かショッキング・ブルーの「VENUS」とアーチーズの「SUGAR SUGAR」が続き、ソノ後にビートルズの「NO REPLY」〜「I'LL BE BACK」〜「DRIVE MY CAR」〜「A HARD DAY'S NIGHT」〜「DO YOU WANT TO KNOW A SECRET」〜「WE CAN WORK IT OUT」〜「I SHOULD HAVE KNOWN BETTER」〜「NOWHERE MAN」〜「YOU'RE GOING TO LOSE THAT GIRL」と9曲がメドレーで演奏されている4分51秒の楽曲です。まず、驚かされたのは半年前に殺されたジョン・レノンにヴォーカルが良く似せていて、選曲された9曲もソレ程は有名ではないものが多かった事です。コノ「ショッキング・ビートルズ」を皮切りに「メドレー・ブーム」が起きて、本家「スターズ・オン・45」は次々にスティーヴィー・ワンダーやABBAなどのメドレーをリリースして、ビーチ・ボーイズも便乗して1981年に本人たちの音源でのメドレーをリリースして、翌1982年3月22日(米国)、同年5月24日(英国)には元祖・ビートルズによるシングル「THE BEATLES' MOVIE MEDLEY」をリリースしたのです。内容は「MAGICAL MYSTERY TOUR」〜「ALL YOU NEED IS LOVE」〜「YOU'VE GOT TO HIDE YOUR LOVE AWAY」〜「I SHOULD HAVE KNOWN BETTER」〜「A HARD DAY'S NIGHT」〜「TICKET TO RIDE」〜「GET BACK」の映像作品で使われた7曲をメドレーにしていて、ミュージック・ヴィデオも制作されていて、全英10位・全米12位とヒットしちゃいました。
更に、1982年3月22日(米国)、同年3月29日(英国)には、サントラ編集盤「REEL MUSIC」もリリースしていて、内容は、A面が、1「A HARD DAY'S NIGHT」、2「I SHOULD HAVE KNOWN BETTER」、3「CAN'T BUY ME LOVE」、4「AND I LOVE HER」、5「HELP!」、6「YOU'VE GOT TO HIDE YOUR LOVE AWAY」、7「TICKET TO RIDE」、8「MAGICAL MYSTERY TOUR」で、B面が、1「I AM THE WALRUS」、2「YELLOW SUBMARINE」、3「ALL YOU NEED IS LOVE」、4「LET IT BE」、5「GET BACK」、6「THE LONG AND WINDING ROAD」の、全14曲入りです。面白味のない選曲で、目玉である「THE BEATLES' MOVIE MEDLEY」は未収録ですが、全米で19位まで上がっています。つまり、同時期のジョージ・ハリスンやリンゴ・スターのソロ・アルバムよりは売れていたわけです。シングルもアルバムも未CD化ですが、面白いのはシングルの「THE BEATLES' MOVIE MEDLEY」だけなので、盤起こしのブートレグ音源などで容易に聴く事が出来ます。当時の編集盤としては、他にも1982年10月11日に「20 GEATEST HITS」がリリースされていて、コレは後の「1」の基本形となったベスト盤です。英国盤は、A面が、1「LOVE ME DO」、2「FROM ME TO YOU」、3「SHE LOVES YOU」、4「I WANT TO HOLD YOUR HAND」、5「CAN'T BUY ME LOVE」、6「A HARD DAY'S NIGHT」、7「I FEEL FINE」、8「TICKET TO RIDE」、9「HELP!」、10「DAY TRIPPER」、11「WE CAN WORK IT OUT」で、B面が、1「PAPERBACK WRITER」、2「YELLOW SUBMARINE」、3「ELEANOR RIGBY」、4「ALL YOU NEED IS LOVE」、5「HELLO GOODBYE」、6「LADY MADONNA」、7「HEY JUDE」、8「GET BACK」、9「THE BALLAD OF JOHN AND YOKO」の、全20曲入りで、全英10位でした。
米国盤(日本盤)は、A面が、1「SHE LOVES YOU」、2「LOVE ME DO」、3「I WANT TO HOLD YOUR HAND」、4「CAN'T BUY ME LOVE」、5「A HARD DAY'S NIGHT」、6「I FEEL FINE」、7「EIGHT DAYS A WEEK」、8「TICKET TO RIDE」、9「HELP!」、10「YESTERDAY」、11「WE CAN WORK IT OUT」、12「PAPERBACK WRITER」で、B面が、1「PENNY LANE」、2「ALL YOU NEED IS LOVE」、3「HELLO GOODBYE」、4「HEY JUDE」、5「GET BACK」、6「COME TOGETHER」、7「LET IT BE」、8「THE LONG AND WINDING ROAD」の、全20曲入りで、全米50位と低かったものの米国だけで200万枚以上売れました。レコード1枚に20曲も詰め込んだので音も悪いし、「HEY JUDE」は短縮されています。アルバム「1」がある現在では、ソノ短縮版「HEY JUDE」にしか価値はないし、リリース当時にも既に「赤盤」と「青盤」があったわけで、レコード1枚で手っ取り早くヒット曲が聴けるだけのヘッポコ盤です。コノ1982年を境にして、ビートルズの編集盤は1988年の「PAST MASTERS」までリリースされないのですが、ソレは1987年のCD化を見据えていた為ですし、1985年には未発表音源集のアルバム「SESSIONS」がリリース直前までいきました。ある意味ではビートルズの音源をまとめに入っていたので、1981年12月7日には英国EP盤14枚にボーナス・ディスク1枚の15枚入りの「THE BEATLES E.P. COLLECTION」がリリースされて、1982年10月には英国モノラル盤アルバム10作11枚を収録した「THE BEATLES MONO COLLECTION」が、1982年12月6日には英国オリジナル・シングル盤22枚に解散後の4枚とオマケ1枚の27枚を、それぞれピクチャー・スリーヴに入れた「THE BEATLES SINGLES COLLECTION」がリリースされています。画像は、後にリイシューされたシングル集で、1982年リリースの箱ではありません。
(小島イコ)